眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

我々はぶっ通しで働く仕様なのか?

2024-07-17 19:00:00 | いずれ日記
 留学生が、「勝手に休憩をとるな」と注意を受けている。何を言われているか、彼らに飲み込めるだろうか。正社員と呼ばれる人たちは、勤務時間中に談笑したり、喫煙したり、適当にのんびりと過ごす時間もあるように見える。雇用形態が異なると、事情は全く異なるのだろうか。

「我々は水1滴さえ自由に飲めないのか?」

 使う側の立場としては、時給で働く形態だから1分も無駄にさせては損と思っているのだろうか。理屈はわからなくもないが、いくつか疑問な点もある。人間というものを理解できていれば、そんな単純な考えはできないのではないか。逆の立場で考えてもまるで平気なのだろうか。(中にはそんな想像とは無縁の人もいるかもしれない)
 法律上は問題ない。5時間の労働に休憩などなくてもいいと言う人もいるかもしれない。
 しかし、人間の集中できる時間には限りがあるのだ。まず5時間なんてとても無理だ。集中力が持つのは果たしてどれくらいか。高い人で3時間くらい、普通は90分から2時間くらいのものである。それ以上作業を続けていると、動作が遅くなったりイージーなミスが出やすくなる。学校の授業でも、ある程度集中して詰め込んだら、5分、10分の休憩を挟むものである。
 同じ姿勢を長時間続けることには無理がある。高い集中力を持つとされる将棋の棋士を例に見てみよう。延々と地蔵のように背筋を伸ばしていられる棋士は希有である。多くの棋士は、正座から胡座に組み替え、座布団の上に伏せ、天を仰ぎ、脇息にのめり込み、ついには立ち上がって廊下を歩き回るのだ。同じ姿勢を続けるよりもその方が脳を回転させることができるからだ。それほど同じ姿勢を保つことは難しいということの証明だ。人間は、眠る時でさえ寝返りを打たねばならない。そうしたことを踏まえた上で、どうすれば効率的に働いてもらえるのか。問われているのは、人を使う側の姿勢でもある。
 我々はロボットではない。腹も減るし、のども渇く。「腹が減っては戦はできぬ」と言うではないか。少なくとも、水分補給くらいは絶対に必要なはずだろう。







「我々にコーヒー・ブレイクはないのか?」

 2時間も頑張ったら、5分くらいは完全に動きを止めてはどうか。コーヒーでも飲んでリフレッシュすれば、集中力も復活して気持ちよく働けると思うのだが、どうだろうか。
 彼らは歯止めが利かなくなることを恐れているのだろうか。もしもむやみに休憩なんか与えたら、5分が10分になり、ずるずると際限なく休み続ける者が出てきやしないか。途中でいなくなる者が出てきやしないか。ボール遊びを始める者や、カードゲームに夢中になる者が出てきて、収拾がつかなくなりやしないか。正社員以外の働き手をまるで信用することができず、昔の学校の部活みたいにほとんど迷信的に、支配下に置こうとする。仮にそれが本当ならなんと愚かで嘆かわしいことだろうか。
 その結果、我々の労働力は必然的に低下して、残業することになる。そうなれば残業手当も発生する。それでいったい誰が得をするというのか。我々はしあわせになるために生きている。そのためには、不条理な賃止まりや賃下げ賃渋りが改善され、時給で働く中でも適切な休憩時間が認められることが望ましい。

 我々の社会には、従業員のしあわせを優先的に考える会社もある。それとは逆に、一部の優先的な社員の利益の他は全く考えない会社もある。ブラック企業と呼ばれる会社はそうであろう。
 いずれにしろ、我々は現在置かれた環境と向き合いながら、生きる道を探していかねばならない。働き方改革が叫ばれているが、それが必要な間は、我々人間は依然として労働と切り離されることもない。我々が直面する現実には、うんざりするような場面や泣き出したくなるような出来事があふれている。我々はそれに対して一喜一憂するのではなく、我々の目指す理想の実現に向けて、広い視野を持ちつつ歩み続けねばならない。我々の星の歴史の中で、こんなページもあったねと未来のどこかで振り返り笑える時が訪れることを夢見ながら。








