眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

暴走端末のメルヘン

2024-07-03 01:28:00 | ナノノベル
 小銭を数えるなんて面倒なことだ。手と手が触れ合うことは、リスキーではないだろうか。それよりも間違いのない、現代に相応しい方法というものがある。

「お支払いは?」
「ストイック・ペイで」
 私は常に最先端のやり方を好むのだ。

「少々お待ちください。そちらの方ですと端末が変わりましたので担当を代わります」
 端末が変わった……。
 流石はできた店だ。より処理のスピーディーなものに進化しているのだろう。


「いらっしゃいませ」
 新しい端末を扱うのは、専属のロボットだった。

「専用のアプリをダウンロードしますので、それまでの間、誠に僭越ながら創作メルヘンをお聞かせさせていただきます」
 すぐに終わると思っていたのでこれには少し意表を突かれた。ロボットは、低い男性の声でゆっくりと話し始めた。


『バッドじいさん』

 昔々、あるところにバッドをつけてまわるおじいさんがいました。おじいさんは暇さえあれば他人のページを訪問して、適当に見物してはすかさずバッドをつけました。
「いいことばかりじゃつまらんさ」
 それがおじいさんの口癖でした。人々はおじいさんのことをバッドつけじじい、ひねくれバッド、バッドじじい、あるいはバッドボーイと呼んで憎悪しました。ある夏のこと、バッドじじいは恋をしました。世界が全く新しく変わるような恋でした。その時から、おじいさんはバッドをつけることが少なくなり、反対にいいねをつけることもありました。そして恋心が募るに従って、いいねばかりをつけるようになったのでした。
「いいこともなきゃつまらんさ」
 おじいさんの口からそんなつぶやきが聞こえるようになりました。バッドじじいは死んだ。信念を曲げた。つまらない大人になった。人々はそんな風にささやくのでした。一夏の恋はあっけなく水風船のように弾けました。おじいさんは恋をした自分を呪い、復讐の刃を見知らぬ他人に向けはじめました。バッドじじいの復活です。
「いいことばかりじゃつまらんさ」
 そうしておじいさんは相手に関係なく、バッドをつけてまわりました。
 めでたし、めでたし。

「アプリのダウンロードが完了しました。こちらにかざしてください」

「はい」
 いや。何がめでたいんだ。

 私はサイドボタンをダブル・クリックしてスマホをかざし、決済が完了するのを待った。それは1秒で終わることもあれば10秒くらいかかる場合もある。

タイム・オーバー♪

「時間切れです」

「えっ?」

「お支払いは完了していません。アプリの再ダウンロードが必要です。ダウンロードが完了するまでの間、僭越ながら私のメルヘンを聞いてお待ちください。メルヘンを聞かれますか?」

「スキップってできますか」

「メルヘンを聞かれますか?」

「えーと、できたらスキップ……」

「メルヘンを聞かれますか?」

「はい」
 まあ、ただじっと待っているよりは多少はましだ。


『すっぱ梅さん』

 昔々、とてもすっぱい梅干がいました。すっぱい梅干はどこに行ってもいつもすっぱがられていました。「ここはスイーツな場所。フルーティーなものが集まるところだ。さあ帰った帰った」と追い払われることは日常茶飯事でした。「なんだお前は小粒だからって許されるとでも? 来るなら保護者同伴で来い!」そうして門前払いされることは日常茶飯事でした。どんなパーティーも、どんなフェスも、どんなイベントも、すっぱい梅干を歓迎することはありませんでした。
(自分はここではいらないんだ)そう思ったすっぱい梅干は、自分の街を離れコロコロと石ころのように転がっていきました。何百年とそうしていたことでしょう。ある日、すっぱい梅干は紀州街道の隅で宇宙の彼方から飛んできた隕石と衝突すると一緒に乗ってきた若い娘と恋に落ちました。「僕はカンロ」すっぱい梅干は、自らを偽りました。ありのままの自分では実るものがないと思ったからです。互いの趣味、感覚、母星を少しずつ探り合いながら、ゆっくりゆっくりと何百年という時間をかけて両者は近づいていきました。あと少し。2つの点が宇宙に重なりかけた瞬間、彼女はうそに気づいたように真っ赤に燃えました。
「あなたはキャンディなんかじゃないのね」
「違う。僕は僕なだけだよ」
「うそつき。だいっきらい!」(ここはお前の来るとこじゃない! さっさと帰れ! 保護者をつれて来い!)その瞬間、追い払われて過ごした長い長い歴史が、宙に浮かび上がるのが見えました。まるで決して終わることのない永遠の闇のエンドロールのようでした。甘い幻想はとけて我に返らずにはいられない。
ああ、なんてすっぱいんだ! そして、そのすっぱさこそが自分であったことを悟りました。めでたし、めでたし。

