眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ロッカールーム・フットボーラー

2021-05-20 03:18:00 | オレソン
微かに空気の残ったボール
壁からのターンを受けて
吸い着くようなドリブルを

あの頃の俺は
抜け出すだけの
フットボーラーだった

得点の匂いをかいで
いつだって裏に抜けた
だけどあいつは
よこさなかったな

40℃のピッチの上
立っているだけで苦しいのに
ボールに触れると少し元気になった

何もかもが上手くいかない時も
ボールならば
オアシスを生み出せる

微かに空気の残ったボール
「まだ生きているよ」
壁に向かって打ちつける

俺はロッカールームのフットボーラー
まっすぐ打てばまっすぐ返す
壁は裏切らない

キーパーからのロングボール
ダイレクトで落とした夜
あいつフリーでシュートをふかしたね
もう一度俺に返してもよかったのに

あの頃の俺
できたてのチームの中では
中心にいるしかなかった

助っ人の加入と充実
サイドから脇へ
脇からベンチへ
そして俺は芝を離れた

俺の好きだったチーム名
今では誰も覚えてないね

微かに空気の残ったボール
壁からのターンを受けて
吸い着くようなドリブルを

俺はロッカールーム・フットボーラー

誰もボールを奪いにはこない

壁の間をすり抜けて

夜の出口を探してる

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地べたの宴

2021-04-28 18:56:00 | オレソン
ビールもある
ジンもある
ワインもある
世界の酒が揃ってる

酒があればつまみもある
ジャンプがあればこち亀もある

さあみんな
役者が揃ったら扉を抜けて
地べたに座って飲もうぜ

見回り隊もやってこない
ここは平和な一等地 

20時でも24時でも
俺たちを阻むものは何もないから
あらゆる壁を取っ払って
夢でも語ろうか

もしも缶の底が見えたなら
おかわりはほら
すぐ扉の向こうだぜ

さあ お前行ってこいよ


「いらっしゃいませ!」


ほらな 

酒は生活必需品なんだって

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店長の記憶

2021-01-22 00:34:00 | オレソン
(似ているな)
似た人くらいどこにでもいる

レジで
名札を見てしまった

(あっ!)

顔が似ていて名前も同じ
もう本人に違いない

(覚えてるかな)

記憶に残る店長一人
その下を通り過ぎた人は
どれほどいるのだろう

今夜声はかけなかった

彼はずっと商品だけを見ているようだ

店長 少しやせたね

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流星の旅

2021-01-12 22:21:00 | オレソン
星になりたい?
ふっ 星は消えるんだぜ

流れ始めた俺を
認めるや否や 
誰もが手を合わせる

「愛をください」

近くに頼るものがないのだろうか

「あ、えーと、えーと」

見つけてからでは遅いんだよ
普段から秘めておかなきゃ

偶然の座標で
すれ違った銀河列車
きっと行き先があるのだろう

立ち止まるってどういうの
途中下車ってどういうの

何にも関わることなく
何にも触れることなく
どこまでも流れて行く
それが俺の名前だ

「命が惜しい」

俺は神ではないぜ

「明日晴れますように」

「何かいいことありますように」

「星になれますように」

ふっ なれないから願えるのさ
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ポメラの窓(バスはまだやってこない)

2021-01-10 10:58:00 | オレソン
俺たちの愛したキングジム
ポメラの窓に
今夜も詩が灯る

あの日、君は言った
「窓1つあればどこへでも行けるんだ」

机の前から逃れられない時
身体の自由がない時も
希望は窓を突き抜けて行ける

ドアが開く
風が持ち込まれる
バーガーが持ち帰られる

歩道を行く人の手に
最新の蒲鉾が光っている

俺たちの愛したキングジム
ポメラの窓に
今夜も詩が灯る

あの日、君は知っていた
「窓1つあればどこへでも行けるんだ」

ベッドの上に縛られて
今は会うこともできないけれど
希望は窓から広がって行く

ドアが開く
風が持ち込まれる
バーガーが持ち帰られる

歩道を突っ走る自転車
耳に最新の蒲鉾を当てて

カウンターについて
俺はコーヒーを飲み干す
時を迷っている

抱きしめてキスをすれば
安心する
詩を書くということは
そういうことだ

温もりも安らぎも
長く続かないものだから
愛も詩もリフレインを必要とする

20時のモス
詩の灯るポメラの窓に
バスはまだやってこない

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オンリー・ユー

2021-01-06 02:06:00 | オレソン
ポメラと俺との間に
祭りという邪魔が入る

「君しかいないんだって」

祭りの甘い言葉につり出されて
俺は御輿を担ぐ
舞を踊る
歌を歌い 酒におぼれる
金魚をすくい
綿菓子を潜り
焼き鳥を食らい
リンゴ飴を回し
風船を飛ばして帰ってくる

