♬ 歌・唄・詩の日々

いい歌、いい歌手と出会いたい・・・
そんな気持ちを込めて綴る気ままな雑記帳です

阿久悠氏の著書「昭和と歌謡曲と日本人」について

2018年04月11日 | ノンジャンル
阿久悠氏の「昭和と歌謡曲と日本人」という昨年11月に出版された著書を読みました。阿久氏が他界されてから昨年でちょうど10年になりますので、それを記念して出版されたものだと思います。

内容的には季節感などをテーマにしたエッセイで新聞に連載されたものが中心で、短くて気軽に読めるものです。その中で特に印象に残ったのは、「誰が歌謡曲を殺したか」というエッセイで、そのタイトルは刺激的ですが、内容的にも阿久氏の痛切な思いがこもった、歌謡界の現状に対する遺言と言えるものです。

要約しますと、本来歌謡曲とは演歌でもポップスでもない、幅広い要素を取り入れた日本の歌であって、その歌謡曲が中心にしっかり位置をしめ、その両翼に伝統的演歌と輸入加工のポップスがあるのが本来の姿なのに、その中心がポッカリと抜け落ちてしまっている現状である。そしてその原因は人々が歌を歌いたがるが聴きたがらなくなったからで、こういう食べやすいものばかり評価される状況では文学や映画などの他の芸術も衰退してしまうと述べています。

確かに他の芸術はともかく、大衆音楽についてはカラオケの普及により、聴くより自分で歌える曲がもてはやされているのは事実で、阿久氏の憂慮した状況は、その後さらに顕著になっていると思います。そのことは時代の流れで一概に良い悪いの判断はできないと思いますが、やはり聴かせる歌という姿勢を、作り手も歌い手も常に心がけてほしいと思います。このブログでも、聴く歌としてどう評価できるかといった視点を忘れないようにしたいものです。




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