「アプリのダウンロードが完了しました。端末に端末をかざして支払いを完了させてください」

「はい」
 いや、何もめでたくないわ。

 今度こそ。私はスパイのような素早い動作でサイドボタンをダブル・クリックした。画面が少し揺らぎながら水面下で電子的な処理を行っている。もうすぐだ。もうすぐなんだ。これで家に帰って冷凍庫を開けてアイスを食べられるんだ。今か今かと私は端末が認証のベルを鳴らすのを待ちわびている。

タイム・オーバー♪

「時間切れです」

「えーっ?」

「アプリの再ダウンロードが必要です。本人確認が必要です。生年月日の入力が必要です。好きな食べ物の秘密の暗号が必要です。顔写真を送信してください。必要な手続きがすべて完了するまでの間、僭越ながら私のメルヘンを聞いてお待ちください」

「いやいや」

「メルヘンを聞かれますか?」

「いやー」

「メルヘンを、メルヘンを、メルヘンを……」

「もうええわ!」
 そこまで暇じゃないんだよ。


「おかえりなさい」

「やっぱり現金で」

「でしょうお客さん。結局、現金が一番早いんだって」

「そうですね」
 いや、お宅の端末がおかしいだけだけど。
 私は鞄の底から小銭入れを見つけ出して支払いを済ますと無事にお薬を受け取った。これでようやく家に帰ることができる。汗をかいた分だけ、アイスがより美味しくなることを今日の喜びとしよう。









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伝言ゲーム(声がかれるまで)

2024-05-28 22:49:00 | ナノノベル
 昔々から繰り返し伝えるおばあさんがいました。

あるところに
ある人とあの人と
喜び出て行く犬
喜び帰ってくる犬
絶対に開けないで
はいはい
繰り返しかわされる約束
繰り返し破られる約束
秘密の宝箱
行っては帰る
行っては戻る
めでたしめでたし

 おばあさんは町から町へと昔話を繰り返しながら渡り歩きました。威勢のいい町もあれば、廃れたような町もありました。落ち着いた町もあれば、見かけ倒しの町もありました。町長のいない町もあれば、町長しかいないような町もありました。あるところでは聞き手がすべて犬でした。犬たちは起承転結に渡り辛抱強くおばあさんの話に耳を傾け、めでたしめでたしとなるとご褒美を受け取って帰って行きました。

「もう一度聞かせてよ」
 あるところでは子供たちに囲まれて人気者となり、おばあさんは何度でも同じ話を求められました。

「おしまい」

 人気を得た時が去る時と心得ていたおばあさんは、未練がましく留まったり、名残を惜しむようにくつろいだりせずに、早馬のように町を去って行くのでした。暖かな町もあれば、吸血鬼だらけの町もありました。景観のよい町もあれば、極めて見苦しいような町もありました。若者であふれる町もあれば、鴉しかいないような町もありました。あるところでは聞き手がすべて猫でした。猫たちは要所要所で相槌を打ち、あるいは茶々を入れながらも、熱心に耳を傾け、めでたしめでたしとなるとご褒美を受け取って帰って行きました。

 どこまで行ってもおばあさんの話が終わることはありませんでした。語り尽くすには、町が多すぎるのでした。やがて腰は折れ曲がり、もう声もかれてしまいそうでした。それでもおばあさんは町から町へ、町という町へ、未だ見ぬ町へ向けて歩み進みます。

「伝えることしかできない」
 考えてみても、他にすることが見当たりません。
 おばあさんは話すことが大好きでした。
 好きなら繰り返すだけのことです。

めでたしめでたし








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マジック・ストライカー

2024-05-22 21:22:00 | ナノノベル
 ある人にとっては1杯のコーヒーが必要だ。
 それは絶対に欠かせないもので、人生の支えそのもの。言ってみれば「主食」だ。同じものがある人には「不要不急」に当たる。言い換えるなら「取るに足りないもの」だ。言葉なんて簡単に入れ替わる。そのようにして俺はベンチからエースストライカーに成り上がった。
 俺は利き足という概念を持たず、どこからでもシュートを打てた。おまけにヘディングの滞空時間は浮き世離れしていた。ありふれたマークでは手に負えず、日を追う毎に敵チームの対策はクレイジーなものになっていった。

 後半30分、俺はピッチの中で雁字搦めにされた。手錠をかけられた上に体中を縄で縛られ、箱の中に閉じ込められたのだ。すべては審判の目を盗んで行われたため、カードは出なかった。味方選手も静観するしかなく、時間だけがすぎていった。存在さえも忘れられ、俺はピッチの上で完全に孤立していた。
 このまま引き分けになると皆が思っていたのではないだろうか。

「点が入りました!」
(いったいどこから?)

