「月曜日の朝、目玉焼きは食べましたか」
「国民の疑念を招くような朝食を食べたことはございません」
「サラダは食べましたか」
「お答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことはございません」
「ヨーグルトは食べましたか」
「繰り返しになりますが、国民の疑念を招くようなものについてはございませんでした」
「食後にコーヒーは飲まれましたか」
「それも含めて、国民の疑念を招くようなものはございませんでした」
「和食を食べましたか」
「謹んでお答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことはございません」
「木曜日の朝、目玉焼きを食べましたか」
「重ね重ねお答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことはございませんでした」
「それでは、国民が疑念を抱かないような朝食は食べたことがありますか」
「お答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことはございません」
「国民の疑念を招くような朝食。どんな朝食だ! 目玉焼きにかけるとしたら、塩ですか醤油ですか。具体的にお答え願います」
「個別のかけ事については、お答えを差し控えさせていだきます」
「和食は美味しいですよね。どうか率直に……」
「お答えします。個人的な見解については私としてはお答えする立場にはございません」
「おかしいでしょ。そりゃ話になんないよ。委員長、何とか言ってくださいよ。何も答えてくれないと盛り上がらないよ。これじゃどうにもならないって。ちゃんと言ってよー」
「えー、大臣は多少なりとも前向きな答えを示すように」
「日曜日の朝、目玉焼きは誰と食べましたか」
「それについてお答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことは記憶にございません」
「国民は関係ないでしょ。大臣、私はあなたにガチ聞いてるんですよ。ガチ答えてくれないと成立しませんよ。日曜の朝、目玉焼きは食べたんですか」
「ガチでお答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたという意識はございません」
「国民、国民うっせーんだよ。国民のこのこ出てくんじゃねえってんだよ。あんたの飯の話だろうが。どっから国民が出てくるんだ。委員長! ガチではっきりさせてもらっていいですか」
「質問者は発言に気をつけるように」
「目玉焼きを食べましたか」
「僭越ながらお答えいたします。国民の疑念を招くようなものについては一切口にしたことはございません」
「国民、国民うっせー言ってんだろうがよー。国民のことばっかり考えんなってんだよー。私はあんたの飯の心配してんだから。ずっと何言ってんのよ。食ったの、食ってないの? どっちなの? 国民、国民、私は国民のことなんかどうでもいいんだー!」
「質問者は言葉を慎むように」
「今朝はちゃんと食べましたか」
「言葉を選んでお答えいたします。国民の疑念を招くような朝食を食べたことは今朝に至るまでこれはございません」
「私も国民の代表だ!」