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どうして人は日記をつけるのか ~一行日記のすすめ

2023-11-07 01:47:00 | いずれ日記
「いつだったかな……」

 伯父さんが家に来たと母が言ったが、それがいつだったかは定かではない。あまりに最近のことだからだ。先週だったか。9月かも。だんだんと自信がなくなってくる。盆だったかな……。盆ではないことは確かだった。わからなくなるから日記をつければと僕は言った。以前はつけていたが、2年前にぱたりとやめてしまったという。

 10月は祭りが多いと母が言った。あれは11月か……。それから過去の記憶に遡って、子供の頃の祭りの話をしてくれた。昔は、夜通しの舞があったという。午前0時頃に出かけて舞を見に行ったこともあったという。祭りにはお芝居もあって、遠方より劇団が来たという。芝居は(つづく)で終わり、日をまたいで人々の興味を引きつけたという。電話越しに母の声は生き生きとしていた。今ではすっかり過疎化してしまってとても考えられないという。祭りがあっても集まる人は少ないだろうし、神主さんも地元に残っていないかもしれず、外から呼ばなければならないくらいだとか。昔話なら、湯水のように湧き出てくる。記憶に深く刻まれているからだ。

「一行でもいいじゃない」
 僕は母に日記を再開してほしかった。

「あんたは書いてるの?」
 勿論、僕が書いていないわけがない。僕は日記しか書いていないのだ。

 書いても書かなくても、いずれにしろ日々は過ぎ去っていくばかりだ。書き出すことは楽しい。続かなければそこで終わってもいい。そうしてまた明日書き出せばいい。眠る前の10秒でも時間を割けばできることだ。
 ささやかな一行も、明日を指す矢印になってくれる。書き連ねていけば、やがては物語にもなるだろう。

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余ったカレーの使い方

2023-11-03 09:13:00 | いずれ日記
 少しだけ余ったカレーをどうしようかと考えていた。カレーうどんは少し前にした気がした。ならばパスタに絡めてみるのはどうだろうか。カレーは何にでも合うのだ。パスタの方も何にでも合うのではないか。そうしたもの同士が向き合うことに、何の問題もない。しかし、パスタは昨日食べたのではなかったか。だったらそこは避けた方が無難というもの。一旦、麺類から離れるべきかもしれない。もっと冒険をしてみるべきでは? 余ったカレーを元にして、カレー屋さんを始めてみるのもわるくないだろう。自分でも思ってもみなかった結果が出ないとも限らない。だが、飲食の世界は厳しい。素人が思いつきで手を出すと後が怖い。なかなか素晴らしいと思えるアイデアは出てこない。あなたも、このような問題を抱えて日々もやもやとした思いをしているだろうか。
 いずれにしろカレーは美味い。人の数だけ、余ったカレーの生かし方は存在するに違いない。僕は余ったカレーをごはんにかけて、日記をつけながら食べた。

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カレー作りの考え方

2023-10-29 09:17:00 | いずれ日記
 考えることに疲れたらカレーを作る。今日カレーを作っておけば、明日は何も考えなくてもカレーはあるからだ。すっかり日が暮れて、スーパーにカレーを作る準備に行った。主役の玉葱は家にまだあったのでそれだけは安心だ。ミニトマトは300円ほどした。アスパラは200円ほどだった。じゃが芋はばら売りのがなくてまとまって買うと300円ほどした。洋人参は1本でも150円ほどした。甘さがほしくてりんごのペーストを買うと100円ほどした。鶏もも肉は400円ほどした。ついでに小さなパックの豚ロースにも手を出すと250円ほどした。スープカレーは400円ほどした。牛乳も買っておこうと思い牛乳を買うと牛乳は300円ほどだった。
 そうしてレジに行くと2500円を超えていた。そんなことがあるだろうか。ちょっとカレーを作りたかっただけなのに……。1000円くらいで収まってもいいだろう。救いを見出すならば、1皿2皿のカレーではないということか。いずれにしろ、準備したからにはカレーを作らなければならない。鍋いっぱいにカレーを作って、しばらく頭を空っぽにしたい。

