先々週の事だったか
同じ職場で働くフィリピン人のフィリさんが
私にこう話しかけて来た。
”イジー 知ってる?
ベーカリーでケーキのデコレーションをしている黒い口紅をつけた人。
彼女 コロナに感染してたんですって、、。” と
フィリさんは黒い口紅をつけた紅子さんの事を
まるで罪人でもあるかのように話すので
その口ぶりにカッと来たことだった。
私は寿司を握る今の職に就く前に
バッキーが務める会社の店のベーカリーで
10年ほど、ケーキのデコレーションをしていた。
それもありこの店のベーカリーの傍を通る度に
ケースを飾るケーキやクッキーに目をやる癖があった。
3月、ケースに並ぶ商品が少なくなっていき
この店のケーキデコレーターの一人紅子さんが
随分長い間、働いていない事に気づいた私は
それが気になり
同じ店のデリーで働く紅子さんのお母さんに
”紅子さんの姿を見ませんが
どうかされたんですか?” と
訊いた事があった。
”紅子はね
小さい頃からすぐ肺炎になるんで
今回のコロナの事で
医者から自宅隔離を命ぜられているの ”と
その時、そう母親から知らされた。
約1か月以上紅子さんは欠勤され
4月中旬過ぎに職場に戻って来られた。
こういう時期に長い間仕事を休まれた事もあり
誰からともなく
彼女はコロナに感染していた となり
その点だけが強調され広がったんだろうね。
たとえ紅子さんがコロナに感染していたとしても
復帰されたのは
彼女が回復し医学的にも人に感染させないと
認められたからなのに、、ね。
今回、コロナ検査の結果を待つバッキーの心の中には
こういった事への不安もいくらかあったようにも感じられた。