「捨てないでくれ。こんな狭いところから」わざわざ捨てるためにつれてきたのかと訊くと否定しなかった。「君を捨てなければ何も完成しないから」早くも私は帯になって捨てられ始めていた。「ひと時の間、温めてくれてありがとう」麺食いはそう言って最後の一滴まで、私を捨て終えた。#twnovel
最初は小さな丸を描いた。だんだん大きくなり投げやりになってやたら大きくなった。今、地球周辺、徐々に大きな円を描いて、私はこの星から離れていくつもりだ。前から似たような奴がやってくる。私は少し膨らんだ。けれども、そいつはもっと大きく膨らんで、大きく私を避けていった。#twnovel
そろそろコンピュータをアップルに変更することを突然思い立ち、テレビ画面の中のカタログを眺めていたのだった。我に返ると扉が半分開いていて、自分は裸同然の格好だし、テレビはなぜかエロチックなジャンルに切り替わっているのだった。自分の部屋だと錯覚していたために誰かに油断した姿を見られ、その者が驚いて扉を開けたままにして逃げていったのかもしれない。あるいは、自分の部屋だと思い込んだ自分の単純な閉め忘れであってくれればよいのだけれど。置いてきた洗濯物のことを思い出して、再び蒼くなった。
「何を見ている?」
洗濯機を探しているはずが、立っているのは試着室の前だった。この辺りに確かにあるはずなのだが。カーテンの向こうに隠れているのかもしれない。カーペットの上に光るものを見つけ、近づいていくとそれは人を傷つけかねない程に鋭利な形をしていたので、拾い上げた。1つ拾うと次の物が光り始め、またそれを拾わなければならなかった。最初の1つが見逃された瞬間から、そこは光る物と尖った物との生息地となって、長い時間見過ごされ続けた結果今に至ったのだろう。拾い、拾い、拾いまくって、手の中に溢れる程になったら、ゴミ箱へと運んだ。もしもそれが全編に及んでいるとしたら……。終わりの見えない作業になるかもしれなかったが、幸いそれはある一定の地域にだけ密集しているだけだった。
事務所に戻るとカーテンが自動的に開くように進化していて、驚かされた。冷たい視線を受けるが、さぼっていた覚えはない。
「洗濯機はどこに行きましたか?」
誰も答える気がないようで、自力で探すしかなさそうだった。建物の構造を錯覚して、あるいは何かの思い違いがあって、別の場所を探していたのだ。探すべき場所を誤れば、見つかるべき物も見つからないものだ。
「どこに行けばいいですか?」
着物姿の少女が訊くが、僕は何も知らないのだ。
「どうされましたか?」
答えることができないから、質問するしかないのだ。
「予約しているのですが……」
話のわかる人に相談するため、事務所の奥を覗いた。
「ああ、40人の団体ね」
女はそう言っただけで、すぐ別の用件に戻っていく。
「頼んでいたものはどうなったんだ?」
エプロン姿の男が駆け足でやって来て言うので、僕はまたあわあわとなった。一方的に事情を説明するが、僕には何一つわかりそうにないことだったので、途中からそれは未知の言語のように変わっていった。何かを要求しかけて、男は突然態度を変えた。
「やっぱりいい!」おまえでは駄目だと言った。もっと早く、気がついてくれればお互いが楽だったのに。
「would you please ……」
異国の人を前にして、言葉がつながらなかった。
「would you have ……」
駄目だった。とても伝えられない。
鍵をください。たった一言さえもうまく出てこないのだった。鍵をください。けれども、異国の人は無反応のままだった。
「would you ……」だんだんと声が小さくなってゆく。
「would you have you ……」
駄目だ。だんだんとおかしくなっていくのは、隣で他人が見守っているせいだ。彼が少し笑っているせいで、こちらもおかしくなってゆくのだ。
「勝手に使ってもいいんですよね?」
ついに本当の洗濯機を見つけた。
「ただですよね?」
その言葉に生活の苦しさが滲み出ているようで、引き戻したかったけれど、おそらくは誰も聞いてさえいなかった。
蓋を開けるとその容量の少なさに驚かされたけれど、それは入り口を塞いでいる洗面器の仕業だった。そして、それを取り除いたが、それにしても底浅い洗濯機だった。
「それにしてもな……」
思わずそれが声になる。そこに光るのは洗剤の残りではなく、砂の一種のようだった。これでは、とても一度で洗い切ることもできない。こんなものが、僕の探していたものだった。洗濯機の上には、赤く大きな文字で書かれた貼り紙が掛かっていた。
「あまり使わないでください。(壊れます)」
使って欲しくはないのだ。かわいそうに……。
「何を見ている?」
