眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

「袋いいです」

2011-11-30 16:05:46 | ショートピース
言いそびれてしまった言葉と同じ物を彼女はもう手にしている。最後の瞬間を逃すと袋は口を開けすべてを呑み込んでしまう。(もうどうしようもないところまできてしまった)終わったはずなのにまだ引き返せる道もあるように思え、見つめる内ついに口を閉じてテープが貼られてしまった。#twnovel

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welcome

2011-11-29 23:40:01 | ショートピース
「今日ばかりは涼しく過ごせそうだね!」大統領が視察にみえるというので、最初は根強い反対意見があったものの、大統領はとても暑がりだという情報もあり、結局はスイッチが入れられる運びとなったのだ。「大統領バンザイ!」冷たい風の吹き出し口に向けて、僕らは歓迎の旗を振った。#twnovel

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白い恋人、黒い煙

2011-11-25 02:48:01 | ショートピース
どこにいても許されなかった。禁じられた恋が恋心をより一層強く燃え上がらせ、日が落ちてまだ禁止が及ばない小箱の中に思いを募らせた人々がどこからともなく押し寄せて、それぞれの細く白い恋人に火をつけキスをする。何度も何度もキスをする。その愛は私の灰までも黒くしてしまう。#twnovel

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もしもし

2011-11-23 22:33:17 | ショートピース
「もしもし。」人間の声がしたような気がして、彼女は耳を立てた。やはり、近くに人の姿はなかった。昔は何もかもがつながれていた気がする。いつだって自分の首にも、どこかへ出かけるという時でさえも……。みんなどこへ行ってしまったのだろう。(きっとどこかに行ったのだろう)。#twnovel

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狼少年

2011-11-22 21:31:39 | ショートピース
狼が来たぞとは言ったけれど本当に来るとはどういうつもりだ。「ボスは誰だい?」今は村人に見つからないようにどうにか身を隠してもらわなければ、言葉が真実となると僕はアイデンティティーを喪失して語ることがなくなってしまう。広報狼に話すと、見返りとして金品を要求してきた。#twnovel

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銀河鉄道

2011-11-22 03:04:38 | ショートピース
傘を忘れてきた。「あの月があそこに見えている間は、きっと大丈夫でしょう」彼は言った。私は月夜の下で車掌を捕まえて安心していた。どこまで歩いても、私は置いていかれることがない。けれども、突然、雨は降り出したし、列車は動き出してしまった。そして、残ったのは、一束の男女。twnovel

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おにぎり 

2011-11-22 01:57:37 | ショートピース
積み重なった年月が一人ずつ、友達を奪うにつれて徐々に無防備になってゆき、彼を守るものは何もなくなった。追い詰められ行き止まりの旅路の上、ついに踏み潰されてしまう。その時、遥かなる場所で何かが開くと、自ら俵の形を再生し始めた。その手。「覚えているよ。おばあさん」 #twnovel

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セカンドライフ

2011-11-21 22:46:42 | ショートピース
着替え、洗面用具、遊び道具、おやつ、すべての準備は万端のはずだった。快晴の朝、車の充電が終わっていないことが発覚した。今から始めたのでは、年を越して、赤ちゃんが生まれ、おじいちゃんが死んで、弟がぐれて、家庭が崩壊してしまう。「もう一台買っておいたよ」流石はパパ! #twnovel

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木陰

2011-11-21 00:46:19 | ショートピース
「木陰を一つください」Lを選ぶと時間がかかるよと木は言った。私は千円札を出して650円のお釣りを受け取った。幹の奥の何やら秘密めいた場所からコインが擦れ合うような音が、しばらくしていた。木が瞑想に入っている間、もたれて待つと、夢の周辺にゆっくりと黒が広がり始めた。#twnovel

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教室の光

2011-11-16 20:46:16 | ショートピース
事件現場の教室では、疲れ果てた教師と幾つかの文房具と本が散乱していた。教師は何も話さない。机の上の本を開くと、虫たちが吸い寄せられるように集まってきた。蛍光ペンはまだ塗りたてで、光が満ちていたからだ。「まだ遠くへは行っていない!」刑事は重要参考書の押収を指示した。#twnovel

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エンドレスサン

2011-11-15 21:01:49 | ショートピース
他に行くところがないというわけではないけれど、気がつくといつもそこにいる。「太陽はあちらから上がりますので、ご自由にご覧ください」私は今日初めてその台詞を聞いたように、彼の指す方を見上げるのだ。毎日、同じ星の同じ陸に行く。同じ男性がいつもの町に、私を案内し続ける。#twnovel

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釣り人と猫

2011-11-11 02:43:13 | ショートピース
自転車は海鳴りをつれて街にやってきた。漕ぎ手の背中からは釣竿が伸びて、数珠繋ぎの魚たちを引き連れている。「ここはもう海じゃないんだよ!」親切な若者が、逃げてゆく魚に声をかけたが、釣り人はまるで耳を貸さなかった。道を渡る無関心な人波の中を、猫がつられて駆けていった。#twnovel

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タクシー

2011-11-10 03:02:33 | ショートピース
「月まで」積み上げた餅をドライバーの顔に近づけたが、男は首を振るばかりだった。ならばともう一枚積むがやはり駄目で、もう一枚、もう一枚、白々と餅を積み上げたが、「現金でお願いします」と冷たい答え。「結局金か! 地球がどうなっても知らないよ!」兎は怒って跳ねていった。#twnovel

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氷惑星

2011-11-09 02:31:10 | ショートピース
通りがかりに彼は氷を投げ入れた。それは特別な氷。「溶けるにつれて色も香りも変わってゆくだろう」2時間もするとそれは猫となり、象になり、イルカとなり、様々な形となって海中から這い上がってきた。3年後、人間の創り出したロボットが、彼の星へ到着し生命の起源を探り始めた。#twnovel

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落葉

2011-11-08 02:37:55 | ショートピース
今度は駄目かもしない。彼女は自分の時を悟っていた。一段と強い風が吹き付けて、それでもみんなは持ちこたえた。風が止んだ時、彼女は静かに集団を離れた。「お先に」。落ちながら、一身に今までにないほどの光を浴びて輝いた。光は落葉の誕生を祝福するように優しく彼女を照らした。#twnovel


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