「いいえ。私は演歌歌手です」
そう否定されて、僕は訴えるべき場所を完全に誤っていたことを知ったのだった。
僕は、拳を蟹のように握り締め、ジェルモアはグーを出して勝利した。
ジェルモアは歌いだした。
いくつもの電車を乗り継いで
ついでに僕は探しに行くよ
この世で一つの宝石箱を
磨きに磨いたこの拳
失えなかった8月は
粘土作りの海の家
あなたはたった一人の街の人
舞うように迷い込んだ
恩も義理も捨てていく
僕は老いてしまった空家の中で
いつもせっけんの流れを思い出す
いくつもの電車を乗り継いで
ついでに僕は探しに行くよ
「あなたも探しているんでしょう」
ジェルモアは突然、歌をやめて言った。
「たったの猫を。
猫を探すのは、骨が折れるものです。
トカゲ整骨院に行くといい」
そう言って、ジェルモアは紙切れに地図を描いて渡してくれた。
地図にはいくつものローソン、いくつものAUが目印として書かれ、大きく弧を描いた道の向こうに「トカゲ整骨院」はあった。
「ありがとう。
間違えたのに。 ありがとう」
そう否定されて、僕は訴えるべき場所を完全に誤っていたことを知ったのだった。
僕は、拳を蟹のように握り締め、ジェルモアはグーを出して勝利した。
ジェルモアは歌いだした。
いくつもの電車を乗り継いで
ついでに僕は探しに行くよ
この世で一つの宝石箱を
磨きに磨いたこの拳
失えなかった8月は
粘土作りの海の家
あなたはたった一人の街の人
舞うように迷い込んだ
恩も義理も捨てていく
僕は老いてしまった空家の中で
いつもせっけんの流れを思い出す
いくつもの電車を乗り継いで
ついでに僕は探しに行くよ
「あなたも探しているんでしょう」
ジェルモアは突然、歌をやめて言った。
「たったの猫を。
猫を探すのは、骨が折れるものです。
トカゲ整骨院に行くといい」
そう言って、ジェルモアは紙切れに地図を描いて渡してくれた。
地図にはいくつものローソン、いくつものAUが目印として書かれ、大きく弧を描いた道の向こうに「トカゲ整骨院」はあった。
「ありがとう。
間違えたのに。 ありがとう」