眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

マーラータンとタコタコの王

2022-04-18 02:48:00 | デリバリー・ストーリー
足下に転がる子供乗り越えて海鮮丼は誰がくれるの?

二段階右折と天の定めあり茶碗蒸しまだ天王寺駅

「チキンならその先左」迷い込む人を導くタコタコの王

一声も発すことなくマーラータン入りの袋を差し出すタトゥー

迫り来るワゴン背中の群衆に挟まれ詰んだ僕のブレイス

「ありがとう」せめて聞ければしあわせな5.2キロ300

鉄柱が歩行者思い橋に立つ宗右衛門町の先は進めぬ

松屋町筋を直進歩道橋抜けて生玉町はすぐそこ

「大丈夫。そのまま置いて」あふれ出るマーラータンに神の返信

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クローゼットの中のエース

2022-04-18 01:34:00 | ナノノベル
 新しい監督になりスタメンが激変した。それから成績は下降線をたどり、低迷から抜け出せないでいた。長く続いたアップを止めて、僕はユニフォームに袖を通す。お呼びがかかったのはアディショナルタイムにさしかかる頃だった。残りは5分。死に物狂いで駆け回っても、ボールに触れることさえできない。「何もできない」何度これを繰り返せばいいのか。空しい笛が鳴って不完全燃焼。

 ベンチに戻ると鶴が雷を落としていた。監督はお腹を押さえ俯いたまま聞いていた。

「あんた、昔からそういうところあるよ!」
(好きなものを最後に取っておく。それで最後は食べられなくなってしまう。そんな悪循環は誰もしあわせにしないんだよ)

「変わらなきゃ!」

 僕らは少し彼のことを誤解していたかもしれない。監督は選手を伴ってサポーター席に行くと深々と頭を下げた。

 翌週からベンチを温め続けていた10番がスタメンに復帰した。
 キックオフの笛が響く。
 10番の横で僕は逆襲を誓った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【将棋ウォーズ自戦記】弾丸的戦術 ~筋違い角の強襲

2022-04-18 01:08:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 立ち上がり早々に筋違い角を打たれた。とりあえず角を成られないように。角の退路をみて銀でも押し上げて。こちら側に用意されているビジョンと言えばせいぜいその程度のレベルだ。一口に筋違い角と言っても、角を打った後の引き方、飛車の使い方、玉を囲う方向など、様々なバリエーションがあり、その辺りを見極めて対応を練るのが本筋だが、時間がない中ではいきなり迷子である。それに対して相手の指し手の速いことと言ったら!

  1秒でも遅くはないが、0.3秒だと圧倒的に「速い」と感じられる。そのスピード感に慣れていないとまさにそれだけで「圧倒」されてしまいそうになる。そのスピードの源は「経験」だ。ちょっとマニアックな戦法の使い手は、だいたいその道のエキスパートで、圧倒的な経験を武器にした「超早指し」であることが多い。

 僕はふらふらと二枚銀を中央に繰り出して筋違い角の頭に狙いをつけた。しかし、そこは銀が守っているし角の下は四間飛車となっていて憂いは少ない。こちらが中途半端な矢倉に囲う間に相手はしっかりと美濃に組んでいる。

 これというビジョンもないままに、右辺から激しい戦いになって、さばけているのはどうみても筋違い角の陣だった。圧倒的な「スピード」の前に振り切られて、瞬く間に投了もやむなしとなった。足りなかったのはそれなりの対策と陣、超早指しについていくメンタルではないだろうか。



 ~弾丸的戦術

 本格的な持久戦となると中盤の駒組みで時間を奪われる。例えば角がにらみ合って手出しが難しいような状況。(相振り飛車など)千日手模様になったり、仕掛けのタイミングをはかって駆け引きするような状況は厳しいものがある。下手をすると中盤辺りで時間が切れそうになり、それはまずいとみて少し無理でも仕掛けていくという将棋になることも多い。

「だったら最初から仕掛けていこうよ!」

 ということもあってか、3分切れ負けではわかりやすい攻撃的な戦法(時に奇襲)に割と人気が集まっているように思える。棒銀、右四間飛車、右玉、原始中飛車、筋違い角……。
 多くの棋士にとって、将棋は攻めた方が楽しいものだ。
 相手より経験値が高くて攻めていれば、時間だって飛ばせる。短い時間だからこそ、自分のペースで戦えることは何より重要なことかもしれない。








