好きなものはいつ食べるか。メインを真っ先に食べてしまうと、その先はどうなるか不安になる。だから、最も好きなものと割と距離をとることがある。好きと嫌いは、一見紛らわしく見えることがあるのではないか。一番遠ざけているものが、実は一番好きなものであることもある。これは食べ物だけではなく、一般的にも言える話だろう。
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連ドラをみていて不安なのは、主人公が不在の回だ。これには考えられるパターンがある。大きなスポーツ・イベントや季節的な特番などで、差し替えられている場合。曜日やチャンネルを完全に間違えている場合。役者さんが出張などの理由につき、脚本に普段と違う変更が加えられている場合などだ。その場合、それはそれとして楽しめることもある。
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好きな準チョコレート菓子をみつけた時には、一気には食べないようにしている。一旦口だけ開けたら、翌日には次の探索に向かうのだ。次々と手を広げると外れを引くリスクも増すが、思わぬ発見をするためにはやむを得ない。好きなものをみつけること、好きなものに囲まれて暮らすことは、なんてハッピーなことだろう。
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面白い映画をみはじめるとすぐに止めてしまう。もっとみたいと思うと同時に、まだみたくないと思ってしまうからだ。そこでウォッチリストに入れて満足とする。面白いと思う映画は、だいたいすぐに引き込まれてしまうものだ。楽しみはあとに取っておいて、次の作品へと移る。「面白い」とときめいた瞬間に、止まる。そうして次から次、平行して複数の映画をみていく。時々、自分が今みているものが何であるのかわからなくなる。ジャンルに対する先入観も徐々に薄れていく。1つのジャンルに固定し難い作品も多く存在するのだ。アクション、ファンタジー、スパイ、音楽、人間ドラマ、ロマンス、スポーツ、ドキュメンタリー、コメディ、歴史、宇宙SF、ロードムービー。昔はロードムービーが大好きだった。好きすぎて、ロードムービーばかりを探してみていた。
楽しみはたくさんあった方が安心できる。あとからまとめて押し寄せたらうれしくはないだろうか? 少し困るのは感性のズレだと思う。今日面白いと思ったこと。今日素敵だと思ったこと。それが明日も明後日も同じように思える保証はどこにもない。人の心は、自身を含めて移ろいやすいもの。もう1つは、サブスクにおける視聴期限だ。いつでも楽しめると言っても、いつまでも楽しめるわけではないことに注意したい。
そこまで考えてみた時に、「楽しみは楽しめる内に」というのも、もう1つの正解であるように思えてきた。