眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

仕切り直し/KFCコーヒー

2023-05-29 23:55:00 | コーヒー・タイム
 今日はハンガーがないどころかロッカーがなかった。休憩室、会議室、喫煙室、お手洗い、水飲み場、更衣室……。そして、ロッカーがまだ間に合っていない。僕たちのロッカーは後回しにされたのでは? 従業員の幸福を重んじているというのは本当か。心遣いは行き届いているか。まさか地べたにポメラを置いておくわけにはいかない。家に置いてきたのは正解だった。

 何もない棚に透明な仕切を入れる作業を延々と繰り返していた。ノンストップで4時間。途中でくらくらしてきて数を数えるのも苦しくなった。集中力には限りがあるのだ。みんな適当に休めてる?

 単純作業、寒さ、寝不足、疲労、ポメラの不在、色々と疲れ切っていた。もう今日は駄目か。KFCコーヒーを飲みながら30分、ノートと戯れていると、だんだん冴えてきた。興味・関心のある題材と向き合う時間が、人生には必要だ。それがささやかな言葉遊びだとしても、今はそれで十分だと思えた。

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行き止まり論者の主張

2023-05-27 15:51:00 | アクロスティック・ライフ
この先行き止まり
通り抜けできません
モグラもヘビも
野ネズミだってそうですし
人など言うまでもありません


後悔するのがみえているから
とどまっておくのがいい
戻れなくなる前に
乗り込まないことが肝要と
ひよこの内に教え込むのだ


口実上手は匿名希望
とめどなくあふれ出るイフ
もしも雨もしも闇もしもの時にどうするの
NO へと行き着くルートを整えて
膝小僧を抑えつけている


恋してみたって
どうせ明日は訪れない
燃え上がってみえる景色は
脳が生み出したフェイク動画
引き上げるなら今です

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どこかともだち

2023-05-26 03:57:00 | アクロスティック・ライフ
コーヒーカップの底がみえたら
どこかへ向けて歩き出そう
もう粘っても何も出てこない
ノートに広がる空白に
日が射してジェラシーに染まる


混沌とした夕暮れ
どこからともなく現れた
物憂いキツネは
脳内遊戯に参加して
引っ張り出したのは暗黒の風景


小回りの利かないカートに乗って
どこへでもお届けに参ります
もずく町の温泉宿から銀冠の小ルームまで
乗り付けてお伺い致します
冷やしてよく振ってすぐにお飲みください


恍惚とした硝子ケースの前で
どこまでも投入は繰り返される
もれなく取れないからこそ
望みは膨らみ続けるばかりだったし
非常線は僕らをまだ正気に返さなかった

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「生きる」仕草

2023-05-25 01:25:00 | グレート・ポメラーへの道
太陽に火を足す。完全に消えてしまう前に。ささやかな仕草だけど、それが僕の仕事だ。鉛筆がなくなっても、スニーカーがなくなっても、まだどうにかなるものだけど、太陽がなくなったらそうはいかない。他のものとは大きさが違う。その輝きに慣れすぎると、大きさを忘れてしまうけれど。「他はええ。ご飯と漬け物だけあったらええ」時々おじいちゃんの声を思い出すのはどうしてだろう……。絶やしてはならない、人類の希望の光を、僕はこっそり守っている。それは責任のある仕事だ。しっかりしなくちゃ。

バッターはスイングを
ジョーンズは探検を
芸人はフリップを

繰り返す繰り返す

ピッチャーはモーションを
ギタリストはリフを
落語家は座布団を

好きを繰り返せ
そいつを繰り返せ

それぞれの仕草の中に
「生きる」がある

アスリートはジャンプを
ディレクターはカットを
武道家は我が道を

好きを繰り返せ
そいつを繰り返せ

繰り返す仕草の中に
「生きる」がある

どうせ同じだと
寝ぼけたことを言う前に

仕草を見つけ出せ
見つけたら繰り返せ
考えなくてもわかるように
繰り返せ繰り返せ

考え始めれば進めない
乗り越えるべき壁の前
自分を見失ってしまったら
理由も理屈も捨てて
仕草にすがりつけ

仕草の中に好きが戻ってくる
仕草の中に「生きる」がみえる

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ドローンの翼

2023-05-24 01:26:00 | アクロスティック・ライフ
小さじ1杯の雨で
ドローンは空をあきらめた
ものぐさにも似た
軒下からの判断に
翻る旗がみえた


