眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

消え去った後に

2022-12-31 23:19:00 | 新・小説指導
効率よく作りたかったら他に作るものはありますよ
小説を書くことはほとんど非生産的なもんや
書くことの半分以上は捨てることや

考えたこと、浮かんだこと、悩んだこと
ほとんどは実を結びません
書いては消し、書いては消し
みんな消えてばかりや
アホらしいと思わへん? 

出て行ってもええんやで
帰れる内に帰るのが賢いでしょ

捨てて捨てて捨てて捨てることばっかり
そうしてぽつんと残ったものが小説家なんよ
捨てていく覚悟はありますか
テレビを捨て情を捨て地位を捨て恋を捨て……
みんな捨てたら異世界へ旅立つんや

「空っぽは空想の始まりです」

余計なものはいらないのよ
夢は素敵か? 目標は大事?
ほんまにそうやろか
ええですか。思い込みは足を引っ張りますよ
先入観ほど余計なもんはあらへん

夢や目標は変わっていくよ
なぜならば
自身が変わっていくからです
自分は自分と思ってる
僕は僕です?
でも人は絶えず変わっていきます
僕も私もみんな誰でも
私はこうだという目標を立てた私
私は私でなくなっていきます
目標は有効ですか?
疑わしいやろ
なんか怪しい思えへん?

昨日の自分が見た夢は忘れます
昨日の自分が立てた目標は変わります
夢も理想も欲望も幸福も……
みんな同じですよ

「人は同じとこにはおられへんやん」

夢もゴールも変わっていく
そんでええやないの
おぼろげに描くくらいで

それよりももっと
書くとなったら純粋に書くことに集中したらええ
書くことの原点はどこにある?
わからない? 見失った? あらら

読者の前にあるはずや
まずはそれを見つけ作者になることや

読者はどこにいるの?
最初の読者はあんたの中におるんや

あんたは書いて消し、書いて忘れる
忘れた分だけ読まなあかん
作者は誰よりも読者であること

「書くことの半分以上は読むことなんや」

読まずに書けるのは神さまだけですよ
私は神さまですいう人いてますか?
そやね。みんなただの人やねん
覚悟のある者は書いたらええ
そのほとんどは消すことやけどな

アホらしいと思うわへん?
思いながらここにおるんか。あんた偉いな
最初から思うようには書けませんよ
なぜならば……

「最初から思うようにいくことは何もあらへんのやから」

書くことは何も特別なことやない
歌うこと、戦うこと、生きること……
書くこともやっぱりそんな甘いもんやない

それがわかった上で書くことはあるんやろか
書いていく上で見つけたい?
なるほど。見つかったらええね

ええですか
本当に見つけることができるかわからへんよ
見つけ方を見つける前に終わってしまうこともあんのよ
見つけようとするばっかりに見つけ方を見失っていくこともあんのよ
見つけることも見つけられることも大変よ

小説いうもんはみんなかくれんぼや
映像も音楽もない。見つかりにくい形や
どんな小説も世界の片隅から始まるばっかりや
誰がそれを見つけてくれるやろうか
見つかることなく眠り続ける小説がどれだけあるやろか

見つけてほしい?
そうね。見つけてくれたらうれしいね
だったら読者を探さないこと

「読者ばっかり探したらすぐに自分を見失うよ」

見つける前に見失ったら話にならへん
まずは自分を見つけるように
自分自身の中に集中することや

「急がば潜れですよ」

自分の奥へ潜り込んで自分を探すんや
これも容易いことやない
最も見つけにくいものかもわからへん

でもね
自分を見つけることがでかたら世界は変わります
自分を見つけた作者は誰かに探される存在になる
そこで変わることができます
本当の意味での作者になったんや

「見つけなければ見つけられることもない」

それが小説です
見つけたかどうか……
それはずっと後になってからわかります
読者は作者の鏡なのよ
自分が見つからない間は映らへんのよ
遅れてやってくる証人みたいなもんです

覚悟のある人は書きなさい

「スペースはあんねんから」

スペースはあるけど時間はない
だったら前に進まなあかん
後ろにあるのは時間ばっかりや
振り返る時間ないねん

書いて消し、消して書き
どんどん書いていく
それしかないやん
書くと決めたら書いたらええねん
他のもんなんか関係ない

書けば自分に近づける
自分やったら超えていくこともできる
書いた分だけ超えていけるんやないかな
スペースはあんねんから

「自分だけをどこまでも超えていくんや」

書いたとしても消さなあかん
書いても書いても捨てなあかん
そしたらまた空っぽになる
ほんまアホらしいな
何やってんかな
あんたは途方に暮れる
そこがチャンスや
わかります?

