差し出した手がはたき落とされる音で猫は目覚めた。準備に追われる世界の向こう半分では、もう後かたづけが始まっている。元気を取り戻そうと全力で歌う世界の裏側では、ただ安らかに眠ることを願う者たちがいた。それが厄介な問題なのか世界のバランスなのか猫は知らない。
願いをかけようとする星はその前に蹴飛ばされてしまう。誰かのためなどではなく突き動かすのは習性だ。星を追う内に猫はまた幾つもの時空を越えてしまう。光、闇、光、闇、光、闇……。
光が宇宙を広げようとした向こうで、神様が縮小に向けて動いていた。その間に猫は身を滑り込ませた。大いなる隔たりの中に浮かんで眠り始める。
「ああ、虹がかかった」
オルタナの
虹をかけよう
絶え間ない
いい争いに
詩が渡るよう
折句 短歌「鬼退治」