 アディショナルタイムの終わり、俺は角度のないところからゴールを決めた。そして、次の瞬間には俺の体はベンチの前にあり、監督と一緒に浮き上がっていた。
 本当に必要な状態になった時、俺の覚醒を止められる者はいない。

「いったいどうなってるんだ?」
 試合終了の笛が鳴った後でくやしがる敵の姿を、俺はピッチ脇から眺めていた。

「箱をあけてみろ!」

「こ、これは……。コーチ、猫です。猫がいます」

「まあかわいい!」







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浦島太郎

2024-05-20 22:08:00 | ナノノベル
 何も目指さなくていいところに到達した。経緯は偶然と気まぐれが入り交じったようなものだったけれど、おかげで人と違う幸福を手に入れたというわけだ。大好きなものたち、変わらない美しさに囲まれて、私はずっとここにいたいと願う。いらないものは何一つなく、必要なものはすべて揃っているのだ。「何かになりたい」と願ったのはずっと遠い昔の自分。(今となっては他人に等しかった)どんな人生よりも深い場所に生きて、これ以上何を望むことがあるだろう。

「そろそろ行かねばならないようです」
 脱出の時が迫っていると姫に告げられた。それはあまりにも突然の出来事だった。もう海が青くないことが主な理由だという。本当かどうかわからない。しばらく海を見たことがない。私が海の中にずっといたからだ。

「縁の切れ目がきたようです」
 これほど長い時間一緒に暮らしてきたというのに、私はファミリーではなかったというのか。共に遊び共に笑い、踊り明かし、愛し合ったのではなかったのか。それなのに私だけを置いて行ってしまうというのか……。この深く輝ける日々はいったい何だったのだ。今更(何もなかった)ことのように生きられようか。これがあなた方のくれた夢ならば、もっと短くみせてくれなければ。

「新しい海を探します」
(一緒に行くことは叶いません)
 姫は非情な態度で私を突き放した。私が長く愛していたものはすべて幻だったのだろうか。行くことも残ることも許されない。私が遙か昔に捨て去ったところに、私の居場所などあるのだろうか。

「私たちはどんな化け物にもなれる」
(そう。人間の形にさえ)
 そうか……。元から住む世界が違ったんだな。


「何か記念にもらえるものはありますか?」

「いいえ。何も」







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雑草のストライカー(コロコロ・シュート)

2024-05-17 16:06:00 | ナノノベル
 生まれながらにタトゥーを持った俺は、常に蚊帳の外に置かれていた。様々な偏見からチームに加わることはできず、遠くで眺める他はなかった。不満を叫ぶよりも俺にはもっとやりたいことがあった。自分のスキルを磨くこと。そして、いつかその先に自分の夢も開けているのだと根拠もなく信じていた。

 俺のホームグラウンドは近所にある荒れ果てた公園だった。練習パートナーは猫で、サポーターは草の茂みに潜む虫たちだった。猫は常に守備しかしなかった。それは攻撃しか頭にない俺にとってはかえって好都合だった。最初の頃は猫の俊敏性についていけず、ボールを奪われてばかりだった。徐々にフェイントを覚える内に猫の目を欺くことができるようになった。
 いくつかのフェイントを組み合わせ上手く成功した時には、猫を完全に置き去りにすることもあった。そんな時、猫は照れ臭いのか、自分はまるでフットボールになんて興味がありませんといった顔をした。
 虫たちは時に激しく盛り上がり、時に静まりかえったりしながら、絶えず応援を続けてくれた。

 仲間との触れ合いや高度な戦術など存在しない。そのかわりに夢のように密度の濃い時間が流れ去った。
 季節を問わぬ修行の結果、俺は人並みはずれたスキルを身につけ、Jのトライアウトに合格した。ついに夢の扉をキックしたのだ。