「消えたものの後から本当に書くべきものが現れるんや」

それからが本当の始まりよ
できますか
待てますか

挫けずに楽しめますか?

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アウェイ&ホーム

2022-12-28 06:17:00 | 新・小説指導
なんやお疲れの様子やね
急にやりすぎたんちゃう
何でもすぎたらあかんねん
前にも言うてますよ

自分の限界を知らなあかん

猫見てみなさい
あいつら普段どうしてる?
そう
蓄えてはるやろ
力を溜めてはるんや

それが跳躍力を生むんですわ

ええですか
集中力には限界があるよ
野球やったら9回
サッカーやったら90分
だいたいそんなもんや

人間やもん

ロボットとかAIやないんやから
やる方もみる方もそこら辺が
だいたい限界
ずっとしっぱなしは無理なんや

楽しいことはずっと続いたらええ
ずっとずっと続いて欲しい
それは人間のわがままや
言い換えたら幻想やな

だって人間やもん

終わらなあかんからええねん
そやからみんな必死やねん
限界超えよう思って必死や

元から限界なかったらどう?
もう頑張ることあらへん
そうでしょう?

野球やったら3つアウト取ったら
ベンチに帰って休憩や
サッカーやったら半分のとこで
まとめて休憩や

その間に反省したり
シャワーあびたりして
リフレッシュせなあかん
そしたらまた原点に返れるわけよ

束の間の休みで
心も体も蘇る
ゾンビみたいに復活すんねん

そのまま行ってたらそうはいかへんよ
バテバテなっておしまいよ

見る方も見る方や
ずっと見続けるのもしんどいやん
瞬きもできへん

わしら見張り番か?
交通調査員か?
みたいになってまうよ

あんたの文章はどないですか?
肉団子みたいにきつきつにくっついてないですか
そりゃあかんで
もっとピッチを開けて
時には読者を休ませてあげないと

余白が大事やねん
ええとこ見せるためには
よそ見をさせる時間も大事なんです

ビール飲んだりウインナー食べたりしてな
別の楽しみもあんねん
ええですか
お客さんに与える楽しみいうのは
ピッチの中だけやないですよ
メリハリがあった方がいいのよ

中中中では疲れる
一旦サイドへ流れてから
中へ供給するのが効果的です
サイド攻撃を上手に使うこと

見え透いた攻撃ばっかりやったら
相手に読まれてしまうよ
先に読まれたらどないなる?
そう
守りやすいやろ

見ている方はどうや?
おもんないね
中を絞られたらノーチャンスや
ゴールは生まれない

行ったり来たりするばっかりや
どないなる?
そう
退屈してブーイングの嵐や
その内にみんな帰っていく

「創造性のない試合を誰が見たい?」

そうやろ
小説もそれと同じや
中中中は疲れんのよ
作者の言いたいことばっかり言ったらあかんねん
小説は作者の独壇場になったらあかん

小説は作者のためにあるんか?
そう
ちゃうねん

「小説は読者の遊び場やねん」

だったら誰のためにあるの?
ゴールが欲しいのはわかるよ
でも逸ったらあかんねん
一旦外へ逃がしてあげることが大事なんや
ピッチの外へ広げたらなあかん

これを小説の言葉で外出言います
普段みんなもしてるよね
コンビニ行って、公園行って、
スーパー行って、郵便局行って、
そんで家に帰ってくる
カフェ行って、海行って、
ライブ行って、温泉行って、
そんで家に帰ってくる
その外出と全く同じことです
ええですか