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ガレージ奥の診断

2023-10-27 02:00:00 | いずれ日記
頭痛、鼻水、発熱、倦怠感……
何れかに当たる方は、事前の予約が必要となります。

 クリニックの前であてが外れた。何れかどころか、そのほとんどが当てはまる。今からお願いしたいと電話した後で、財布を見ると千円しか入っていなかった。大きな病院でなければ、現金以外は絶望的だ。僕は5時半に予約して現金を取りに戻った。家に着く頃にはもう5時半が近づいていた。いつもよりも道が遠く感じられる。再度電話して予約を6時に変更してもらった。「予約ですので……」時間を守るように厳しく念を押された。

 5分前に着いた。扉の前に立っているとしばらくして中から看護師が出てきた。検査は外で行われるという。壁沿いをまわり緑の自転車のところで待つように指示される。歩いて行くと自転車の横のシャッターが上がり始めた。ガレージのようだ。奥から先ほどとは違う看護師が出てきた。

「中へどうぞ」

 一瞬、車のドアに手をかけそうになった。奥のプレハブ小屋の中はピロピロ・カーテンで仕切られていて、丸椅子が2つばかり置かれていた。インフルエンザの検査をした経験があるかと看護師はたずねた。指のならあると答えると彼女は少し首をひねっていた。ティッシュを手渡し、10秒耐える約束をすると、鼻の中に綿棒が入ってきた。僕は顔を歪めうめき声をあげた。5分待てと言い残して彼女は去っていった。
 仕切の向こうに手袋をした男が現れた。

「コロナ」
「コロナ?」
「そう、コロナ」
 明日からの仕事はどうすべきかとたずねた。医者は休めと答えた。

「どこがしんどい?」

 僕は咳が出るのがしんどいと答えた。しんどくないのにどうして来たのだと言って医者は不機嫌そうな顔になった。仕切越しのため上手く伝わらないのだろうか。想像していた医者とは、少し違う。薬は並の奴でいいかと医者はたずねた。いいのは早く治るが9000円だと言う。飲まずに平気かと僕はたずねた。高くつくので普通の人は頼まないと医者は言った。その後のことは看護師に聞くように。とりあえず10日分の薬を出すと言った。10日だと?

 看護師が検査キットを2つ持って戻ってきた。証拠になるので写真を撮っておけと言う。代金は4000円と少しだった。5日が過ぎれば後は自己判断で何とかせよ。何かあればこちらへとチラシのようなものと処方箋を持たせてくれた。

「今日はどうされました?」

 近所の薬局に閉店前に駆け込んだ。

「コロナ」

 返事は特になかった。
 痛み止めと10回分の咳止めを受け取った。500円くらいだった。

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面接の炎

2023-10-21 03:23:00 | いずれ日記
 企業よりお知らせメールが届いたと求人サイトから知らせが入った。お知らせを見るには、まずはマイページにログインしなければならない。マイページへのログインには、予め認証コードの取得が必要となる。認証コードはURLをたどった先にある。しかし、認証コードを発行するには、応募者管理番号が必要となるのだった。応募者管理番号は最初のメールにあるようだ。管理番号によって4桁の認証コードが発行され、それを間を置かずに入力することによって、初めてマイページへのログインが成功する。すべて抜かりなく手順を踏んでマイページにログインすると、確かに企業よりメッセージが届いていた。