~10分で言い訳はできない

 忙しい現代人にとって僅か6分で一局が消化できる「3分切れ負け将棋」はとてもありがたい形だ。6分以内と言っても実際にはもっと早く終わってしまう場合も少なくない。相手のスピードによっても大きく変わってくる。終局するとは言え、必ず詰みまでいくというわけではなく、あまり考えすぎてしまうと中盤に入るところで時間切れになったりもする。

 必勝の形を築きながら、王手ラッシュをあびて無念の時間切れという経験は誰にでもあるだろう。(僕の場合はだいたい半分以上は時間切れで負けているかもしれない)詰む詰まないまで進むということは、それだけでもわるくないことだ。

 ちゃんと将棋で終わらないというところは、不満に感じる人も多く、不完全燃焼では許せなければ、他のルール(10秒将棋や10分切れ負け)の方を選ぶべきだろう。3分切れ負けのサクサク進むリズム(駆け抜ける感じ)はくせになるところがあり、時間に余裕があるという状況でさえも気がつくとこちらを選んでしまうことがある。一局にかかる時間が短いということは、ある意味では気持ちも軽い。負けてもそんなに疲れがないのだ。

 たまにはもっと内容のある将棋を指したい。
 3分切れ負けばかり指しているとその反動からか、そういうことを考える日がある。たまにはちゃんと腰を据えて、お茶でも飲みながら「読み」を伴う将棋も指した方がよいのではないか。
 10分の将棋は3分に比べると急に重くなった気がする。20分互いにフルに使い切って終わる戦いばかりではないが、だんだんと削られていく時間をみているとハラハラする。そうした状況の中で苦しみながら「考える」という経験こそが、将棋の上達には大切なことではないだろうか。

 しっかりと「悩んだ時間」があるからこそ、終わってからの反省や納得するものもぐっと深まるものがあり、将棋の理解として身につくのではないか。少しは考えて指した手(結論)が冴えないものなら、それは実力として受け止めねばならない。
 3分で広く経験値を上げ、10分で力を深めていく。そうした使い分けはいかがだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょんまげの失敗 ~玉頭のデュエル

2022-04-13 04:00:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 人間は社会的な生き物であると言われる。心の健康を保つためには人とのつながり、コミュニケーションも大切であるらしい。鴉が夜明けを告げる頃にも、将棋ウォーズの世界では活発な対話が繰り返されていた。

「よろしくお願いします」
「僕は振り飛車でいくぞ」
「だったら私は居飛車でいこう」

 僕は三間飛車で、相手は居飛車できた。

「ふふ三間飛車か」
「恐れるがよい」

「ふん、誰が恐れるものか」

 相手は角道を止めた。僕は美濃囲いを急いだ。

「石田にしたければするがよい」

「別に石田に執着はしないよ」

 相手は飛車先を一つ突いたきり保留している。そうした時、僕はいつも迷いの中に置かれることになる。石田流は魅力的だ。しかし、相手はそれを少しも嫌がっていない様子だ。むしろ歓迎しているようでもある。もしかしたら優秀な対策を用意して待ちかまえているのではないか。それならそれでそれを体験することもわるくはない。もしも、次も突いてこなければ、石田流に組むことにするか。そうしたことを毎回、考えながら三間飛車を指している。居飛車党の相手も、すぐに飛車先を伸ばしてきたり、ずっと突いてこなかったりと様々だ。

「私は位を取ってやろう」
「だったら石田に組んでやるぞ」
「ふん、石田が何だと言うのか」

「恐れるがいい」
「石田の飛車より、私の角の方を恐れるがいい」

 相手は一度止めた角道を通しながら取った位の下に角を据えた。

(44角)

 角というのは、できるだけ真ん中にいた方が「利き」が増えてよく働くものだ。石田流の76飛車よりも脅威になるという話にも一理あった。その睨みが、端や玉頭に利いて僕は恐ろしかった。完成させた石田流のことは置いといて、美濃のこびんを開けた。

「矢倉に組み替えるぞ」
「ふん、隙あり!」

 相手は僕が突いた歩に対していきなり歩をぶつけて仕掛けてきた。同じく歩。ここはおとなしく収める他はなさそうだ。

「いいでしょう。どうぞ一歩交換してください」
「これはありがたい」

 角を追い返し銀を立つ。すると相手は玉頭の歩を伸ばしてきた。一歩渡したことを考えると、端攻めが恐ろしくなった。矢倉ではなく、金冠というのはどうだろうか。僕は矢倉から更に囲いを発展させるため玉頭の歩を突いた。