虚空を横切って飛翔した
ドローンが降らせていた
森のミルクが激しくて
野良猫たちをユキヒョウに変えた時
人はまだ毛布にくるまれていた


コンソメスープを積んで東京を発った
ドローンは神戸から岡山へ
もはや新幹線よりも速く
乗り物の歴史を
一っ飛びで越えた


これみよがしに
ドローンを操ってみせる
モモンガは第二の翼を手に入れる
のびしろを一気に拡張して
飛躍の時代を迎えていた

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スマート押しボタン式信号機

2023-05-23 03:58:00 | グレート・ポメラーへの道
「ここで何をしてるの?」

「信号を待っている」

「どうして待ってるの?」

「赤だから」

「だからどうして?」

「決まってるから」

「誰が決めたの?」

「昔の人だよ」

「いつまで待つの?」

「青になるまでさ」

「ただ待つだけ?」

「待つしかないからね」

「ふーん、暇なんだ」

「そうじゃない」

「あの人はもう行ってるよ」

「あの人は……」

 信号が変わると男は消えている。けれども、信号を待っていると再び男は現れる。疎ましい奴だ。

「ねえ何してるの?」

「信号を待っている」

「どうして待つの?」

「赤だからね」

「だからどうして?」

「みんなそうする決まりなんだよ」

「みんな?」

「みんなだ」

「本当にみんな?」

「そう。みんなだ」

「損してるんじゃない?」

「そんなことないよ」

「あの人たちはもう行ってるよ」

「そうかい」

「楽しく歌ったり陽気に乾杯したり」

「そうかい」

「わいわい騒いだりしてるよ」

「人は人だよ」

「あなたは?」

「信号を待ってる」

「決まりだから?」

「決まりだから」

「遅れてるんじゃない?」

「遅れても生きてるんだよ」

「守る価値があるの?」

「生きていればチャンスは残せるからね」

「ただ待つの?」

「そうだ」

「ふーん、暇なんだ」

「そう思うならそれでいいよ」

「ふふ、やっぱりそうだ」

 信号が変わると男はもういない。長い信号は苦手だ。問い詰められる時間まで長くなってしまうから。点滅が終わろうとする頃に飛び込んでいく人の気持ちも少しはわかる。待たされて苦しむ時間がみんな嫌いなのだ。
 松虫通の端っこに、押しボタン式の信号機がある。ボタンを押すとおよそ2秒で歩行者信号は青に変わる。なんて話の早い信号だ! 渡り切ってから5秒もすればもう車が流れ始めている。問い詰め男が現れる余裕も与えない。この信号をどこへでも持ち運ぶことができたなら、人間の時間はもっと豊かなものになるのではないだろうか。
 横断歩道を渡った道をそのまま真っ直ぐ進むと迷わずモスバーガーへ行くことができる。

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読者さがし

2023-05-22 22:31:00 | アクロスティック・ライフ
こんなところに
読者なんていない
森永牛乳と海苔巻きあられと
ノートが一緒に入っていたとして
開こうとしているそれは作者だ


小結が金星をあげた時
読者は西の空から現れる
猛獣と巨人をつれた
ノマドワーカーが 
東から出迎えるだろう


光速カートで
読者をつかまえられる?
モナ王が入っていた空き箱
野良猫はナイト・チーフを待ちながら
ひねくれた姿勢をとっていた


コラムやポエムを求めていた
読者であり続けるような必然性はなく
もっと楽しめるものを求めて
乗り換えるためのホームへは
人差し指をずらして行けたのだ

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その限りではない

2023-05-21 03:27:00 | グレート・ポメラーへの道
長時間ぼーっとする方大歓迎!
短時間集中して学ぶ方お断り!