 応募者多数の中より慎重な選考の結果、
 残念ながら不採用と決まりました。
 今後のご健勝を心よりお祈りしております。

 履歴書の熱量、アピールするものが、どこか不足していたのだろう。もっと面白く、ストーリー性を持たせるべきなのだ。もっと人を楽しませたい。そうしてこそ、自分自身も楽しむことができるようになる。僕はそんな人間ではなかったか。
 タイミングの他にも、成否を分かつものはきっとある。いずれにしろ、来週にも次の面接の予定が入っている。面接の炎を絶やさない限り、落ち込んでいる余裕もない。

「当日は動きやすい服装でお越しください」
 パジャマくらいでいいということで、気分は割と軽い。

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夢の中の不死身説

2023-10-20 04:41:00 | いずれ日記
 夢の中では死ぬことはないだろう。多くの経験、夢の記憶からいつからかそのように考えていた。夢は主人公(自分)の視点によって動いていくものだ。主人公(自分)が現実の自分と異なることはある。スターになったり偉い人になったり、犬になったり幽霊になったり宇宙人になったり、変身を繰り返すことはある。空を飛んだり、星をまたいだり、人間離れした能力を発揮することもある。しかし、死んではならない。視点を失って物語が進まなくなるからだ。


 ジェルボールが溶けなかった。洗濯物を全部取り出した後、それはそのままの形でそこにいたのだ。きれいじゃないか。僕は本当に洗濯をしたのだろうか。急に自信がなくなった。覚えているのは、スタートボタンを押したことと、終了のブザーが鳴ったことだけだ。洗濯をしたつもりが間違って乾燥だけをしていたのでは? しかし、そんなことがあるだろうか。確かにちゃんと見張っていたわけでもないし、聞いていたわけでもない。(お気に入りのプレイリストを聴いていたのだ)昨日買ったばかりのジェルボールだった。それだからか。久しぶりのジェルボールだった。それだからか。ジェルボールは真っ先に投げ入れたはず。しかし、その後は? 洗剤を使わず洗濯は終わった。これで洗濯したと言えるのか? 頑固な汚れ物はなかったとは言え、それでよいのだろうか。もう一度するか。もう遅い。もう一度しても駄目だったら……。葛藤している内に、夜は深まっていた。ぷるんとしたジェルボールをドラムの中に投げ入れると、僕は洗濯機の扉を閉めた。これは夢では?


 オリエンテーリングのようなものの中にいた。赤箱を蟹挟みして僕は浮遊した。いつもよりも体が軽く切れているようだった。人の間を縫うようにして抜ける。皆が苦労するトラップも、僕にとっては子供だましにみえた。
「上級者の邪魔をしないようにしないと」
 もたついていた人が気を遣って道を開けた。僕は加速をつけて螺旋コースを降りた。才能が違う。自分でもそう自覚することができた。

「終わりました!」

 当然僕が最初だろう。けれども、賞賛でも歓迎でもなく、ため息のようは声が返ってきた。

「ああ……」

 大泉さんは残念そうな顔を向けた。その顔で僕はすべてを悟った。

「もしかして、間違えてます?」

 ルールをちゃんと読んでおくべきだったが、自惚れすぎていた。改めてルールブックに目をやってすぐに背けた。才能、希望、自信、そんなものは幻だ。僕のは全部がデタラメではないか。

「迷惑かけてます?」

 優勝どころか運営の妨げにもなったのではと気がかりだった。

「いえいえ。いいんでこれ持って帰ってください」(好きなだけ)

 参加賞か。それは大袋に入ったきな粉のようだった。だけど、これをどうして持ち帰ればいいだろう。小袋がなければ、無理ではないか。自分がどう動けばいいかわからず、袋の周辺をただ撫でていた。すると亀裂が生じて中の粉が漏れ始めた。僕は更に追い込まれて狼狽えていた。あわわわわ……。