「待たせたね」

行くあてのないモチーフを
渋滞させながら
ディープスリープの中のポメラ

俺はゆっくりと指先を合わせる
またプロローグから始めなくちゃ


ポメラと俺の間に
年の瀬という邪魔が入る

「今しかないんだって」

年の瀬の強い言葉に抗えずに
俺は炬燵を上げる
窓を開け掃除機をかけ
落ち葉を集め お菓子を集め
トナカイをつれ お菓子をまいて
チキンを食らい 蕎麦を啜り
行列に並び
密を抜けて鐘を鳴らし
大吉を引き当て
小枝に預け
餅を食って帰ってくる

「ごめんね」

放置している間に
顔色を変えてしまったポメラ
すっかり詩を忘れたように
カーソルを瞬かせている


ポメラと俺の間に
友人という邪魔が入る

「どうせ暇なんだろう」

言葉を知らない
友人をしばいて
俺はポメラの元へ帰ってくる

ごめん

「もうどこにも行かないよ」

君とだけ一緒に行くよ
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歩道の狂気

2021-01-03 23:02:00 | オレソン
この街の歩道は
車道ほど広いから
自転車がびゅんびゅん
走り抜けて行く

もう少しゆっくり行かない?

俺に比べれば
みんな十分速いじゃないか

右から左から追い抜いて行く
さっきは左
ほんの数センチのとこだった

俺が少しもぶれないものだと?
コーンか木だとでも思ってる?

気づいてないのか

あんた何度も

俺を殺しかけたよ
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ハッピー・モーニング

2020-12-31 05:10:00 | オレソン
忘れていた
誕生日ではない

おはようがおめでとうに変わった朝
誰も本当のわけを知らなかった

生ぬるいだけのおはようは
受け付けなかったのに
「おめでとう」は
俺の胸を貫いた

疑う必要はない
俺たちはやり遂げていたのだ

だから これから胸を張って行けるね

おめでとう!

忘れていた
クリスマスではない

おはようがおめでとうに変わった朝
街は桃色に包まれていた

ポーズだけのおはようは
何も覚まさなかったのに
「おめでとう」は
魂を揺さぶった

恐れることはない
俺たちは許されていた

だから これから顔を上げて行けるね

おめでとう!

おはようがおめでとうに変わった朝
俺たちは新しく生まれ変わった

ハッピー・モーニング

昨日までとは違う夜明け

これからどこへ向かおうか

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フリースいいね

2020-12-28 01:51:00 | オレソン
フリースはいい

Gジャンより軽く
セーターよりも暖か
ダウンよりも気楽だ

帽子よりも下
靴下よりも上
腕から肩、胸、腹、腰まで
包み込んでくれる

先週買った時は2000円
今日は1500円くらいだった

サンキュー・フリース
メリークリスマス!

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ささやかな夜  

2020-12-26 10:54:00 | オレソン
今夜記念すべき夜に
扉はまだ開かない

沈んだ気持ちを紛らわすのは
いつだってロックミュージックだけ

あの頃の夢は
何だった
もう他人の話みたいだな

思い出はいつかつけた
天ぷらの塩みたいなものだ

遠くに見えるタイムライン
君が詩をあげている

今夜記念すべき夜に
誰もここにやってこない

チャンピオンリーグの試合
もうテレビでは見られないってね

あの人の口癖は
何だった
もう前世の話みたいだな

引出の奥のギフト券
いつか使うつもりだった

遠くに見えるタイムライン
君が詩をあげている

今夜記念すべき夜に
誰も声をきかせない

俺はずっとここにいる
ただそれだけのことだろう

名前があれば
求心力となって
花も言葉を引きつける

いつだって
決めつけるのは自分自身さ

見つける方に回りたかったけど
もう何の記念だったか
忘れかけている

遠い街に住んでいる
君が詩をあげている

ささやかな夜だ

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今夜ポメラと

2020-12-21 04:51:00 | オレソン
今夜ポメラを開いてどこまで行けるだろう

人通りの絶えたストリート
誰もモチーフを運んではこない

エンターキーの上の人差し指
何かを決めかねて
ずっと宙に浮いている

誰かの期待は幻想だった
夢だったの

夜通しエンドレスに続く
ランダム再生
あの子が戻ってくるのは
いつになるだろう

打ちかけたポメラ
半分閉じて眠ってる

寝静まったタイムラインに
君だけがまだ
詩を打ち上げている

俺は拍手もせずに
ただ空想の街を見つめている

今夜ポメラと行くところがあるんだ

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ブルー・クリスマス(&ターン)

