眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

予定変更

2011-09-29 02:09:43 | ショートピース
遺品の整理を済ませて、さて「天国か地獄か」と考える自分はまだ死んでいないことに驚き、想像だけが先走っていたことを知った。こみ上げてきたのは、おかしみ。空っぽの寂しさは何かを始めるにはちょうどよい。私は行き先を「地上のどこか」に変更して、バス停に向かって歩き始めた。#twnovel

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林檎狩り

2011-09-28 21:36:02 | ショートピース
「今度乳搾りにいらっしゃい」はりきって牛Tシャツを着ていくと、人々は競って林檎に手を伸ばし、袋にあふれんばかりに詰め込んだり、その場で頬を膨らませたりしているものだから、僕もはりきって手を伸ばした。「よい林檎ですね」誰かの声に僕も賛成しながら、ところで牛はどこに。#twnovel

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バーベキュー

2011-09-28 21:04:34 | ショートピース
牛をつれて戻ってきた母に向かって、タロウが激しくほえた。「大丈夫。おまえは食べはしないからね」父は数種類の調味料を独自に調合して、特別なタレを作り始めた。「こんばんは」親戚のおじさんが玉葱とトウモロコシと缶ビールを抱えてやってくると、タロウは身を弾ませて出迎えた。#twnovel

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親切な男の話

2011-09-24 05:17:38 | ショートピース
切り落とした野菜の端をただで持ち帰ってあげる、と、その親切な男は素敵に笑い、実際に私が人参の端を何本も切り落とすまで待っていてくれたし、おまけに切れ味鋭い包丁まで分けてくれたのだった。ベルトについた鞄からじゃりじゃりとお釣りを手渡しながら、ありがとうと礼を言った。#twnovel

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閃光のあとで 

2011-09-24 03:52:12 | ショートピース
今度も落選の知らせが届いたが先生は顔色1つ変えなかった。「人の評価など気にしていても仕方ないですね」実際のところ先生の考えはわからなかった。「元々作家としての土壌が違うのですから」雲が閃光と共に割れ、迎えの円盤が現れた。「活躍をお祈りしております。先生の星で」 #twnovel   

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時の審判

2011-09-24 03:25:15 | ショートピース
蓋を開けた瞬間、時の審判がアウトと言った。どうしてという顔でその顔を睨んだのは自分の顔を見ることが決してできなかったからで、本当は手が出なかったことへの後悔をどうにか隠すためだった。(こんなにもストレートだったとは)何層にも重なったベーコンを時が完全に貫いていた。#twnovel

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クジラの夜

2011-09-22 04:17:40 | ショートピース
回れ右と話しかけても駄目で、「迂回せよ」というカードを見せても虫は硝子の向こうを一心に見つめて動こうとしないので、決して触れることはできない私にはもうどうすることもできなかったけれど、その時、ああ硝子の向こうで一瞬にして夜を作り出したのは近づいてきたクジラだった。 #twnovel

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泥棒

2011-09-22 02:22:44 | ショートピース
泥棒と叫ぶ人の声があいつの背中に貼り付いて、一際光り輝いているため、どこにも逃げることが出来なかった。光は、不滅の生命力を持って長い時を経てもあり続け、それを闇の中に沈めるためには、誰かが運んでくる新しい知らせが必要だったのに。あいつは依然、泥棒として光っている。#twnovel

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フリーマン 

2011-09-22 01:47:44 | ショートピース
誰の手も借りない強さを装いながら突き進んでいたけれど、本当はいつも頼りにしていた、あなたはいつでも僕のために、他の束縛を決して受けずに自由の中にその身を置いていてくれたのだから。あなたがいなければ進み続けることなどできなかった。あなたの背番号は140でしたね。 #twnovel   

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夕暮れ

2011-09-21 18:30:15 | ショートピース
本物であることを確かめるように猫はぺろりと一万円札を舐めた。「ありがとう」お魚の入った袋を大事そうに受け取ったお婆さんはぺこりと頭を下げるとくるりと回って歩き始めた。「お婆さんお釣り!」猫はお婆さんを追いかけ店から一歩だけ出た。そしてうっとりと夕暮れ空を見上げた。#twnovel

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彗星

2011-09-20 03:27:44 | ショートピース
すべてが規格外の選手だったという彼は、遠い星からやってきた男という一説もあるくらいで、彼が投げた円盤が二百光年離れた別の惑星の上で発見されたことは、更にその伝説を偉大なものにしました。その記録が確認された時、彼はもう遠い過去の人でしたが、記録は未だに残っています。#twnovel

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濡れ衣

2011-09-20 02:26:47 | ショートピース
ずぶ濡れの汚い男はふらふらと入ってくると何でもいいから何か作ってくれと言い、マスターが何ももらえない覚悟の上で作ったオムレツを瞬時に平らげると、腹の中からパッと札束を出しドーンとテーブルの上に置いたのだった。有難く報酬を受け取ったマスターは翌日緊急逮捕された。 #twnovel

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タイム・オーバー

2011-09-20 02:01:39 | ショートピース
愛の言葉をささやくと女もうっとりとした目で見つめ返しながら、同じような愛の言葉をささやき返してきたし、何度もそれを繰り返す内に2人の距離は次第に近づきもう少しで1つに重なってしまいそうだった。突然、女はマイクを置くとタイムカードを押した。「お疲れ様でした」 #twnovel

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エレベーター

2011-09-15 20:48:21 | ショートピース
重量のない沈黙が、長く誤解の上に留まり続けていた。その時、私たちの脳裏には同時に同じ言葉が貼り付いていたはずだった。「この世界には上も下もない」だから先生はボタンを押せなかったし、ただ真っ直ぐ立ち尽くしていたのだ。私たちは2人して、4月の訪れだけを待ち続けた。 #twnovel

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窓  

2011-09-15 02:31:27 | ショートピース
暗闇の黒のところに薄っすらと灰色を見つけて触ってみると何か枠のようなものが、「こんなところに窓が」私は風を打ち込む。すると窓が大きく開かれて、一気に景色が変わった。世界中の人が拾った風が一面に映し出されて、私は風を学ぶことができた。家の中で、私は旅人になった。 #twnovel   

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