「逆さにして底の方を開ければいいですよ」(こうやって)

 大泉さんが大袋を直しながら、子供に言うように言った。
 僕は本当に駄目だな……。
 夢の中で僕は死にたい気分だった。


 夢の中ではじめて刺された時、僕は驚いた。そんなことはないと信じていたからだ。もう駄目だと僕は観念した。そして夢は終わった。死は夢を強制終了させるだけだった。色んな終わり方がある中で、単純で最も悲劇的な形の1つだったのだ。死が夢を終わらせた時は、目覚めによって現実がはじまる。当然、目覚めは酷く味が悪い。
 いい夢は「何だ夢か……」という未練が残る。悪い夢は「夢でよかった」と感謝もする。どちらもよしあしはあるのではないか。いい夢をみるばかりが幸せとも言い切れない。
 いずれにしろ、眠りがある限り夢をみるだろう。夢と現実を照らし合わせながら、生きていくのだと思う。

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一両日中に連絡します ~感動カンパニー

2023-10-06 21:24:00 | いずれ日記
「一両日中に連絡致します」

 早々にメールが届き僕は安心した。お菓子を食べながら、連絡を待っていた。ベビースターラーメンに柿の種とピーナッツが一緒に入っているお菓子だ。これは美味いぞ! 誰がこんなものを考えたのだ。あるいは、見つけたのだろう。既に存在するものでも、それらを組み合わせることによって、全く新しい価値を生み出すことができる。ベビースターラーメン&柿の種&ピーナッツは、そんな大切なことを教えてくれた。1日が過ぎ、2日が過ぎた。こんなこともあるのだろうか。3日目の朝、僕は挨拶だけのメールを返信した。

 翌日になって担当者からメールが届いた。そこには面接の予定日が候補としていくつか並んでいた。驚いたことに、それらはどれも過去の日付だった。こんなこともあるのだろうか。しかし、コンタクトができているだけ前向きに考えることにした。メールのやりとりを重ね、過去と未来の辻褄を合わせた。最新の面接予定日は、10月の中旬からだった。どうやら急募ではないことが明らかになった。

 僕はお菓子を食べながら、10月を待つことにした。ベビースターラーメンに柿の種とピーナッツが一緒に入っているお菓子だ。これは美味いぞ! 僕は改めてベビースターラーメン&柿の種&ピーナッツに感動した。よいもの(よいこと)は、何度口にしてもいいのだ。

 あなたはお菓子を食べるだろうか。もしもお菓子を食べる人なら、定番のみならず色々なお菓子に興味を広げてみるのもいい。お菓子の冒険だ。多くのカンパニーは、日々美味しいお菓子を生み出そうと努力を重ねている。あなたが手を伸ばした先には、新しい感動が待っているかもしれない。お菓子は、子供からお年寄りまで、すべての人に親しまれ愛され続けてきた。スーパーや商店街に行けば、必ずといっていいほどお菓子コーナーがあるのではないか。
 いずれにしろお菓子は美味い。そして、お菓子に触れることのできる余裕が、世界にあふれていればいいと思う。

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みんな駄目でした 

2023-10-02 23:53:00 | いずれ日記
 チャーハンも駄目、キムチも駄目、高菜も駄目、挨拶も駄目、笑顔も駄目、水も駄目、ビールも駄目、チャーシューも駄目、メンマも駄目、葱も駄目、もやしも駄目、割り箸も駄目、餃子も駄目、唐揚げも駄目、看板も駄目、照明も駄目、テーブルも駄目、レジも駄目、貼り紙も駄目、窓も駄目、天井も駄目、バターも駄目、コーンも駄目、煮玉子も駄目、レンゲも駄目、店長も駄目。