「外出して帰ってきたらええ心地ですよ」

あー、家ってええな
なんか落ち着くねんな
おうちごはんでも作ろうかな
ってなりますよ
それが小説の言葉で言うと
外出力と言います

今たまたま家で話してるけど
サッカー場でも町でも
地球でも同じ話ですよ

一回月でも火星でも行ってみ
そんで帰ってきたらどないなる?
そやね
やっぱり地球落ち着くなー
てなりますよ

「小説の中ではいくらでも外出できる」

外出放題ですわ
スペースはあんねんもん
すごいでしょ
だからやめられへんのよ

色んなところに出かけて行って
もっと遊ぼうよ
遊ばせてあげようよ

結末はいつでも書ける
楽しみは後のためにキープしとくこと

「小説はホーム&アウェイです」

未知の場所にたどり着く必要はない
行ってから無事に帰ってくるだけでええのよ
行って帰る
それが上手くできたら何も言うことはない
こちらからは以上です

読者の目をちゃんと遊ばせてあげること
それができたら見え方は変わってくるよ

小説は言葉の旅なのよ

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ドラゴンの呼び方

2022-11-03 01:50:00 | 新・小説指導
 窓の向こうに少年はいた。
 大地につながれた自転車にまたがって、ひたすら体を動かしていた。音もなく車輪は空回りしている。誰かを待っているように少年は動かない。だんだんだんだん速くなる。やがて、目を閉じると少年は見知らぬ町にいる。鎖から解き放たれたように、少年の体は軽くなっている。興味深い噂を拾い集めて洞穴に向かう。松明一つの光を頼りに地下深いところまで下りていくとドラゴンが待っている。

「今度は誰だ?
 またこれがお望みか?」
ドラゴンは大事に宝箱を守っている
「誰の差し金だ?
 名もなき勇者?
 知らないね
 ということは私の敵ではない!」
少年はドラゴンの炎の中で世界の大きさを知る
「またおいでよ
 強くなってからくるといい
 助っ人も一緒につれておいで
 そのくらいがちょうどいいんだ
 私はここで待っているから」
(年も取らずにね)

 目を開けるとドラゴンはいなくなっている
 少年は自転車を降りた。
 剣と松明を置いてミルクを飲んだ。
 ドラゴンの炎をあびて大量の汗が流れ出た。
「くそーっ!
 子供扱いしやがって!」
 少年は復讐を誓う。
 車輪はまだ空回りを続けている。少年が降りたことをまだ知らないようだ。


仲間を見つけるにはもっと遠くへ行かなければ
魔法を身につけるにはもっと世界を知らなければ

ドラゴンはどこにいたの?
遙か遠くの異世界にいた
いいえドラゴンはここにいた

空回りする時の向こうに
思いを馳せたまぶたの先に
次元を開く扉はあった

ドラゴンはいつでもそこで待っている

物語を引き寄せることは
立ち止まったまま自転車を漕ぐこと
一心不乱になってどこまでも
どこまでも
どこにも行かずにどこまでも行くこと
(年も取らずに)

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橋の下の釣り人

2022-09-19 06:30:00 | 新・小説指導
 教室を離れて町へ出た。
 吸い込まれるように橋の下へ降りた。釣り竿の前に釣り人は座っていた。

「いつから釣っているの?」
「生まれる前からじゃ」
 老人は生まれる前から釣り人だった。前世で釣り残した獲物があるのだと言う。執念が輪廻して川の前に導いた。生まれるよりも早く、生まれてからもずっと、釣り人は釣り人だった。

「何が釣れるの?」
「何も……」
 老人のバケツは空っぽだった。

「ここは駄目なんじゃないの」
「そうかもしれん」
「他にもスペースあるのに」
 老人は朝からずっとその場所にいる。

「自分から動く方がずっと楽じゃ」
「だよね」
「本当なら自分から川の中に飛び込んで網を振った方がずっと話が早い」
「だったら、なぜそうしないの?」

 老人は長い竿を指しながら答えた。

「わしが釣り人だからじゃ」
「ダイバーじゃないんだね」
「そうとも。あんたは何をしておる?」
「僕は物書きです」
「ふん。小説家か」
「まあそんなところかな」

「わしを書くつもりか? わしを仙人のようにするつもりか」
「違います。少し時間が空いたので」
「ふん。売れない小説家の気晴らしか」
 釣り人は決めつけるように言った。

「場所を変えないの?」
「どうして?」
「ここにはいないんじゃない?」
「そうかもしれん」
「だったらどうして……」

「ここではないという不安はどこに行ってもつきまとうものだ。ここではないのでは。今ではないのでは。あなたではないのでは……。だが、ここであるかもしれないのだ」
「でももしも……」

「一度動き始めたら不安の度に動かねばならん。あんたはそのようにして書いていくのか。行きたい場所もわからないのに」
「可能性のある方に行くと思います」
「それがわかればな」
「動かないのは怖くはない?」

「わしは釣り人だ。だから、動くのはわしではない。わしの周りを水が魚が時が、世間が動くのだ」
「監督みたい」
「わしが何もしていないように見えるか?」
 突然、老人はカメラをのぞき込む巨匠のように見えた。

「あなたは映画監督のようだ」
「望むものは望む時にはやってこない」
「ですね」
「だが、それは望みを捨てる理由にはならん」
「はい」
「何もなくてもわしは釣りをしているのだ」
「そうでした」