「今までありがとう」
 素早かった猫もすっかり年を取った。
 俺の差し出した手に触れることもなく、足を踏んづけて去って行った。




「1点取って来い!」

 1点ビハインドの状況で俺の出番は訪れた。
 そこにゴールが見えることが、公園育ちの俺には何よりもうれしいことだった。俺はトラップは下手だった。だが、一旦足下にさえ収めてしまえば、猫をもだましたドリブルのスキルで敵を抜くことはできた。愚鈍な守備陣を抜いてゴール前に持ち込むと俺は左足を振り抜いた。コースは悪くなかった。しかし、キーパーは顔色一つ変えずに俺のシュートをキャッチした。何度か同じような形を作りゴールに迫ったが、結果は同じだった。キーパーの余裕の表情が気になる。(俺はここまでの選手なのか……)

 アディショナルタイム4分。俺はカウンターからゴール前に飛び出した。これが最後のチャンスになるだろう。(これで駄目ならもう出番は来ないかも)

「行けー!」
 俺は渾身の力を込めて左足を振り抜いた。しかし、魂はボールに伝わらなかった。キーパーが両手を広げ笑っているのが見えた。

(俺のシュート、どこにも届かないや……)
 やっぱり無理なのか……

「そんなことないよ」

 幻聴か? 
 
「そんなことないよ」

 その声はどこかで聞き覚えがあった。
 ああ、そうだ。あの懐かしい虫たちではないか。

 俺のシュートを後押しするために小さな虫たちがピッチに集まっていた。追われる虫、季節を背負った虫、忌み嫌われる虫、公園時代のサポーターたちがボールに吸いついて大きな仕事をしようとしていた。それによって速度が増したわけではない。しかし、キーパーは完全に虚を突かれていた。

「虫だー! 虫が出たー!」
 叫びながらゴールから飛び出してきて尻餅をついた。

 無人となったゴールに向いて、コロコロとボールが転がって行く。阻める者は誰もいなかった。

「空き家だ! 空き家だ!」
 虫たちは歌いながら主の消えたゴールに到着した。


ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーール♪
ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーール♪
ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーール♪

 スタジアム全体が俺のゴールを認め、俺を称えた。

ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール♪


「ありがとう! みんな」

 俺、自分の力をもっと信じてみるよ。









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終局の空気

2024-05-16 00:32:00 | ナノノベル
 張り詰めていた9時40分の空気を私は懐かしく振り返っている。まだ駒に手をかけない先生の背中は両者ともに自分の勝利を信じて真っ直ぐに伸びていたものだ。昼食後の幾つかの疑問手を経て形勢は徐々に差がつき始めた。よい将棋を正しく勝ちきることができるなら、半数の将棋は勝てるだろう。一日の勝負は長い。冷静な目と朝の気合いを保ち続けることは、私のような人間にはとても難しいことだった。
 最善手を探究する心は尊い。だが、私の目は指し手のみに集中することはできず、先生の横顔に、背中の角度に、ペットボトルの数に、中継のカメラへ……、カオスとなって散って行く。

 夕休が明けてしばらくすると部屋の中からネガティブな空気が読み取れるようになっていた。すっかりと落ちた棋士の肩が座布団に着いていた。脇息の上の足首がぶらんぶらんとして、ゴミ箱の上に乗った手が流行りの歌のサビの部分を繰り返していた。駒音は途切れ、そこに漂う空気は9時40分のものとはまるで変わってしまった。

「先生、やる気は……」
「ありません」
 六段は天井を見上げたままつぶやいた。
 記録用紙に(投了)と書き込んで今日が終わる。







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ムービー・スター

2024-05-15 01:01:00 | ナノノベル
 美しくありたいと願ったことはないか。願いは罪にはならない。けれども、ある一点の美学のために破滅へと向かって行くこともある。ありのままを描くより少しだけずれた世界を創造したい。俺は路上の似顔絵師。人々の顔を描いてはささやかな収入を得ている。スパイスに飢えたシェフ、記憶をたどる秘書、明日へと向かう夢追い人。俺のキャンバスの前で足を止める人は様々だが、みんなどこかで未知の自分を探しているのではないだろうか。

「できました」
 一心不乱に描いて手を止めた。改めて自分の描いた顔を見てみるとどこかで見覚えがあった。日常の中ではない。そうだ……。

「あなたは!」
 昨日観た映画の中に出てきたチンピラだ。
「ちょっと撮影の合間でして」
 言葉遣いのしっかりとした実に感じのいい青年ではないか。俺はずっと俳優という職業に強い憧れを持っていた。
「あなたも色々と大変だね」
 彼が出演する幾つかの作品について少し触れた。
 医者、刑事、ミュージシャン、魔法使い、社長、弁護士、泥棒、教師、遊び人……。時に全く異なる世界観の中で全く異なる自分になってみせるなんて。そして、あたかもそういう人間が現実に存在しているかのような説得力を持って演じることができるのだ。

