鉄棒のリターンエースに打ちのめされた僕は、気を失った。
気がついた時、僕は動く空を見つめていたのだった。
「お客さん、大丈夫かい?」
帽子の男が、僕を見下ろして訊いた。
僕は、気を失って倒れているところを、たまたま通りかかった台車タクシーに拾われたのだった。拾われてどこかへ運ばれているのだった。
「どちらまで?」
運転手は、訊いた。
「病院へ行きましょうか?」
運転手は、病院を行くことを提案した。
流れる空を見ながら、僕はそれを否定した。
今日が、晴れの日で本当に良かったと安心しながら。
信号待ちで、運転手は煙草に火をつけた。
「お客さんもどうです?」
とマイルドセブンを差し出した。
僕は、体を起こして台車の上に座り直した。
手を振って、断った。
信号機のメロディーを聴いている内に、色々なことを思い出してきた。
----前回までのあらすじ。
僕は猫を探しています。
ポエムバーのマスターはきっと見つかると言ってくれた。
竹馬に乗って猫を探した。
恐ろしい風は、馬上の男がラーメンをふーふーしているのだった。
トカゲ整骨院は、実際はフランサ催眠クリニックだった。
夢診断の結果、見つかったのは犬だった。
銀色の犬はライオンで、兄弟はサッカーが下手で、僕も下手だった。
それから、今日は同窓会に行く予定だったかもしれない。
「同窓会があるんです。そこへ行ってください」
僕は再び、台車の上に寝そべりながら言った。
どこか懐かしい秋の空が遥か上にあった。
それは久しぶりに見たような空だった。
「かしこまりました」
運転手は、台車の角に備え付けられた缶の灰皿に煙草を捨てた。
信号が青に切り替わると同時に、誰よりも早くスタートした。
「最短ルートで向かいます」
恐ろしいスピードで、空が流れ始めた。
気がついた時、僕は動く空を見つめていたのだった。
「お客さん、大丈夫かい?」
帽子の男が、僕を見下ろして訊いた。
僕は、気を失って倒れているところを、たまたま通りかかった台車タクシーに拾われたのだった。拾われてどこかへ運ばれているのだった。
「どちらまで?」
運転手は、訊いた。
「病院へ行きましょうか?」
運転手は、病院を行くことを提案した。
流れる空を見ながら、僕はそれを否定した。
今日が、晴れの日で本当に良かったと安心しながら。
信号待ちで、運転手は煙草に火をつけた。
「お客さんもどうです?」
とマイルドセブンを差し出した。
僕は、体を起こして台車の上に座り直した。
手を振って、断った。
信号機のメロディーを聴いている内に、色々なことを思い出してきた。
----前回までのあらすじ。
僕は猫を探しています。
ポエムバーのマスターはきっと見つかると言ってくれた。
竹馬に乗って猫を探した。
恐ろしい風は、馬上の男がラーメンをふーふーしているのだった。
トカゲ整骨院は、実際はフランサ催眠クリニックだった。
夢診断の結果、見つかったのは犬だった。
銀色の犬はライオンで、兄弟はサッカーが下手で、僕も下手だった。
それから、今日は同窓会に行く予定だったかもしれない。
「同窓会があるんです。そこへ行ってください」
僕は再び、台車の上に寝そべりながら言った。
どこか懐かしい秋の空が遥か上にあった。
それは久しぶりに見たような空だった。
「かしこまりました」
運転手は、台車の角に備え付けられた缶の灰皿に煙草を捨てた。
信号が青に切り替わると同時に、誰よりも早くスタートした。
「最短ルートで向かいます」
恐ろしいスピードで、空が流れ始めた。