「魚は好きか?」
「うーん」
「煮えきれない奴だな」
「ふふ。釣れるといいですね」
「あんたも小説を書いているのだろう」
「えっ」
「何もしてない振りをして書いておる」
「書いていないよ」

「頭の中でわしを書いておるな」
「早くかかるといいですね」
「わしは魚だけを求めてはおらん」
「こうしているのが好きなんですか」
「目的と目標は違うということじゃ」
「微妙すぎてわからないな」
「あんたはまだ若いな」
「若くもないけど」
「ふん。まあ好きに書くことじゃ」
「はい」

「あんたはあんたのスペースで」
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プロローグ1

2022-09-10 02:24:00 | 新・小説指導
「背中をかいていると腕は伸びていくものさ。書き続けていくことが大事なんだよ」

 老人が手を伸ばすと雲を軽々と突き抜けた。

「ほら、月の石だよ」

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ウェイク・アップ

2022-06-21 00:44:00 | 新・小説指導
また書きあぐねてるの
寝かせてるの
寝かせすぎてもええことないで
何でもそうや
すぎてええもんあるか

通り雨?
そういう話ちゃうねん
何? 悪夢?
悪い夢なら早くすぎてほしい
いやそういう問題やない

すぎたら何でもあかんっちゅう話や
書きあぐねるのは悪いことじゃないよ
それはある意味では熱の表れです
ロケットが打ち上がる前みたいなもんや
熱持ってるでしょ
熱ないと何でも上がらへんよ
ミサイルでも花火でもみんな一緒や
戦争ちゃうで

「小説家の戦場はフィクションの中ですよ」

地球の土地は限られてる
小説はどないですか?
スペースあんねん
フィクションの中やったら
いくらでもスペースあるよ
スペース・オペラや

フランス人でもスペイン人でも
鳥人でも宇宙人でも
なんぼでも歩けますよ
ただそれは

「書いてこそのお話です」

いいですか?
いつまでもあぐねてたら
そこから何も始まらないよ
小説はどっちかしかないの
寝かすか起こすかやねん
小説家になるたった一つの方法を
教えますよ
一回しか言いませんよ
時間ないねんから

小説家になるには
なりたいですか?
どないや
なりたいからここにおるんや
はい
もう答えはあるやん

ええですか
小説家になるには
あぐねてないで

「書いてみることです」

まずは書いてみるのよ
簡単や思うでしょ
そうやねん
簡単やねん
簡単なようで難しい
難しいようで簡単
どっちやねん
どっちもどっちやで
でもそこがスタートラインです

そこを踏み出せなかったら
永遠に踏み出せない
そこから先の風景は何もあらへん
書き出してみたら
案外楽になりますよ
だってずっと書きたかったんだから

書きたいように書いて
楽しくないわけないやん
当たり前やん
何やこのロケット飛ぶやないの
大気圏越えたら案外楽やん
壁を一枚越えたら世界変わってくるよ

新しいスペースを見つけます
元々あんねんから
見つけて当然なのよ
何これ
何やこんなとこあったんかいな
今まで何してたんかな……
早く来たらよかったやんけ

でもそこで迷う

知らんスペースで自分を見失ったりもする

何や違ったのかな?
来るとこ間違えたのかな?
場違いなスペースに出てしまった?
やっぱり才能なんてないの?
楽しいことばかりやない
スペース開けた分だけ
苦しい面も見つかってくる
何でもそうでしょう?

5歳から6歳になった頃どうやった?
覚えてない?
12から13歳になった時はどうやった?
そうやろ
思い出してごらんよ

色々見つかってしまうのよ
自分を見たり他人を見たり
友達や先輩や先生や
子供やないか大人ちゃうんか
ごちゃごちゃごちゃごちゃ
失敗もついてくる
急に上手くはいかないのよ

でもそれでええねん
そういうもんやねん

「失敗は踏み台やと思いなさい」

何も悲観すべきことやない
失敗してそれで終わりちゃう
終わりは始まりなんや
違ったら違った
誤ったら誤ったで
そこからつかめることは必ずある
ヒントにはなる

書きながらもがいていくしかないのよ
駄目や思ったらやり直す
違う思ったら反対に行く

「小説家は終わりと始まりを繰り返す」

自分で学び、自分で成長できる
みんな自分次第や
どう?

小説家ええやないか!

あぐねてるなと思ったら
あぐねてることを自分で意識しなさい
あぐねてることを認めて
肯定して否定しなさい
破壊して創造しなさい
そして書いてみる
小説家なろう思ったら
あぐねてないで書いてみる
それがはじめのはじめなのよ

書いてみる
何か違う
書いてみる
何かあかん
書いてみる
やっぱあかん
書いてみる

「小説家はエンドレスです」

だからみんなやめられへんのよ
一度はまったら抜け出せない
でもそこまで行くのは簡単じゃない
そんで一番大事やねん

わかる?