「大変と言えばみんな変わりませんよ」
(自分は与えられた役柄を淡々とこなすだけ)
 青年はさばさばとした感じで言った。
 そうかもしれない。誰にでもできる簡単な仕事。そんな仕事がどこにあるというのか。続けて行くことは何より大変だ。
 誰だって一瞬だけなら、自分以外のものを演じることもできるだろう。
「頑張ってください」
「ありがとうございます」

 一週間後、役者は殺人容疑で逮捕された。
 きっと何かのフィクションだ。
 俺は何も信じなかった。







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スクリーン・テスト

2024-05-14 00:25:00 | ナノノベル
 映画はだいたい2時間。
 人間が集中していられる時間もだいたい同じ。
 2時間あれば人生を知るには十分だろう。

 君との距離15センチ。
 適切な間隔を置いて、君は僕の周辺視野の中にいた。
 どこで笑い、どこで泣き、どこを気にとめないのか。同じ方向を見つめながら、密かに横顔を探っている。
 全く同じではつまらない。全く違うのも寂しすぎる。ちょうどいい君が、この世界のどこかにいるはずだ。

 ……
 文字盤の上のカタツムリ。長く留まれば指の運動に制約を受ける。もしも歩みが重なればミスタッチになる。どうしてここに? 
 痛みは雨のようなものだ。自分の意思でコントロールすることはできない。けれども、雨を知っていればきっと乗り越えられる。
「どうしてここに?」 
 互いに理由を答えられない。きっとそんなものはないのだろう。運命という響きはここに似合わなかった。風が教えてくれたタッチ。
 カブトムシの座標をかわしながら、主人公は物語を完成させる。
 表現が偏っている。
 エピローグまで書店員たちには届かない。
 作者は笑っている。カタツムリの笑顔のようだ。
 そして、カタツムリは空の上を歩き始めた。
 星に働いていた力。そのすべてを忘れて。


「つまらない映画だったわ」
 はっきりと君は言い切る。
「そうかな。感動的だった」
 僕たちは真逆。ジャンルが違う。

「さようなら。あなたの人生にはつき合い切れない」
「それじゃあここで。僕はもう少し見ていくよ」
 彼女だけが席を立った。少しあきれたような顔。

「もう終わってるわ。お先に」
 僕は独りエンドロールを見送っている。
 さよなら……








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エアー・タッチ(空踏みpomera)

2024-05-13 10:50:00 | ナノノベル
 時にポメラは予測を遙かに超えた言葉を返してくることがあった。
「自分とだ」
 他にはないと思えた僕の意図はあっけなく裏切られ、時分のあとに戸田が現れる。戸田? 戸田さんなんて知らない人だ。
 一瞬、自分のミスタッチを疑ったがそうではない。
(他にはない)というのが、自分本位の感覚に過ぎない。

 ああ、こんなに傍にいて伝わってないんだ。
 距離なんて関係ない。
 僕は僕。ポメラはポメラ。
 何でもわかってもらえるわけがない。

「その動きいる?」
「えっ?」 
 タッチに無駄があると戸田さんは言った。
「左手がつられて動いてる」
 戸田さんの指摘は間違ってはいない。
 右手がキーを叩いている時、直接関係のない左手があてもない宙を泳いでいるのだ。ドリブルで相手を揺さぶる時の空踏みのように。
「みんな直立して歌うわけじゃないだろ」
「ここはステージというわけ?」
 もしもそうなら僕はただ震えているばかりだ。どこにも届かないかもしれない。そういう恐怖とずっと付き添いながら。

「ここがどこかなんてまだわからないよ」
「だったら探しにいかないとね」
 戸田さんは他人事のように言った。
「まあ、気が向いたらね」
「いつからそんなにふらふらしているの?」
「わからない」
 タッチについて言われたことなんてなかった。
(誰も見もていなかったから)

「あなたは謎だらけね」
 あなたの方こそ。
「ポメラは何も奏でないから」
 どこかに響いたかなんてわかりっこない。
 埋まらない距離を知りながら、僕は馴れ馴れしくポメラに触れた。
「おだいじに」
 そう言って謎の戸田さんは去って行った。