2020-12-20 10:58:00 | オレソン
この部屋には窓がない
いつか君が気づいたこと

どこからともなく
憂鬱を背負ってやってくる
サンタクロース

贈り物はなく
居座るのはただブルー

絶え間なく忍び寄るブルー
メディスンはポエムだ
打って打って打ちまくれ

まだ負けじゃない

みんなの好きが
君をまた独りにする

遠くかすんだ理解者
親しきものほど去って行く

#を追いかけては見失う

詩というものは
思うところと思わぬところで
見つかるもの

飽和した不安が
君を道へと押し出す
走れランナー
闇の中からスイッチを探せ

超速で過ぎる子猫
だけど
タイヤだったかもしれない


この部屋には窓がない
だから自分を探せないんだ

どこへともなく
憂鬱を背負い過ぎる
サンタクロース

与えるのではなく
居座るのはただブルー

絶え間なく忍び寄るブルー
メディスンはポエムだ
打って打って打ちまくれ

まだ終わりじゃない

スタッフの関心が
君をまた独りにする

記憶に映る理解者
愛するものほど離れて行く

#を追いかけては迷い込む

詩というものは
思うところと思わぬところで
見つかるもの

分解された想念が
君を道へと押し出す
走れランナー
闇の中に自分を灯せ

超速で過ぎる子猫
あれは
12月だったかもしれない

決してあいいれないと
あきらめの岸辺に急がないで

あの橋を渡り切ったら
その時はじまる
君の新しいターン

メディスンはポエムだ
打って打って打って
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ハエとイルミネーション 

2020-12-18 02:32:00 | オレソン
とっておきのものは
みんなとってあったのだ

12月の
プッシュ回線に押し出されて
突如使命に目覚めた人たち

働き者も怠け者も変わりなく
みんな目の色が違う

クイーンがやってくるまで
月は暢気なアトラクションだった
本当はみんな
するべきことがあったんだ

1匹のハエが急接近して
生まれかけていた
詩の隙間から舌を出した

「ねえ あんた浮いた話はないの」
「馬鹿だな サーカスショーでも見にいきなよ」
「ははは サーカスなんてどこでやってるのさ」

コーヒーは無事か
カップの縁を奪われることも
許せないけど

12月の
プッシュ回線に押し出されて
突如使命に目覚めた人たち

木々を称えるイルミネーションに
途方もない贈り物を
抱えながら

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ジャズとテレフォン

2020-12-17 18:23:00 | オレソン
1杯のコーヒーを飲むために
人はどれだけ歩けるだろう

ワンコインで手に入れた
俺だけの創作テーブル

「お時間、今大丈夫ですか」

天井からのジャズに紛れて
あいつのテレフォン
俺の意識を持っていく

2人のおしゃべりは無視できるのに
独りの声を聞いてしまう

あー
はい
本当ですか
 いや、何が

個人的にはしたいのですが……
もしいらっしゃるのでしたら……
チームが無理ならやめといた方が……
保護者の方が
 あんた、先生かい

閉じたままの
DM100
オレンジのA6

エナージェルが呼吸している

ジャズの隙間からあいつのテレフォン
俺は自分を保てない
(本当は聞きたくない彼女の声)

あー
はい
そうだったんですか
 いや、何が?

もしも何かあったら……
 何かって何?

因みになんですけど……
 いや、何が?

なるほど
 いや、何が?

それはうれしいです……
因みに年末年始……
どの日から始まる……
 いや、来年の話か

ため息をつくコーヒーの横で
閉じられたポメラが鼾をかいている

すべての生は呼吸だろう

ぜひお願いします……

お互い様ですので……

いや、誰が?

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12月のシュレッダー

2020-12-17 03:23:00 | オレソン
ミッション
「手が空いていたら……」

今夜も俺
手が空きすぎている

グローブつけてつかむ
白と黒との紙の束
千切って千切って
千切って
指が痛くなるまで

本当は
ポメラに
タッチしたかった

機械なら
もっと上手くやるだろう
繊細に抜かりなく
少しも弱音を吐かないだろう

雪じゃない

ゴミ箱の周り
いつかの旅の名残が
こぼれ落ちている

今夜も俺
繰り返し繰り返し

(手が空いていたら)

覆せない条件が
終わりのない夜へ
引きずり込む

レディオから
ハッピー・メリークリスマス
歌っても歌っても

この街に雪は降らない

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