書きあぐねてるあんたは
もうわかってるやろ

「あんたなりたい者は何?」

そやね
スペースあんねん
待ってますよ

まだ見ぬ読者が先に待ってます

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【新小説指導】遅延小説家

2021-05-02 23:02:00 | 新・小説指導
書く時間がないんですか?
そうですか
あんたのSNSいうの
見せてもらいましたよ

ラーメン食べに行きました
モヤさま見ました
小説がわかりません
小説がわからなくなりました
それであんたここにおるんやね
熱心やないの

プレバト見ました
コナン君見に行きました
スイーツ食べに行きました
色々時間ありますね
ん?
そういう問題ちゃうの
どういう問題や

わかりやすく言いましょうか

この町にはカレー屋さんあります
でもあんたの中ではないねんな
なんでかな

「あんたが雲の方ばかり見て歩いてるからや」

だいたいないわけないやん
こんだけ町にスペースあんねんからな
カレー屋さんはあるよね
あんたがカレー屋さんを向いてないんや
カレー屋さんいっぱいあんのに

「それがあなたの時間です」

あんたカレー屋さん嫌いか?
そうでもないでしょ
むしろ好きやねん
好きやから怖いんちゃうん?
カレー屋さん行ってみたらなんや
いっぱいかいな
居場所なしかいな
あーあー
断られるのが怖いんかな

好きです
ごめんなさい
それが怖いばっかりに
ずっと片想いいうことにしとくんや
カレー屋さんを想像の彼方に寝かせて
この町にはないことにしとるわけやな
本当はあるのに
時間もそうや

「ないのは小説の時間だけです」

向き合って上手くいかずに
駄目でしたいうのが怖いんちゃうか
それで時間を言い訳にして
先延ばしにしてんのよ
何でもよくあることやで

「そういうあんたは遅延小説家なんや」

どうでもいいことする時間はきっとあんのよ
歯医者さんやパン屋さんはいっぱいあんのよ
そういう時間は気楽で傷つけへんからね

そやけど
ほんまそれでええんか
ないないないない言うてる間に
ほんまになくなってしまうよ
もったいないと思いませんか?

「本当はカレー屋さん見つけたいんでしょ」

簡単やで
カレー屋さんの方を向いたらええねん
ええですか
小説家の課題は時間だけですよ

時間を削り時間を食われ時間を忘れ
時間に乗って時間を追って時間に追われ
小説家の中には小説家の時間が流れるんや
時間とどうつき合うのか
それだけで小説は変わっていきますよ

「小説は時間をコントロールするものです」

ええですか
時間なんてのはあってないようなもんです
こんにちは
いまお時間よろしいですか
あるんですか
ないんですか
どないなんですか
少しあるんですか
少しならいいんですか
時間は長さとちゃいまっせ

ええですか
時間は心やねん
だからどないでもなんねん
伸びたり縮んだりするんですわ
生むのも消すのも心がけなのよ
どうですか

「小説の時間は見つかりましたか?」

見つけてしまったらもう書くしかないわな
間に合いますかって?
あんた誰と張り合っとんのや
今から書くからええんやないの
それはまだどこにも書かれてないわけやから
あんたはいま生きてんねん
生きてる者がいまから小説を書く

「いまから書くのが現代小説ですよ」
そんでええねん
遅延小説家から現代小説家へ
ぱーっと転身や

遅れた分くらいなんぼでも取り戻せる
見つけた分だけ
時間もスペースもあんねんから

スペースはずっとあんねん

反省もええねんけども
昨日の自分を責めててもきりがないわけや
それよりも明日の自分に何ができるか

「小説は明日の自分へのプレゼントです」

わくわくするやろ
だからみんなやめられへんのよ
まずはよそ見ばっかりせんと
自分のために書いていったらよろしい

書いてみんことにはわからへん
わかったら書いてみなさい

スペースはあんねんから

そこに自分の想像を走らせたらええねん
あんたやったらできんねん
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犬を届けよう