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ノベル・バンド

2024-05-12 00:19:00 | ナノノベル
 一人が欠けたとしても表現することは十分に可能なはずだった。だが語り始めてすぐに息が苦しくなった。風景がかすみ、修飾が見当たらない。主人公の動作はぎこちなく、意思を反映させることも難しかった。自分にコントロールできると思ったのは過信だったのか。今にも主人公は躓いて転倒してしまいそうだった。小説の体をなすこともできず、誰もが目を離してしまうかもしれない。
 改行担当が行を空けた。
 段落担当が字を下げた。
 そして僕のパートがかえってきた。

(いつもならあいつが主人公の声で生き生きと語り出すのに)

 地の文の僕は何をどう話せばいいのかわからない。あいつがいなければ何もできなかったのか。今さら気づいたところで手遅れなのだ。僕は主人公の声を主義を主張を、何も知らない。小説をどう表現していくべきかわからない。客席からの冷たい視線を感じる。ここに心躍らせる物語はない。もう疲れた。改行してくれ。
 改行担当が素早くスペースを空ける。
 段落担当が続けて全角スペースを空ける。
 また逃げ場がなくなった。
 強い地声があれば言葉の尾をつかみ取って、どこまでも疾走していくことができるはずだ。だけど、僕には地に足をつけて言葉を引っ張っていくパワーが足りない。主人公の横顔を街の風景の中に映して遠回しに心情を語ること、小さな仕草を積み重ねることによって愛を浮き立たせること、本当はそんな地力が必要なのだろう。僕はそんな風には生きてこなかったのだ。いつもあいつの声のあとを補足するばかりだった。結局はあいつの声だけを頼っていたのだ。今日、僕らは結末まで持たないだろう。もう駄目だ。おしまいだ。ここで解散だ!

(お、お前、熱は下がったのか……)

 絶望しかけたその時だった。
 首に葱を巻き付けて「あいつ」が現れた。
 あとは俺に任せろ。一瞬そんな顔をして彼は堂々と舞台の真ん中に立った。(きっとあいつはこうなることがわかっていたんだな)

「教えてくれ! 僕はどうすれば出られるんだ」
 小説が声を上げると客席の目は輝きを取り戻した。

「まるであなたがそれを望んでいるみたい」
「どういう意味だ?」
「わからない? あなたは迷うことを楽しんでいるの」
「まさか」

「慣れすぎたのよ。すっかり居心地がよくなったのよ」
「違う! 僕は出かけるんだ!」
「旅行者気分でいられると思っているのね」
「旅行とおでかけは違う!」
「同じよ。カテゴリをよく見ることね」

「いったい何の話だ?」
「とぼけないで! カテゴリに縛られているのは誰なのかしら」
「そんなつもりはないね。僕はただ詩歌が現れるのを待っていただけだ」
「それは小説とは違うの?」
「話したくはないね」
「私にとっては日記でも何でも同じよ。言葉は言葉じゃないの」

「同じなものか」
「ずっと迷路を楽しんでいるくせに」
「パズルなんて嫌いだ」
「それだって言葉遊びじゃない。ここは炬燵の中なのよ」
「違う。僕は自由なんだ!」

「自由なんてまだあるとあなたは本……」









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あまりある飛翔

2024-05-11 09:19:00 | ナノノベル
 運命の分かれ道は僕の手の中に握られていた。先手必勝。その勝率は5割を大きく上回って6割にも近づきつつあった。責任重大。名人の歩を5枚すくい取る手は既に震えていた。

「それでは振り駒です」
 手の中に納めてしゃかしゃかと振り始める。

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪

 ぱっと握ってぱっと放す。
 そんなやっつけ仕事みたいな真似はできない。
 対局者の神妙な面持ちが、この局面の重大さを物語っている。
 だから、簡単に振りを終えることはできないのだ。

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪

 運命の導く結論を祈るように見つめる二人。
 静寂の中に神聖な駒音だけが鳴り続けている。
 それを止める権利と責任はすべて僕の手の中にある。
 だから、こんなにも震えが止まらない。

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪

 平等のために作られた時間。
 僕はもう十分に手は尽くしただろう。
 頃はよし。これ以上は誰もこの緊張に耐えられまい。

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか♪
 ふぅわぁー♪
 そして、僕は手を開き駒を宙に放った。

 運命の滞空時間。彼らはどのように落ちて行くのだろう。
 しかし、放たれた勢いが強すぎた。
 あるいは、ため込んだ力の方だろうか。
 歩らは音を立てず舞い続けた。そして、天井を突き抜けて天空へと引かれて行く。

