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僕は自分の本を謹呈するにあたって、いつも「至誠は天に通ず」と書くことにしている。孟子の「至誠通天」であるが、それは後で知ったことである。吉田松陰が好んだ言葉でもある。
孟子は孔子の聖学を後の世に伝えようとした人だが、紀元前4世紀前半に生まれたといわれる。金谷治の『孟子』によれば「仁義にの道徳にもとづく王道論」を説いたのだった。金谷は「孟子の主張をひと口でいえば、それは要するに道徳主義の鼓舞である」とも書いている。
孟子は民衆を中心に据え、天がそれを望むのならば、革命もやむなしとの考え方の持ち主であった。「仁を害し義を害するものは、もはや君ではない。一夫すなわち一介の野人にすぎません。一夫の紂を誅罰したということはあっても、君主をあやめたということは知りません」と断じたのである。
国柄としての皇室を重視する僕にとっては、相容れない思想であった。それだけに、孟子から学うとする気持ちはあまりなかった。しかし、言葉においては、僕もまた孟子の徒であったのだ。世の中が混迷を深めている中では、孟子的な思想が頭を持ち上げてくるのではないだろうか。
僕にとっては、誠を貫けば、国柄としての日本が明らかになるという考えである。革命を是認するものではない。大陸中国と島国で万世一系の我国とでは、違いがあって当然なのである。
「至誠は天に通ず」という僕なりの解釈にこだわりながら、これからもその言葉を大事にしたい。そして孟子について、もっと深く学びたいと思っている。