2021-03-16 10:46:00 | 新・小説指導
あんた言いたいことあんのやったら
もっとはっきり言わなあかん
ちゃんと説明しないと
何も伝わらへんよ

「あんた主語がないねん」

いつどこで誰が何をどうしたんや
なぜいかにしたんかや
それを言わないと
自分の中で止めとったらあかん

あんたの小説はシマウマか?
野菜か? ライオンか?
何でもええわ
みんな川の手前で止まったままや

読者はどこにおるの?
最初からあんたの側にはおらんで
読者はどこにおるの?
そうや
川の向こうにおんねん

だったらちゃんと渡してみせないと
それには何がいる?
そうや
船がいります
船とは何?
言葉やな
だったらちゃんと船を作らないと

泥船やったらあかんねん
風船やったらどっか飛んでいきますよ
どこ行くねん!
ちゃんと向こう側に伝えないと

「小説はラブレターですよ」

ちゃんと伝えたら届くところに届く
その時好きか嫌いかは
読者が決めてくれる
それだけの話ですわ
伝えた上でね後は読者がね
でも

「届いてなかったら意味ないねん」
好きも嫌いもあらへん
ナッシングや
伝わるように書いたらええねん

スペースあんねんからな
んなもん
主人公一人の世界ちゃうんやから
ドラゴンもおる
猿もおる
ライオンもおる
釣り人もおる
魔女も魔法使いもおる
そやろ

いっぱい出てんねんから
主語くらいつけなさい
簡単でしょ
スペースあんねんから

「スペースあるよね」

あんたの書き方やったら
誰が誰やらわからへん

「ここ夢の中を歩いとんのかな?」
読者がそう思う
先生だったもんが
突然お母さんに化けますよ
困るね
そこをきっちりしとかないと
とても面倒なことになるよ
変な誤解にもつながるよ

「人か思ってたら猫やったんかい」
そんなことになるよ

伝えようと思うんやったら
伝わるように努めないと
船は勝手に渡ってくれへんよ
伝えたいやろ?
ちゃんとわかってほしいやろ?
だったらもっと正確に刻まないと
葱を切るのとわけが違うよ

「あんたの小説は時計屋さんの時計や」

あっち向いたりこっち向いたり
誰がどこを指しとんのや
あっちやこっちや
何やあんたは止まっとんのか
はよ電池を入れなさい
3時いうても昼なのか夜なのか
あっちゃこっちゃ
出かける時なんか眠る時なんか
起きる時なんか帰る時なんか
わけわからへん
みんな迷子になるわ

どこ向いとるんですか?
西ですか?
犬やから西ですか?
犬が西なら尾は東?
そりゃわからへん
迷子の迷子案内や

ついてきてますか?

もう時計屋さん出ましたよ
いいですか
読者にちゃんと伝えるためには

「もっと細かいタッチで書きましょう」

犬がでわかる?
十分ですか?
野良犬なん?
林さんとこの犬ですか?
だったらちゃんと書きましょう
ここからが本題ですよ

面倒くさいようでも書きましょう

スペースあんねんからな

犬はスペース好いてますよ
スペース見つけたら
わんわん言うて喜びますよ
そうしたら尾も振れる
結果も変わってくるよ

「先入観捨てて書くことが大事ですよ」

夕暮れ時に林さんとこの犬が
道で運動のために林さんと散歩して
林さんの犬の顔は西を向いたが
林さんの犬の尾は時を同じくして
東を向いとったけども、
スペース見つけて喜んだことによって
西を向きました

どない?
ようわかるやろ
ちゃんとした分だけようわかんねん

ちゃんとここまで書きましょう

「ちゃんと川の向こうに犬を届けよう」

時間かかってもええやないの

スペースあんねんからな

犬掻きでも何でもええやん
スマートでなくてもええ
伝える熱意あったら伝わるもんです

あんたどう思う?
正解はあるんですか?

先生も時々迷子になるんです
迷子になるくらいスペースあるからな

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【新小説指導】ドラゴンを呼べ

2021-02-15 03:00:00 | 新・小説指導
書きあぐねてるの?
何か書いたらええねん
スペースあんねんから
それからの話ですわ

異世界への道が見えない?
誰でもそうやで

ドラゴン呼んだらええねん
みんなドラゴン好きやねんから
呼んで泳がせたらええねん

「ドラゴン泳がす内に道が見えてきます」

そういうもんですわ
0から始めるのは大変や
でも書き始めたらあとは続けるだけや
コツコツコツコツ書いてったらええねん
どうも違うな思うたら消したらええねん
また1から書いてったらええやん

「小説は何度でもやり直せるよ」

ドラゴン呼んでドラゴン消して
呼んで消して呼んで消して
出したり消したり

「小説は魔法なんや」

ドラゴンと長くつきあっていく間に
異世界とのパイプができてきます
身近な人よりも親密になってくる
けんかしたり仲直りしたり
ドラゴンなんかもう知らん!
顔も見たくない!
言うようになってくるんや