「待ってくれ!」(運命に逆らうな)

 天を仰ぐ名人。お茶を飲む八段。特別な瞬間を切り取るシャッターの音。最初の振り駒は失敗に終わった。こういうこともあるのか。先生たちに少しも動揺した様子は見えなかった。

「振り直しです」
 僕は対局室を回って歩を集めた。
 余り歩が主役になる。そんな朝だった。








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最後の笛

2024-05-07 00:15:00 | ナノノベル
 ゴール前に幾度も上がるクロスは、ストライカーの前を通過していくばかりだった。ゴールに必要な特急券を持つ者は現れなかった。ゲームはノンストップで進みアディショナルタイムに突入した。
 最後の最後までゴールのない長いトンネルを抜ける出口は見つからなかった。もはや互いに力を使い果たし、決定的な仕事をするような者はいない。花火の上がらないスコアレスドロー。いつ笛が鳴ってもおかしくはない。互いに傷つかない結果を受け入れて歩いている選手もいた。5分、10分、15分……。それでも笛は鳴らなかった。これは変だ。
 それぞれのポジションを捨てて選手たちが審判を取り囲んだ。

「何やってんだ。時間が止まっている」
「ゴールが見たかったんだ」
 審判はストライカーを見上げて言った。
「俺たちだって!」
「みんな必死にやった結果でしょう」
 結果を受け入れることもプロの宿命だ。
「観客だって見たかったはずだよ」
「だけど、それでも終わらせないと」
「そうだよ。みんなを家に帰してあげないと」
「コンプライアンス守らないとね」

「どこにも帰りたくない!」
(思ってた試合じゃなかった)
 審判はまだ駄々をこねていた。
「俺たちだってそれはそうだけど」
 サイドバックが気持ちを寄せた。

「しっかりして!」
 キャプテンが厳しく言い放った。
「今日が終わるから明日が始まるんでしょ。区切りをつけるのがあなたの役目だ」
「うん」
 審判は膝を震わせながら立ち上がった。
「さあ笛を」

 長いベルが鳴る。

「まもなく名古屋行き最終列車が発車いたします。
ご乗車の方はお急ぎください」








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風の禁じ手

2024-05-06 17:31:00 | ナノノベル
 口を開かずとも強く存在している者がいる。私が愛用する扇子もそのような存在だ。触れているだけで不思議と心を落ち着かせてくれる。大きく開くまでもない。読みに集中する時には、パチパチと刻まれて読みのリズムと共鳴する。
 いま、私の玉頭に大きな脅威が迫っていた。
 最も危険なのは間違いなく飛車の直射。
 手筋!
 と飛車の頭に歩をあびせた。

「大駒は近づけて受けよ」
 格言にもある通りだ。



 連打連打と歩を叩く。将棋は歩の使い方で決まる。
 一歩ずつ飛車が近づきいよいよ自陣にまで迫ってきた。駒台に伸ばした手は、フラットな一面を撫でるばかりだった。
 あったのに。あんなにたくさんあったのに。まだあるはずだった。ないとおかしかった。あるとよかった。あってほしかった。読んでいなかった。あるとは限らなかった。愚かなことだった。取り戻せればよかった。本当はね。

(あの一歩一歩が)
 すべて特別な歩だったのだ。

 ここにきて歩がなければ、いままでのは何だったのかわからない。それは相手へのプレゼント。もはや脅威の飛車筋をきれいに止める手段は何もなかった。
 私は大きく扇子を開くと飛車に向けて念じた。
「立ち去れー!」
 すると大きな風が起きた。
「ひえーっ!」
 座布団の上の名人が吹き飛んで行く。
 私の反則負けだ。









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不気味の谷のお父さん

2024-05-04 07:42:00 | ナノノベル
「行ってきます」
 少し寂しげな表情を浮かべて父は出発した。疎ましかった存在も、いなくなってみると時折、家に隙間風が吹くように感じられる。しばらく帰ってこれないだろう。しかし、1週間ほど経った頃、思わぬ訪問者がやってきた。 

「今日からしばらくの間、お父さんの代理を務めさせていただくことになりました」
 どうやら父からの贈り物のようだった。(何も言ってなかったのに)
「ああ。お父さん、そっくり!」
「未熟者ですがどうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ!」
 僕らはアンドロイドを快く迎え入れた。見た目はどう見ても父そのもので、父よりも礼儀正しい人間のように映った。尤もそれは最初だけで、すぐに遠慮のない振る舞いをするようになったが。

