一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

974  金亀子未明のコインランドリー  智恵子

2013年07月15日 | 

 (こがねむし みめいの コインランドリー)

私の知人は,自宅の洗濯機をやめ、もっぱらコインランドリーを使っている、という。確かにアパートなどでは、深夜や未明の洗濯は迷惑かも知れないが、コインランドリーが経済的とはとても思えないし、不便ではないかと思うのだが・・・

 それでも煌々と灯るコインランドリーに黄金虫が入ってくれば、一服の清涼剤にはなるかもしれない。しかし、本来森林に棲む黄金虫から見れば、迷惑千万なコインランドリーには違いない。

アベリア(Abelia)  ツクバネウツギ属

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973  炎天にみな外したる装身具  佐紀

2013年07月14日 | 

 本来の装身具は、外敵から身を守る目的で、魔力があるとされる物を常時身につけたのが始まりであり、呪術的な意味合いを持っていたそうである。

 更に、支配者階級が出現すると自分の権勢、身分の高さを他者に誇示する目的で身につけるようになったそうである。又、宗教が発展すると神とのつながりを目的として十字架など宗教的なシンボルを身につけるようになる。

 更に社会が裕福になると下層階級の人間も身につけるようになり、やがては本来の目的ではなく純粋に美しさを目的としたものに変化した装身具をジュエリーと呼ぶ。

 装身具は、余りに種類が多すぎて列挙できないが、最近では耳のみならず唇や鼻、顎や頬にまで穴を開けてぶら下げるピアスなるものが流行っている。原始人や土人たちもやっているから、本能的なものだろう。

 いづれにしても、権力・自己顕示など欲望と大いに関係がありそうだ。しかし、さすがにここ数日の炎天では、イヤリング・ネックレス・ブレスレット・時計・かつら・・・・ぜーんぶ外したくなるのは当然だ。炎帝に勝てるわけがない。

 刺青だって装身具の一種かもしれないが、これは外すわけにはいかない。それにしても、しわくちゃになった刺青を想像しただけでも可笑しい。

 広い意味では、衣類だって装身具に違いない。とすればこの句の作者が、素裸になった可能性も十分にあるわけだ。

ネムノキ(合歓の木) マメ科ネムノキ亜科の落葉高木

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972 ぶんぶんの一つ覚えの死んだふり  妙子

2013年07月12日 | 

 虫たちの死んだふりを「擬死・ぎし」という。カナブンを初め、コメツキムシやタマムシ、クモなどは擬死をする。知らないが哺乳類にもあるらしい。

  いづれにしても、擬死をする動物が現存しているということは、擬死によって数億年を生き延びて来たのであり、有効な生存手段に間違いはない。

 踏みつけられれば簡単に死んでしまうのに、それでも絶対に死んだふりをしている虫を踏みつける人間は、たぶん少ない。つまり、本能の大部分はかくの如く「種保存の本能」であろう。

ミソハギ

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971  初蜩一枝余さず微動せり

2013年07月11日 | 

(はつひぐらし いっしあまさず びどうせり)

  梅雨明け宣言の出た翌日の7月7日の夕方、初蜩。昨年が14日、一昨年が13日。約一週間早い。ヒグラシの正確な気温察知能力に脱帽だ。

 句の中に、時間も入れたかったが省略。それよりも、微風に全ても葉っぱが揺らいでいるのが感動的。ヒグラシに呼応しているのか、と思われたからだ。

ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙) アヤメ科クロコスミア属

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970  どの木々もあっけらかんと梅雨明ける

2013年07月10日 | 

 7月6日、関東地方は、平年より15日も早く梅雨が明けたそうだ。早速、遅れていた草刈りを始めたが、1時間余りで熱中症気味になっってしまった。そこで、シャワーで体を冷やし1時間ほど休憩。それを繰り返して草を刈る。若い頃は、炎天の仕事など平気だったが、さすが年には勝てない。

それでも今日は午後から炎天テニスだ。負けずに頑張るぞ。

オオバギボウシ(擬宝珠) クサスギカズラ科リュウゼツラン亜科の 多年草

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969  白南風や犬はいつもの窯の上

2013年07月09日 | 

 2才の犬デンは、穴窯の上が大好きだ。来客を窯に案内すると、必ず窯の上に乗って腹這う。15才のモモは、一度もそういうことはしなかった。だから、腹這う理由はよく分からない。

 客は、それが面白いらしく、しきりにシャッターを切っている。最近は、モモよりもデンがアイドルになりつつある。デンの若さの魅力に、モモは負けている。

アガパンサス(アガパンサス属) 南アフリカ原産。

 