そうなったら別れ時ですな

一旦みんな消して0にしたらええ

もうドラゴンなんか嫌や
異世界行きたくない
そうなってきた時は
我に返ってみることですわ
1から私小説でも書いたらええ

「私小説いうのはわかりやすく言うと日記です」

身の回りのことを書いていったらよろしい
暑いとか寒いとか
眠いとか腹減ったとか
どこぞ行きましたとか家帰りましたとか
何でもええやん
スペースあんねんからな

やっぱり何か合わんな
人生退屈やなーってなってきたらね

「そこでドラゴンの出番ですわ」

一度離れて逆に強くなってる
ドラゴンもあんたも強なってんねん
絆がぎゅっとなってますから

ドラゴンはまた生まれ変わり
あんたも生まれ変わっとる
スペース使ってきた分だけな

「小説家の人生は何回でもあんねん」

何回でも何回でも
ほんまに何回でもあんねん
何回でもですわ

だからやめられへんのよ

書き出したら終わりがない
わるくないでしょ?

思いがあるなら書いたらええ
書き出しの先はどうなることか
誰にもわからへん

何も悲観することはないっちゅうことやな
未来ちゅうのはようわからんもんです

「わからん分だけ占い師がおんねん」

ほらそこにおるやろ
占ったところでわからへん
わからん分おるわけやから
なんぼうでもおるけども
結局わからへんねんな

ドラゴンと一緒やな

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【新小説指導】読者の居場所

2021-02-12 00:33:00 | 新・小説指導
まずあんた
行間が狭い!
きつきつやないか

どこに書いてるの?
ハンカチの上ですか?
米粒ですか?
駐車場か?
何も節約することあらへん

「スペースはあんねんから」

もっと優雅に空けたらええねん
難波から本町くらい空けてみ

読者はどこにいますか?
月の上ですか?
大草原ですか?
長居公園か?
ちゃうわー!

「読者は電車の中にいます」

あんたの読者は
きっつきつの通勤電車の中や
それでなくともしんどいねん
いっぱいいっぱいやねん
重たい本なんか持てません

片手でスマートフォンを持って
読んではんねん

あんたはアンドロイド?
アイフォーンか?
どっちでもええねん

必死で足踏ん張って
小説を読んでるんや
わかる?
なんでや思う?
どっか行きたいねん

「どこにも逃げ場ないからどっか行きたいねん」

ページをめくるんちゃうねん
スクロールさせるんや
そういうとこも考えなあかんねん

書くいうのは想像することです

あんたは文字をおにぎりみたいに固めて
詰め込んでるけど

「あんたの小説は弁当箱かいな」
スペースはあるやないの
節約することあらへん
空けたらええ
難波から南森町くらい

ばーっ













思い切って空けたらええねん
そうしたら世界は変わって見えますよ
スペースあんねんから
スペース見つけて
そこにピサトを走らせたらええねん

「言葉のピサトをみんな待ってますよ」

身動き一つもできへん
読者の心を動かしたりー

あんたそれができんねん

考えたらできんねん

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【新小説指導】エイリアンも人

2021-01-25 02:42:00 | 新・小説指導
あんたこの前の小説な
なんや突然化け物出てきたな
エイリアンか
どこにおったの? 