 これだけ駄目なら、いずれにしろ先は見えている。
 もうみんな駄目駄目なのははっきりとわかりました。人々の顔を見ていれば、ロボットでもわかること。駄目になったのは向上心で飾り立てた欲望のせいだ。私たちは広げすぎたようです。もう、みんなやめましょう。そして、原点に戻るのです。麺とスープ、他は残らず捨ててしまいましょう。
 そして、私は無人販売機になりました。24時間、いつでもあなたをお待ちしています。

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求人サイトのミスマッチ

2023-09-28 23:47:00 | いずれ日記
 まつりか……。夏は終わったみたいだけどまあいいか。夏の終わりに僕はまたインディードから応募したのではなかったのか。何かまつりに関連する企業のようだった。3日くらいして企業からメールが届いたのではなかったか。

「専用フォームより送信してください」

 そこで僕は様々な個人情報を入力した。何かが欠けていると次へ進むことはできない。確かそんなフォームではなかったか。最後に面接の希望日を3日ばかり入力して送信したのではなかったか。

「選考の結果を連絡します」

 面接の前に選考か。僕はそう思ったのではなかったか。それっきり、企業からの返信は途絶えた。僕は応募ページに戻り企業名を確かめた。ホームページに行って連絡先を確認した。そこに電話番号は存在しない。コンタクトするには、専用フォームから送信しなければならない。面倒くさくなって、僕はそこであきらめたのではなかったか。電話は効率がわるい。リアルタイムで対応しなければならないし、長電話になる可能性もある。そんなところを突き詰めて、テクノロジーに特化した。そんな企業ではなかったか。

 求人サイトには、様々な企業、情報があふれている。名前は違っても、元は同じ企業であるということもある。事務所も電話も存在しない。中にはそんな企業もあるだろう。電話番号と担当者の個人名が掲載されている。そんなところなら、すれ違いになることも少ないかもしれない。いずれにしろ、多く経験することも必要だ。僕はそのように思いながら日記をつけたのではなかったか。
 そうして忘れた頃に、メールの返信がきたのではなかったか。夏はまだ終わっていなかった。10月の暦には、面接の予定が毎週のように入ったのではなかったか。そろそろ長袖の準備も必要かな。僕はそんなことも思ったのではなかったか。

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自然消滅(ああ、やっぱりそういうことね)

2023-09-19 01:50:00 | いずれ日記
「選考の後、採用の場合は電話にてお知らせさせていただきます」
(あれっ? 電話番号は? あー、これか。ではこちらの方へ)

 彼女がそう言っていたのは、確か先週の今日か明日か……。担当者は前の人ではなかったようだ。春にも落ちていたから、どうせ駄目だと思っていた。あまり期待はしていなかったのだ。しかし、(前もそうだったけど)話をした感触から、何か少し楽観している、望みを抱いている自分も、少しはいたのだろう。早々に返事がない場合はだいたい駄目。週を明けて返事がなければ、ほとんど駄目。そして、火曜日、水曜日。はずれくじを握りしめながらどこかでまだ逆転を待っているような自分。最初からわかっていたことも、現実として受け止めるのはまた別だ。選考は本当に存在するのか。本当に人を募ってはいるのか。

 企業によっては、採用不採用に関わらず連絡し、中にはご丁寧にその根拠にまで踏み込んで説明するところもあるらしい。あなたはどちらのタイプが好みだろうか。採用時のみ連絡という方が、合理的ではある。だが、何かもやもやとする。恋愛や友人関係が自然消滅していく時のような、緩やかな傷つき方をする。(ああ、やっぱりそういうことなのだ)相手は何も言わないので、自分の中で納得していく過程は切なくもあるだろう。合理的というなら、本当はその場で答えが出ているのなら、僕はその場ではっきり言ってもらっても構わない。

「お前なんかいらねえよ! とっとと帰れ!」

 中にはそういう尖った企業もあるかもしれない。
 いずれにしろ、僕はまた何かを探さねばならない。人でも会社でも、出会いというのはタイミング次第なのだ。歩みを止めない限り、世界のどこかにはきっとまだ希望はあると信じられる。

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覚えていますか?

2023-09-10 16:05:00 | いずれ日記
 夏の終わりに、新しい仕事に応募した。インディードからの返信に、僕は驚いた。応募した先と違うぞ。どうやら運営元の会社が、あの会社のようだ。募集ページではそこは伏せられていただけだ。世の中は狭いものだ。あるいは、例の運営会社が手広いと言うべきか。僕はバーチャルレストランの存在を思い出していた。メニューは全然違っても、作っているとこは案外同じだったり、そんなことはよくあった。
 いずれにしろ、明日はあのビルの6階のドアを訪ねることになった。

(約束したからもう仕方がない)

 担当者は春に会った人と同じだろうか。
 どうせまた落とされる。そう思えて少し気が乗らない。

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八百屋さんへ行こう!

2023-09-07 15:30:00 | いずれ日記
 本を手にしたい時には、本屋さんへ。コーヒーが飲みたい時には、カフェへ。では、野菜が欲しい時には? 何の疑いも持たず、僕はずっとスーパーに足を運んでいた。(本当に何も疑わなかった)だが、今日になって僕は目覚めた。随分と時間はかかってしまったけれど、目覚めることはよいことだ。これをきっかけに、もっともっと色んなことに目覚め始めるかもしれない。当たり前だった日常に一筋の光が射した。光は大通りを逸れて、少し寂れかけた商店街の方へ伸びる。すっかり忘れていたのは、八百屋さんという存在だった。

 今までずっと長いものに巻かれていたのだろうか。なぜ、スーパーだけにとらわれていたのだろうか。スーパーを過信しすぎてはいなかったか。反省の意を込めて、スーパーについて考え、また八百屋さんについても考えてみたいと思う。

 スーパーには、様々なストレスや危険も待ち受けているようだ。だいたいのスーパーは入り口が自動ドアになっていて、外部と完全に遮断されている。中に入ろうとすると、出てくる人とぶつかりそうになることも多々あるのではないか。一方、八百屋さんの多くは通りに面していて、だいたいはオープンになっていることが多い。店に入るまでもなく野菜に近づくことができるのはうれしい。

 スーパーは店が広いだけあって、客も多い。(時には多すぎる)密閉された空間に効ききずぎた冷房は、体にわるい。人が多い分、身動きも取り辛く思うように買い物が捗らない。歩く内に迷ってしまったり、歩き疲れてしまうこともある。時間帯によっては、レジには長蛇の列ができてしまう。八百屋さんなら、時間帯によっては貸し切りだ。列に並ぶようなことはほとんどなく、店主に直接お金を渡すこともできるだろう。

 レジに並んでいる間に余計な物まで買ってしまうという人も多いのではないか。それもスーパーが仕掛けた罠の一部である。色んなものを(ついでに/何となく)買ってもらおうとするのが、スーパーなのだ。コーヒーの近くには、シュガーやミルクが置いてある。うどんの近くには、天ぷらやきつねが置いてある。何でもあるというのは、便利な半面、危険でもある。もはやあきれるほどに価格が上がっていくこんな時代だからこそ、本当に欲しいものだけを買うべきではないか。その点、八百屋さんなら心配はいらない。八百屋さんには野菜がある。あるのは主に野菜だけだ。

 スーパーは賑やかで楽しいという人もいるかもしれない。「いらっしゃい! いらっしゃい!」確かに、威勢のいいスーパーもあるだろう。だが、その声は本当に生の声か。天棚の上にあるCDが回っているだけということもある。「いらっしゃいませ!」その言葉は、果たして本心なのか。実際には、マニュアルを読んでいるだけということも多い。八百屋さんは違う。「いらっしゃい!」店主は心より客を歓迎していることがわかる。

 スーパーは安いとチラシを見て思い込んでいる人も多い。だが、価格は二重表示になっていることも多く、安いと思わせたい方が大文字になっている。とても良心的とは言えない。一方、八百屋さんではラップの上に230円と貼られていたら、だいたいそのままだ。つまり明瞭会計だ。余計な物を買ってしまうリスクがないのも安心である。

 大きいスーパーの方が安全・安心だと考える人もいるかもしれない。だが、それは幻想かもしれない。スーパーの品質管理はある程度徹底されてはいるが、業務に携わっている人数が多いことも厄介であり、決して完璧ではない。陳列棚を掘り返せば、期限切れの商品がみつかることも珍しくはないのだ。野菜の鮮度はどうか? 品数が多いほど管理するのも大変だ。責任者は誰だ? チーフは誰だ? 店長は忙しい。(いったい店長はどこにいるのだ?)野菜だけを見てはいられない。一方、八百屋さんなら心配はいらない。店主はいつでも野菜に向いている。「いらっしゃい!」そして、あなたが来ればあなたの方を向いてくれる。

 スーパーだけで何でも済ませればそれは楽だろう。八百屋さんに行ったり、パン屋さんに行ったりするのは、面倒かもしれない。しかし、面倒もまた「楽しい」と考え直すこともできるように思う。

 いずれにしろ、(あなたが行っても行かなくても)スーパーはびくともしないだろう。けれども、あなたの今日からの行動によって救われる八百屋さんはあるはず。よければ一緒に救う方に動きませんか。きっとあなたにもできますよ。

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天ぷらとレシート

2023-08-31 06:39:00 | いずれ日記
 街中華が夏休みのためいつものリズムが狂った。肉もやしにしようかと考えていたのだ。鶏肉の黒湖沼炒め、鶏肉の甘酢炒め、鶏肉とカシューナッツ炒め、そうしたものも選べなくなった。代案はうどんの他に浮かばない。冷たいぶっかけを頼んでトレイに天ぷらを載せる。前と全く同じものを選んだのに、値段が微妙に変わっている。量り売りでもないのに。10円単位で突き詰めるのも面倒だ。平日と週末で料金が変わるシステムか、あるいは時々サービスデーみたいなものがあって、その時に限って安くなるのかもしれない。
 手際よくさばいたレシートが勢い余ってかしわの上に落ちた。店員は大層慌てたような様子だ。

「天ぷらを取り替えましょうか?」
 もはやレシートを被った天ぷらなど廃棄するような勢いだ。

「大丈夫です」

 僕も慌て気味に答えた。 
 まさか、絶対、いずれも……。
 レシートをポケットに引き取ると逃げるようにその場を離れた。

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長い雨

2023-08-23 20:58:00 | いずれ日記
「かわ」
「きも」

「かわ」
「きも」

 マスターは合い言葉のように返した。僕は手前にある皮を注文したのだ。だが、マスターに届いたところでは、きもに変わってしまう。ちょうど同じ本数だけ残っているのがよくない。あるいは、マスターはずっときもの方を売りたくて仕方なかったというのもあるのかもしれない。同じ2文字だから、「かわ」と「きも」はよく混同されてしまうのだ。僕は自分の意志を曲げることなく、3度目の注文でどうにか皮を通した。硬貨をトレイに置くと、マスターは先に商品を包んでくれ、それからお釣りを用意し始めた。

「まだ降ってますか?」
「ああ、少し」
「そうですか。長いですね」
「ああ」

 僕は夕暮れになってはじめて外に出たのだった。雨はつい先ほど降り始めたのではなかったか……。おかしなことを言うものだ。

「ありがとうございます」
「どうも」

 いや、そうではない。今日は朝からずっと雨が降っていたのだろう。そして、一日の空の様子を見ていることが普通で、夕暮れになってから出かけ始めた僕の方こそおかしいのではないか。いずれにしろ、この雨はその内に上がるはずだ。テイクアウトした皮をリュックに詰めて、僕は雨の中を歩いていた。
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