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968  子と話し子が遠くなる青葡萄  永子

2013年07月07日 | 

 本来の青葡萄とは、成熟していない葡萄のことで、マスカットなど青いまま熟している葡萄のことではない。つまり、未成熟で食べられない葡萄のこと。

 さて、未成熟に見える我が子であっても、子供は学校や職場など社会との関わりの中で成長していく。旺盛な知識欲で現代的な様々な情報や知識を習得していくことだろう。

 親として淋しいことだが、久し振りに会って話すほどに、違和感や疎外感を感じても致し方ない。そんな時期が必ずあるのだ。

ヤブカンゾウ(藪萱草) ユリ科の多年草

ワスレグサ(忘草)とも

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967  野川にも「もじり」盛んに梅雨暮色  侠心

2013年07月06日 | 

「もじり」とは、【捩り/錑り】と書き、

(1)曲がりくねっているさま。また、ひねくれているさま。体をひねってくねらせるさま。
(2)著名な文句を変えて、滑稽な風刺的な言い回しにしたもの。パロディー

(3)男性が和服の上に着る外套。

など、他にも数種類の固有名詞がある。ここでは、辞書には載っていないが、釣りの用語で、(4)魚が起こす波紋。また魚が水面付近で身を翻し、背ビレなど体の一部を見せること、を言うそうだ。

「もじり」を発見たら、釣りキチさんや釣りバカさんには、喜びに堪えられない状況に違いない。

クチナシ(梔子、巵子、支子)  アカネ科クチナシ属の 常緑低木

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966  第202回 岩戸句会 六月

2013年07月05日 | 

落石の十センチ横雨蛙        炎火

明と暗紙一重なり夏の蝶

   

夏至の日や帰宅を急ぐ由もなし    洋子

とりあえず蚊遣りを焚きて客を待つ

   

只管に壁よじ登る毛虫かな      豊春

枯れ松のトルソー並ぶ青芒

 

梅雨空のスカイツリーは注射針    薪

山葵アイスぴりりと甘き余生かな

 

文字摺やねじれて小虫登りおり    歩智

目黒川ここで泳いだ人に逢い

  

癌告知友起きあがる遠花火      正太

耳鳴りのそばで失せたる藪蚊かな

 

誰となく呼んでみたいな梅雨の月   章子    

蚊柱のよろよろと来てふらり去る

 

愁いある後ろ姿や白日傘       遊石

蚊柱の向こうに揺らぐ石仏

 

野川にも「もじり」盛んに梅雨暮色  侠心

藪そばの小庭にそっと蚊遣り哉

 

縮みゆく義母の髪切る梅雨晴間    鼓夢

虎が雨緑の絵具滴らせ

     

うたかたのわだちの水輪雨の跡    空白

濡れそぼる参院選の掲示板

 

何処より梔子匂う夕べかな      稱子

旅にある一期一会や夏薊

 

戻らざる今日のいのちや夏椿     雲水 

ご婦人が男のように藪蚊打つ

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965  只管に壁よじ登る毛虫かな  豊春

2013年07月04日 | 

(ひたすらに かべよじのぼる けむしかな)

 禅語の「只管打座・しかんたざ」は「宋」時代の中国語で、「只、座っておけ」という意味。どうやら江戸時代にここから「ひたすら」という読みが与えられたようだ。

 壁は、この場合一般住宅の壁で良いだろう。「何ゆえにこんな壁を」と作者は考える。そして、その登り方を「只管」ととらえる。

 世の猛烈サラリーマンたちのように、もしかすると作者も只管に働いてきたのかもしれない。私には、そんな人間社会や自分を「毛虫」と重ね合わせているような気がしてならない。

ハナショウブ   アヤメ科アヤメ属の多年草

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964  夏至の日や帰宅を急ぐ由もなし  洋子

2013年07月02日 | 

 夏至は、日本の大部分では梅雨のさなかであり、。北半球では一年中で一番昼が長く夜が短い日。関東の日没は午後7時頃だ。

 さて、日本には、一人住まいが1,600万人いるという。その中で、定期勤務のない自由人は、たぶん半分くらいはいるだろう。

 見たいテレビ番組は録画しておけばいいし、電話だって携帯があるし、食糧は冷蔵庫に詰まっているし・・・・・

 この句は、孤独と言うより、正に一人の気楽さを謳歌しているのではないか、と思う。

サツキ(皐月)  ツツジ科

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