洗濯機を探しているはずが、立っているのは試着室の前だった。この辺りに確かにあるはずなのだが。カーテンの向こうに隠れているのかもしれない。カーペットの上に光るものを見つけ、近づいていくとそれは人を傷つけかねない程に鋭利な形をしていたので、拾い上げた。1つ拾うと次の物が光り始め、またそれを拾わなければならなかった。最初の1つが見逃された瞬間から、そこは光る物と尖った物との生息地となって、長い時間見過ごされ続けた結果今に至ったのだろう。拾い、拾い、拾いまくって、手の中に溢れる程になったら、ゴミ箱へと運んだ。もしもそれが全編に及んでいるとしたら……。終わりの見えない作業になるかもしれなかったが、幸いそれはある一定の地域にだけ密集しているだけだった。
事務所に戻るとカーテンが自動的に開くように進化していて、驚かされた。冷たい視線を受けるが、さぼっていた覚えはない。
「洗濯機はどこに行きましたか?」
誰も答える気がないようで、自力で探すしかなさそうだった。建物の構造を錯覚して、あるいは何かの思い違いがあって、別の場所を探していたのだ。探すべき場所を誤れば、見つかるべき物も見つからないものだ。
「どこに行けばいいですか?」
着物姿の少女が訊くが、僕は何も知らないのだ。
「どうされましたか?」
答えることができないから、質問するしかないのだ。
「予約しているのですが……」
話のわかる人に相談するため、事務所の奥を覗いた。
「ああ、40人の団体ね」
女はそう言っただけで、すぐ別の用件に戻っていく。
「頼んでいたものはどうなったんだ?」
エプロン姿の男が駆け足でやって来て言うので、僕はまたあわあわとなった。一方的に事情を説明するが、僕には何一つわかりそうにないことだったので、途中からそれは未知の言語のように変わっていった。何かを要求しかけて、男は突然態度を変えた。
「やっぱりいい!」おまえでは駄目だと言った。もっと早く、気がついてくれればお互いが楽だったのに。
「would you please ……」
異国の人を前にして、言葉がつながらなかった。
「would you have ……」
駄目だった。とても伝えられない。
鍵をください。たった一言さえもうまく出てこないのだった。鍵をください。けれども、異国の人は無反応のままだった。
「would you ……」だんだんと声が小さくなってゆく。
「would you have you ……」
駄目だ。だんだんとおかしくなっていくのは、隣で他人が見守っているせいだ。彼が少し笑っているせいで、こちらもおかしくなってゆくのだ。
「勝手に使ってもいいんですよね?」
ついに本当の洗濯機を見つけた。
「ただですよね?」
その言葉に生活の苦しさが滲み出ているようで、引き戻したかったけれど、おそらくは誰も聞いてさえいなかった。
蓋を開けるとその容量の少なさに驚かされたけれど、それは入り口を塞いでいる洗面器の仕業だった。そして、それを取り除いたが、それにしても底浅い洗濯機だった。
「それにしてもな……」
思わずそれが声になる。そこに光るのは洗剤の残りではなく、砂の一種のようだった。これでは、とても一度で洗い切ることもできない。こんなものが、僕の探していたものだった。洗濯機の上には、赤く大きな文字で書かれた貼り紙が掛かっていた。
「あまり使わないでください。(壊れます)」
使って欲しくはないのだ。かわいそうに……。
みんながつかれていた。そのせいで、みんな、やつれたり、おかしくなったりしていた。誰であれ、つかれた時は休まなければならない。「おやすみなさい」互いにこの世で最も優しい命令文をかけ合い、それに従った。長い休みの時間が訪れると、ついていた様々な霊も自然と離れていった。#twnovel
言葉がかけていった。「待て!」言葉は言葉に従って話し始めた。「脱走してきました。彼女は話によって失われてしまうことを恐れ私を捕らえ閉じ込めたのです。まだ私たちの多くが地下室の中にいます」なんと!おしゃべりな女だ。「いいえ。彼女はとても無口な女性です」言葉はいった。#twnovel
「世界中を探し回ってようやく見つけたんだ」彼は指を鳴らしながら豪語した。「この手の中に溜め込んでおいたよ」コントロールボタンに片手を置いて、「さあ、これが答えだ!」とキーを叩くと画面上に現れたのは「ひ」。私はそれを払おうと手を振った。一瞬、蝿と思ってしまったのだ。#twnovel
3分の1の光が疾走を止めた。少年は立ち止まって手を合わせると願い事を3回唱える。1度も叶ったことはない。「ピザ屋に頼んでも届くのはピザだけだぜ」少年の願いはピザでも食べ物のことでもなかった。どんな忠告にもめげずにしつこく願った。少年は暇をもてあましていたのだった。#twnovel
どこかで聴いた覚えのある曲だったが、前奏の途中ではまだわからない。気になる人がいた。どうして気になってしまうのか、自分の中に気になる人の中に理由を探していた。確信が高まってゆく。もうすぐ声が懐かしさと一緒に答えをつれてくる。そう、思っていると曲は終わってしまった。#twnovel