眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

4月のクール

2015-04-24 05:32:32 | スモールライト

10月にも巻き始めていた人が

もうマフラーはいらないなんて

口にガリガリ君をくわえ

花火の準備に駆け出していく


公園のベンチの下で

  ねだる犬

   はしゃぐ犬

    くつろぐ犬

 みんな花見をしている


4月


試合開始のホイッスルは

大観衆にかき消されて

いつになっても始まらない


月の折り返しに

パーカーを脱いだ

長袖のシャツの下は

半袖のTシャツだった


アイスコーヒー 270円

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闇の缶詰

2015-04-10 04:17:30 | ショートピース
缶詰の中から生まれ出るファンタジーを信じて閉じこもった。一度入ればどこにも出口はないことはわかっていた。今までの記憶と想像を融合して世界を広げるしかない。蓋は誰かによって開けられる。それは一度だけのチャンスだ。一瞬の美しさのために、私はいま全力でここに閉じこもっている。
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内部告発

2015-04-07 05:26:29 | ショートピース
傘をさす大勢の人々の向こう側で笹をくわえた唇が揺れている。黒と白が溶け出して交じり合うことを恐れ木のてっぺんまで登ったパンダの正体が知れたのは、触れ合い広場からの告発だった。本当は太った関西人。

「えらいすんまへん」

子供たちの期待に答えたかったと園長は謝罪した。

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ラリー

2015-04-03 07:11:30 | ショートピース
心の中で一つずつ打ち返す日々だった。打ち負けてなるものか。得体の知れぬものなんかに。必死でラケットを振る内に、心は徐々に無に近づいていった。

「私は何かと闘っているのか、それともただ遊んでいるのだろうか」終わりのないラリーに鍛えられて、少し筋肉がついてきた。
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偽装遊戯

2015-04-02 04:45:10 | ショートピース
イベリコ豚とまーさん豚はどちらが本当に強いのか?

素朴な好奇心から始まった戦いは観客の期待に耐えかねて変色していった。クラウド化されたGPS技術の下、完全なコンピュータ制御の中で、見せることと見せかけることの区別が失われた。純粋さと人々が離れて、結末を迎えた。
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