 がむしゃらに打ち込む時代は終わっていた。人々は与えられた1つのドリンクの前で大人しくするように丸め込まれている。少しでも長居したい。そう考えるなら、掟に反抗するのは愚かなことだ。積極的に何かを始める仕草をみせる者は誰もいない。広々としたテーブル、格調高い椅子、和菓子のようなソファー、どこを見回しても熱情の切れ端は見当たらない。越してきた幽霊のような顔をした人がくつろいだポーズを取っているだけだった。
 大人しくしているから不満がないと?
 僕はまだ騙されているだけかもしれないぞ。

笑っているから楽しいと?

悪いことをした人が捕まるの?

水槽にいるのは金魚なの?

ピストルが鳴ったら走り出す?

怖がらせるのがお化けなの?

布団に入ったら眠るのか?

缶を開けたらすぐ飲むの?

角道を止めたら振り飛車か?

テレビを壊すとロックなの?

上着を着たからすぐに帰る?

雨が降ったら悲しいの?

離れていたら忘れるの?

玉葱を炒めたらカレーなの?

笑っていれば平気なの?

チョコをくれたから好きなの?

チョコをくれないから好きじゃないの?

 そんなことない!
 世の中そんなに甘くも単純でもない。

「全くなんて限りない世界だ!」
(手に負えない世界だ)

「早くここを出して!」

 鞄の底から魂の叫びを聞いた。
 次の瞬間、テーブルの上にはpomeraが乗っていて僕の指は吸い着くようにその上を這っていた。そして間もなく店の人が駆けつけてきた。

「お客様、お勉強の方は……」

「はあ?」

「他のお客様のくつろぎマインドの妨げになりますので」

「えーっ?」
 そんなことで僕らの運動が止められるはずないだろう。

「お客様! 退店していただきます!」

 ふっ。笑わせるな。
 お勉強だって?
 そこまでしていったい何を守りたいのだ。
 こんなところこっちから願い下げだ。

「チッ!」

 最後にpomeraが捨て台詞を吐いた。
 ミサイルの飛び交うメインストリートを抜けて、僕らは寛容なテーブルが残された街をたずねて歩き出した。

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コーヒー・ブレイク

2023-05-20 09:06:00 | アクロスティック・ライフ
コーヒーをいれる
ドーナッツの穴を見つめている
もたつく振りを極めながら
のたうち回っているのは
ヒントなしでまだ悩みたかったから


コーヒーを頼む
唐辛子の瓶を見つめている
持ち場がどこか見失い
ノートをヤギと分け合っている
日が伸びたら影が縮んだ


コーヒーをぶちまける
どんぐりの背比べを見つめている
もう夜か、もう朝か
乗り場はどこか見失って
悲嘆に暮れる力はない


コーヒーを嗜む
豆腐の角を見つめている
森を見ながら木を見失って
のりを巻き戻してみたら
ひりひりとして少し痛くなった

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平行ポリス

2023-05-19 00:51:00 | アクロスティック・ライフ
交番勤務の男は自転車に乗りながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もう観念しなさい」
逃れられると思ったら大間違いである
非番であっても正義感が勝っている


交番勤務の彼は音楽を聴きながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もうなんてヘビーなローテーション」
ノー・ミュージック ノー・ライフ
ヒップホップにどっぷり浸かりたかった


交番勤務の彼はラーメンを食べながら逃げる
泥棒を追いかけ回している
「もう真夜中じゃないか」
伸び行く時は情熱を冷まさない
額に光る汗こそが勲章であった


交番勤務の彼は煙草をふかしながら逃げる
泥棒を追いかけ回していた
「もうしませんくらい言いなさい」
ノー・シガレット ノー・ライフ
日々は連なる欲望の縄のようにもつれやすい

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謎の茶碗と先客

2023-05-18 00:03:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
テーブルにもう1つあるお茶碗に食べ手のいない山盛りごはん