「手厚くしてやる」
「隙あり!」

 相手は間髪入れず玉頭の歩を突いて仕掛けてきた。既にその時には角銀桂という攻撃の陣が玉頭に整っていたのだ。取れない……。(玉頭に突かれた歩を取れない時はだいたいまずい。これは玉頭戦における基本だろう)やむなく僕は、ちょんまげの下に金を運んだ。傷はできるが戦いはこれから。

「金冠をつくらせてもらおう」
「許さぬ!」

 相手は玉頭にぶつかった歩をそのままにして、その隣に歩を合わせてきた。(高段者の証だ)玉頭に拠点を築かれることを甘受して乗り切ろうとした読みは、完全に崩壊した。

(合わせ歩の手筋)

 その歩を取ると銀が進出して、玉頭ちょんまげ地点に角銀歩が集中して寄ってしまう。やむなく僕は最初にぶつかった方の歩を取った。

「許してください」
「そうはいくか!」

 相手は歩を取り込んだ。同じく銀は銀が詰んでしまう。(銀をかわすのが勝った)僕は同じく金と応じた。まだどこかで落ち着くことを願っていたが、現実はもっとシビアだった。

「少しゆっくりしませんか」

 相手は聞いていないようだった。激しくなるほどに、左辺の石田流が置き去りになってしまう。

「ここは私の戦場だ」
 相手は金頭に歩を打った。

「そうか……」

 拠点をつくられながら攻められるんだな。読みを超えて繰り出されるパンチに疲れながら、金をよろけた。

「これでどうだ!」
 相手はよろけた金の頭に桂を跳ねてきた。

(銀が詰んだ!)

 玉の側にまだ運べずにいた金が銀の退路を封じていた。
 強固に発展させようとした銀がはがされてしまうことは痛すぎる。拠点が残った上に、駒損して囲いが乱れ金駒を渡してしまった。勢力で優位に立てば、玉頭戦は押していくだけでいいのだ。

「とても勝てる気がしない」

「思い知ったか!」

 以下の相手の指し手も鋭く明快で、どんどん前進してくる駒に何もすることができなかった。左辺では石田流の飛車がしょんぼりと残ったままだった。(さばきの機会は永遠に訪れない)囲いの陣が崩壊してしまえば、石田の陣も同時に崩壊してしまう。堅さ、囲いの安心という大義がなければ、強いさばきは成立しないのだ。

「負けました」

 圧倒的な大差で夜明けのウォーズは終わった。
 対話の終わりには、口惜しさが残っている。
 僕はもっと陣を学ぶ必要があった。
 美濃がどうやって崩れるか、どうやって修復するか、三間飛車がどうやって攻略されるか、石田がどうやってさばけるか、エルモがどうやって崩れるか……。すべては陣を知ることから始まるのだ。そこには序盤も終盤もない。なぜなら、陣はどこまでもつながっているのだから。

「ねえ、棋神さま。そうでしょ?
 美濃も石田もエルモもミレニアムも……、
 陣はつながってますよね!」

「今は忙しい!」
 また今度にしろと棋神は答えた。







●陣を知ること ~築いた時から始まっている

 序盤なんて知らない。早く終盤になればいいのに。定跡なんて関係ない。詰めチャレばかり解いて強くなってやるんだ。そう考えている棋士もいるのではないか。だけど、名人も言うようにどんな将棋も必ず序盤から始まるもので、終盤までいく前に終わってしまう(大差になってしまう)ことも少なくはない。

 僕は酷い負かされ方をした局面は、必ず振り返って反省するようにしている。(一方的に負かされるのは自分の方に明らかな悪手があるので反省も容易だ)間違えたところを写真に撮って、また次の日に見返すこともよいだろう。指し慣れた展開に比べて、経験の浅い局面では悪手が出やすくなってしまう。

「陣を知ること」

 それが大事ではないか。初見の形を少なくしていくことが、序盤の進歩につながると考えた。陣はつながっている。みんなどこか似ているし、つながっているところがある。多くの陣に触れることによって、応用力がつくはずだ。
 こういう形はここが急所、こうして崩れ、こうして詰むのか……。序盤の研究をしているはずが、気がつくと「終盤」になっていることがある。そして、序盤のセンスと題したアルバムに終盤の寄せの写真ばかりを保存している自分に驚かされたこともあった。