「おーい、新聞取ってくれー!
 お茶くれー!
 おかわりくれー!」
 注文ばかりして座布団の上に居座った。
 母は本物の父にするように、特に文句も言わずに接していた。(それでは益々調子に乗るぞ)彼は時々気まぐれにいなくなって、忘れた頃に戻ってきた。その時は、山の方に行き趣味の植物の写真を撮ってくるのだった。

「うわーっはっはっはっはっ!
 いーひっひっひっ……
 大げさに言うなってー!」
 笑い方や口癖までもそっくりだ。
 本当に何から何まで似すぎていて、恐ろしい。(本当は魂も愛情もないくせに)いつしか僕の胸の内には反発が生まれつつあった。

「まあまあお父さんもうその辺で」
 母が半分残った彼のグラスを引いた。
「何を言うかー!」
 彼は母の前で腹立たしそうに眉をつり上げた。それから突然、目の前にあったお皿や箸や調味料、とにかく目についた物を片っ端から投げ始めた。
「わしが悪い言うんかー!」
 床に落ちた食器が割れる。壁に当たって破片が散乱する。人には当たらないように加減して投げている。とは言え彼は投げっぱなしで、片づけるのはすべて母の方だ。下手に動くと投げた物が当たりかねない。しばらく、静観してから僕は立ち上がった。近づいて行くと彼は身構えた。

「何だ。何か文句があるのか?」
 こいつ、もうがまんできない。
「そこまで似るなよ!」
 僕は感情に任せて代理の父の頬を殴った。
(痛いっ!)
 すぐに自分の愚かさを呪いたくなった。彼は生身ではない。傷ついたのは一方的に僕の方だった。
 母がリモコンを押して父型アンドロイドの息の根を止めた。

「原則を知らないロボットは駄目ね」
 そうして代理の父は返品されることになった。
(こんなんじゃあいない方がましだ)
 3年がどれほどのものかはまだわからない。
 けれども、僕らは不在の谷で父を待ちながら暮らすことに決めた。





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スマッシュ・ヒット(宇宙リリース)

2024-05-03 00:41:00 | ナノノベル
 長年培ってきたものが、サード・アルバムでついに爆発した。

最優秀アルバム賞…1位
最優秀作品賞…1位
ゴールデンアルバム賞…1位
アメージングアルバム賞…1位
エンターテイメント・アルバム賞…1位
モースト・インポータント・アルバム賞…1位
革命的アルバム賞…1位
今世紀最大のアルバム賞…1位
抱いて眠りたいアルバム…1位
天国まで持っていきたいアルバム…1位
レコード店員がおすすめするアルバム…1位

やったー♪

 あらゆるチャートを独占した。私は一気に一流アーティストの仲間入りを果たすだろう。生きてきた中で最高の充足感に包まれている。来年は忙しくなるぞ。
 プロデューサーは難しい顔をしてテーブルの前にいた。

「残念な知らせがある」
「えっ」
 今この時にそんなものがあるはずがない。

「発売禁止になるかもしれない」
「どうして?」
「国の方から待ったがかかった」
 原因はAIによる未来予測にあるらしい。私のアルバムはよすぎるために、危険と判断されたのだ。

「朝から晩まで君のアルバムを聴いてすごす人がいるそうだ」
「ありがたい話ですね」
「月曜日からだ」
「それで」

「困ったことになるらしいんだ」
「私の作品がわるいんですか」
「やりすぎたな。よすぎるんだよ」
「そんな馬鹿な話がありますか」
 法を犯したわけじゃない。日頃の行いに問題があったわけでもない。ただ純粋に作品を作り上げたというだけだ。

「国民の意欲を奪ってしまうというんだ。あらゆる意欲だ。創作への意欲。労働への意欲。愛することへの意欲」
「与えるということはないんですか」
「ああ」
「どこにそんなエビデンスがあるんですか」

「AIの指摘だ。それは絶対なんだ」
「人間の作ったものじゃないんですか」

 私は街へ飛び出した。
 どこまで行っても私の最新シングルがエンドレス再生されている。
 しかし……
 それもまもなく止められてしまうだろう。

(私はやりすぎてしまったのか)

 きっとこの国の市場(器)が小さすぎるのだ。
 10年に渡る活動期間を振り返りながら私は空を見上げた。
 大宇宙時代……。
 これからのリリースはあの先にある。

「星だ」





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