どこからともなく出てきた?
まあそりゃええことにしようか
けど
テーマが食われてもうたね

空腹を待たせてご飯を炊くか
パスタを早ゆでするか
そういうナイーブなところを
ゆっくり進みはるんかと思ったら

エイリアン出てきて
食われてもうたな
えっ
あえて食わせたの?
ええように言いますな

化け物ばっかり頼ったらあかんねん
誰が読むの?
エイリアン読者か

「読むのは人間ですよ!」

エイリアン集めるのはよろしい
10月の終わりみたいに集めたらよろしい
ですが

「読むのはあくまで人間やで!」

そこを忘れたらおかしな話になってくるよ
異世界行くのはええことや
小説いうのは異世界行くに決まっとんねん

「小説は心の旅です」

異世界行ったら奇妙なもんばっかりや
鬼もおれば魔女や河童や吸血鬼
みんなエイリアンみたいなもんや
けど
ばっかりなったらあかんよ

どっかに人間を残しとかなあかんねん
読者のことを考えてあげな
読者はどっから来ますか?
どこからともなく?
ちゃいますねえ

「読者は怖いとこから逃げてくる」

鬼や悪魔や化け物ばかり
そんなとこから必死で逃げてくるんや!
みんなどこかで人恋しいんや
人間らしい人間を探してんねんな

「ほんまの人がおるのはお話の中やわ」

思わへん?
まあそりゃあ人によりますけども

お化けが驚かすのは誰ですか?
でしょ
結局人やねん
お化けを見るのも
楽しむのも怖がるのも人やねん

「小説はお化け屋敷と同じです」

最後は人なんやわ

エイリアンも人なんやわ

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【新小説指導】恋愛感覚

2021-01-07 04:40:00 | 新・小説指導
あんたの小説
ちょっと見させてもらったけど
あんた葱切っとったな

トントントン
トントントントントントントントントン

何がおもろいねん
えらい言葉を尽くして
葱ばっかり切って

トントントン
トントントントントントントントントン
トントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントン
いつまで切っとんねんっ

「主人公はまな板ですか?」

先生にはわからへん
どういうことや
誰に向かっとるんですか?
まあわかりにくい

「わかってもあかんねんで!」

わかる?
わかりきったことなら
もうみんなも知ってんねんから
読者が望むものは何でしょう?

「それは未知との遭遇です」

わかりきったことは十分です
書き尽くされたこともうんざりされる
人と同じでどうないすんの

わかる?

違うだけでもあかんねんで
わかりすぎてもあかんねん

「わかったつもりはもっとあかんで」

楽したらあかん
わかったようなわかってないような
わかるようなわからんような

何かもやもやっとした

もやもやーっとした

「恋愛みたいなもんですな」

好きなようなちゃうような
わかる?
わかったらあかんねんて
ややこしいの

「小説書くのはややこしいですよ」

わかる?
あかんちゅうねん

正解いうのはないわけやから

伝わってますか?

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【新小説指導】時代

2021-01-06 03:11:00 | 新・小説指導
あんた10万字書いたんか
おつかれさん
で どないしたん

なんや寝かせとんのかいな

もっと字数を踏むんですか
寝かせといてどないすんねん

「書き出し」言うたでしょう

書いたら出す 出したら書く
書いて出す 出して書く

「行ったり来たり猫やで」

いつまでも寝かせてどないなる
出すとこはあんねんから

迷うくらいありますよ

字数ばっかり踏んでたら日が暮れる
時代に乗り遅れんように
はい 
今は遊びの時代言われてます

文字を詰めすぎんように

ちゃんと遊びを作りましょう
行間もよ あんた詰めすぎやねん


もっとすかすかにせな



スペースはあんねんから



「詰めすぎたら渋滞するよ」









どこにも到着しません




書くためには時代をちゃんと読む









行間あけて時代を読む









読み過ぎたらあかんよ



読みながら書く








「カクヨムや」









ほんで 書いたら出す




どんどん出してったらええねん


























そういう時代や
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【新小説指導】見切り発車

2021-01-05 10:40:00 | 新・小説指導
なんやあんた
また寝かせとんのか
書きもせんと

「書き出し」言わんかったかな
書いて出す 出して書く

わかったか?

話がまとまらない?
ちゃんとしてから書くの?
まとまる前に醒めてしまうよ

見切り発車ってわかりますか
わかる?
そんでええねん

「上手く行ったら続ければええ」

失敗したな思ったらやめたらええ
変えたらええ

路線変更や!

スペースはあるんやから
いっぱいあんねんからな
スペースに向かって放り出したらええ
主人公ピサトを放り込んだらええやん

何もためらうことあらへん

「思いついたらそこが始まりです」

書き出しの始まりや
出したら誰か拾ってくれる
どっかに拾ってくれるもんはいますよ

書いたらええねん
はよ走り出しなさい

路線は延びてんねんから

誰か手を振ってくれるわ
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【新小説指導】書き出す覚悟

2021-01-04 08:50:00 | 新・小説指導
小説を書くということは
書き出すということ
書いて出すゆうことやで
書いて終わりじゃありません

「そりゃ隠れっぱなしのかくれんぼや」

ぱなしはあかんねん
書いて出して 出したら書いて
書いたら出す 出したら書くわけや

忙しいで!
メッチャ忙しいんやで!

「食べたり眠ったり猫みたいや」

あんたその覚悟はできてんのか
覚悟なかったらどっちかになる
書いてしまい それっきりや
出したら終わり もうおしまいや

食いっぱなしや
小太り猫やで

ええですか あんた

「小説を書くいうことは人生を忙しく生きることです」

忙しいいうのは難しいで
猫が行ったり来たりするようなもんや
ほんと大変よ

覚悟はできたかな

できたんならはよ書きなさい
覚悟と時間あったら書けんねんから
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