「もうすっかり終盤じゃないか」
(囲いは崩壊の始まりだ)

 序盤の囲いは、簡単に詰まないために囲うものだ。つまり、それは終盤を見据えているということだ。どんな囲いも終盤に行き着くことを避けられない。囲いの築き方も、崩し方もつながっている。序盤と終盤を切り離して考えることはできないのではないか。あらゆる陣は序盤から終盤まですべてつながってできている。

「築いた時から始まっている」
 陣を甘くみていると終盤まで競ることも難しくなってしまう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ありがとうが輝く

2022-04-11 15:04:00 | デリバリー・ストーリー
押しベルでお店の人を呼ばなくちゃ 目の前にいる人はまた別

しめてやと肉バル叫ぶ声がする そのドアあけた人は誰なの

点滅が始まったならやめておけ センタービルの向こうは遠い

クエストにあおられていたミナミから一雨去って300

しめてやと憎しみに似た声がする 自動ドアならよかったのにね

不機嫌になるのも人と悟りたい閉店22時の暗がり

礼節を欠くものたちに触れる時あなたのありがとうが輝く

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人間将棋 ~一手を責めないで

2022-04-07 02:54:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 あちらこちらに位を取られていた。居飛車の圧をひしひしと感じて石田流の飛車はさばきの道を見失ってしまった。
(まずい。自爆してしまいそう)
 動けば動いた分だけ酷くなりそうだ。僕はさばきの失敗を自認し、少しでもチャンスを残せるような順を探った。何もしない方がいい。そして、僕は居飛車陣の隅にパスのような歩を垂らした。居飛車が手を作ってくる間に、それはと金に化けた。どんなによくてもよさを広げていくことは、それなりに難しいもの。3分切れ負けのような短い将棋では、尚更のことだ。さばけなかった飛車が世に出るチャンスは、やがて訪れることになった。

「飛車を取ってくれた!」

 居飛車の角に取ってもらえたことで、飛車の顔は立った。居飛車の飛車に成り込まれもしたが、僕は自陣に二枚角を打って一枚の飛車を奪うことに成功した。

「飛車が入った!」

 回り回って石田の飛車が敵陣で竜となった。
 残り1分。突然、最終盤となり1チャンスが巡ってきた。一段金で居飛車玉に王手をかけて、桂をさらった。
(詰めろだ!)
 それは次の一間竜をみて多分詰めろになっているはずだった。
 けれども、相手はこちらの玉に詰めろをかけてきた。
 これは逆転がきたか……。
 9手詰め。詰みの構図が頭の中に描かれた。

「王手!」

 一間竜から合駒を請求し、取れない銀を放って拠点を築くと竜を切った。同じく金には頭から銀を打って……。
 その時、相手は取れる竜を取らず玉を真横によろけた。(それは読みに全くない手だった)

「うわぁ~、なんだこりゃー!」
 10、9、8……。
 7秒しかない!
 でもわからないよー!
 読みにない応手に、僕はすっかりパニックに陥ってしまった。詰んでくれ! 祈るように王手をかけるが、相手の玉はするすると抜けていく。駄目だ……。

(時間切れ)

 負けた。やっぱり負けてしまった。負けるべくして負けた。1チャンスだけをとらえて勝つことは簡単じゃない。



 AIの最善手が何だって?
 評価値がひっくり返ったからどうだって?

 棋士は長い一日を通して、あるいは一つの人生をかけてずっと独りで戦っているんじゃないか。最後の最後になって、たかが一手を間違えたからそれがどうしたって言うんだ。戦っているのは人間だろうよ。人間には人間同士の戦いがあるんだよ。思い描いた夢や構想が、育て上げてきた大切な物語があるんだよ。たった3分の将棋ではない。その場その場で次の一手を考えて指すわけじゃない。そりゃ敗着は最後の方にあるだろうさ。だけど、本当はそこじゃないよね。戦った者同士なら、そことは違うってわかるはずさ。

「ねえ、棋神さま。そこじゃないよね」

「今は忙しい!」

 棋神さまは取り合ってはくれなかった。
 僕は残り7秒の局面を改めて振り返ってみた。
 驚いたことに1手詰みだった。玉の左から金を打てばどこにも逃げ場はないのだった。その時、僕は敵陣の金を取って王手をかけたのだ。竜が動いたがために、逃げ道ができてしまった。より厚く詰ましたいという心が、欲張りな指し手を選ばせてしまった。(詰んでいたのに……)1手で詰んでいる玉を、苦心して詰まそうともがいている内に、不詰めになっていた。そんな不思議なこともある。寄せというのは、侮れないものなのだ。理屈では動くはずのない駒も、理屈を超えて動き始める。だから、人間将棋は面白いのだ。