戸棚から食器が2つ出てきたが中にはついに何も入らず

3年も前に期限が切れている無限もやしにまだ未練あり

お茶碗と杓文字を構え立ち上がる母に応えた空っぽのジャー

ピザパンを皿に移して開かれたレンジに残る謎の先客

大きさも形も違うそれぞれの紅茶カップにまめ茶が入る

片づいた食器の後に開封のあんパンはまた別腹らしい

何曜日? 訊かれてもまた訊かれても僕が答える今日は火曜日

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あなたを

2023-05-17 05:01:00 | グレート・ポメラーへの道
 松虫通を少し越えたところでバイクは溝にはまっていた。動けなくなった? 忘れられている? 目の前に信号があるかのよう僕は足を止めて残されたバイクのことを考えていた。
 タイムスリップしてたまたまこの溝にはまってしまったの。緑の男たちから逃れるために、主人を思い自らの判断で身を隠したの。主人と喧嘩して拗ねてはまっていたけれど、草たちに囲まれて「いつも風を切ってるんだって?」意外とよくされて、居心地がよくなってずっとそのままいるの。空を飛んでいたけれど燃料切れになって落ち着いたところがここなの。道を走っていたけれど突然大地が歪んで挟まれてしまったの。主人が新しい車に乗り換えてから駐車場にいる時間が長くなったことに耐えかねて、家を出てきたけれど行くところもなくて溝にはまってしまったの。あるいは……。

「さあ、乗ってください」

 ポニーは突然、口を開いた。
 バイクについて考えていたけれど、いま目の前に存在しているのはバイクなどではなく、生きたポニーだった。どうして気づかなかったのだろう。

「新しいポメラがあなたを待っています!」

「僕を知っているの?」

「さあ、早く乗って!」

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どうかしてました

2023-05-15 22:37:00 | アクロスティック・ライフ
コーヒーが嫌いだなんて
どうかしていた
もらい泣きするために客席をみていた
ノイズの中にかき消された台詞が
人の口の中に流れて行く


殺し屋に恋するなんて
どうかしていた
モラルを置いて負のスパイラルへ
乗り遅れた列車にみえたのは
品詞のサンプルだ


駒音が聞こえたなんて
どうかしていた
もう世界は終わりを迎えたと
note にはっきりと記されていて
人がいたのは遠い遠い昔の話


コオロギと躍っていたなんて
どうかしていた
モナカを被って夜を越した
野原一面は真っ白になっていて
疲弊の上にメルヘンがあった
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この僕のせいだ

2023-05-14 09:13:00 | アクロスティック・ライフ
この僕のせいだ
時の審判は平等だった
モーションに隙はなかった
乗り換えられたのは僕に
光るものが足りなかったからだ


この僕のせいだ
トーチカは何も悪くない
もちろん振り飛車だって悪くない
乗り越えられなかったのは僕が
光る手を指せなかったからだ


この僕のせいだ
特急はいつも通りに発ったけれど
毛布の中はより平安だった
乗り遅れたのは僕が
羊をずっと追っていたからだ


この僕のせいだ
読者は何も間違ってなく
物語そのものが悪いのでもなく
乗り過ごさせなかったのは僕が
引き寄せる展開をみせなかったからだ

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どごまでも行く

2023-05-13 17:36:00 | アクロスティック・ライフ
恋破れた日には
どこまでも歩いて行こう
戻れなくなってもいい
脳がとけて海になったら
人はどうなるのだろう


駒箱からすべてが飛び出してきたら
どこまでも指し続けよう
もう千日すぎたけど
呑み込めないね
引き分けなんて


小松菜が有り余っていたら
どこまでも炒め続けよう
燃え上がるフライパンを振って
濃厚なソースを絡める
火は雄弁に情熱を語るだろう


コーヒー・ショップがみつかるまで
どこまでも歩いて行こう
物欲しそうにしている間は手に入らない
ノートにあったいつかの覚え書き
東に逸れて田園が広がる

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