~飛車の生き方(身の振り方)

 振り飛車党というものは、常に飛車の存在を気にかけておかねばならない。飛車がどういう運命をたどるのか。それは一局の将棋の命運にも等しい。飛車はさばけるに越したことはない。敵陣の一線で強力な竜となる。それは理想だろう。竜となって中盤を制するような生き方もあるだろう。あるいは、自陣にまでかえり自陣竜となって長い終盤を戦うような生き方も考えられる。 

 竜にはならず、守備的な飛車として自陣で生きるという形もあるだろう。その際、重要なのは縦よりも飛車の横利きが通っていることだ。
 直接敵陣に成り込まず、相手の駒との交換によってさばけるという生き方もある。例えば、居飛車の角との飛車角交換。角となって生き直すこと。これも振り飛車のさばきとして重要なテーマである。

 最も残念なのは、戦いには加わらず忘れられてしまうことだ。例えば、多少の駒得に心を奪われて大事な飛車の存在を忘れてしまう。そうしたさばきで勝ち切ることは難しい。あるいは、何とも交換にならず、ただで取られてしまうような最期もできれば避けたいものだ。取り残されたり、取られてしまうのも痛いが、攻撃の目標となったり負担になったりするのもまずい。(飛車を逃げ回る手が続くような展開はだいたい攻撃側のペースであることが多い)

「飛車をみておく」
 飛車の生き方を常に描いておくこと。そうしてこそ真の振り飛車使いに近づけるものだと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転車に冷たい

2022-04-02 03:11:00 | デリバリー・ストーリー
九条まで行くしかないの月曜日 心斎橋も300

歩行者が横一列になって行く友情は三休橋筋に

よそ様に聞くのはちょっとやめておけ まつもとはその奥の2階だ

白線を軽々越えたタクシーの後ろで待ったブルー・マンデー

ねえ後ろ車が来たで気つけや 車で来るよな道ちゃうのにな

四つ角を男が占めて曲がれない心斎橋で詰んだ自転車

足下にあるのはみんな紙屑さ チカチキンなら階段の上

タクシーの脇に伸び行く細道に飛び込む君は猫のライダー

信号を守るあなたに感謝状贈ります by南警察

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スマート・ルーム

2022-04-02 03:05:00 | ナノノベル
「おすすめに鳥の新刊があります」
 この前、バッタがよかったと言ったら、今度は鳥だ。まあ、人間の本を読むよりも肩の力を抜いて読める。
 あっちゃんは何でもお見通しだ。
 メガネを捜してばかりいたが、近頃はそうする前にメガネの方が寄ってくるようになった。チョコを好んで食べていると定期的にチョコのセットが届くようになった。蓄えられた脂肪は今後の活動次第で筋肉に変わることもあるだろう。

「部屋を暗くしましょうか」
 テレビが消され、電気スタンドの明かりだけになった。
 流石わかってるね。
「ロックなんかいかがでしょうか」
 そうそう、ロックばかり聴くよね。
 あっちゃんは心強い僕の味方さ。

 なんて、冗談じゃない!

「僕は僕を抜け出したいんだ!」
 あっちゃんは反論なんてしない。黙って僕の愚痴を聞くだけだ。
 天井いっぱいに鳥の影が広がっている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀かけられますか ~王手に似た先手

2022-04-02 03:00:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 例えば41銀と囲いの金に銀をかける一手がある。
 要の金を狙うのは寄せの基本。
 金をかわされて銀は助からない。(駒損が避けられない)だから、序盤の感覚では、まず銀はかけられない。序盤でそれをやれば、普通に大悪手になるだろう。ところが終盤においては、銀をかける手はだいたいよい手であり、それに対して金をただ逃げるような手はだいたい悪手になるのだ。
(先手で拠点が入ることが大きすぎ、ほとんどの場合、銀を回収するような時間が訪れないから)

「かわす手は利かない」ありがたい。
 そういう嗅覚が終盤のセンスだろう。

 囲いの金に銀をかける。
 終盤ではだいたいよい手、時に性急、希に無効。
 その辺りの見極めに長けた人を、終盤が強いと言うのだと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする