ミソサザイ(折句)

身の丈の
そこはかとない
寂しさに
探すパーカー
いずこか君は

(折句)

揚げ豆腐(折句)

ありふれた
計算式を
ときかけた
馬の背中で
ふさぎこむ君

(折句)

揚げ豆腐(折句)

明け方の
ゲンクで爪を
研いでいる
ウルフはハート
フルドリブラー

(折句)

おもてなし(折句)

おいていく
ものなの生きるっ
てのはねえ
夏の終わりは
詩人の走り

(折句)

バイオマス(折句)

鼻息に
イボイノシシは
おののいて
真っ直ぐかける
隅田川まで

(折句)

たなごころ(折句)

立ち尽くす
なぜの姿勢で
来ぬ人に
恋しさ募り
ロックを解除

(折句)

揚げ豆腐(折句)

あまおうに
幻惑された
突然の
雨天ミルクが
降り注いだ日

(折句)

鏡石(折句)

解散を
語るに風の
御堂筋
行き交う人は
焼売を抱き

(折句)

ハナミズキ(折句)

吐き出した
なにもかもみな
水と行く
水道水が
きれいな朝だ

(折句)

エオマイア(折句)

えりあしに
訪れぬ睡
魔の陰で
いろはがめぐる
あらくれの歌

(折句)

ミソサザイ(折句)

耳鳴りが
創意をさして
さまよえば
散文となる
いくばくの波

(折句)

揚げ豆腐(折句)

足枷を
蹴飛ばし君は
飛ぶだろう
運命論を
古池に捨て

(折句)

おもてなし

臆病な
もしもの中に
敵を得て
なじりまわった
灼熱の星

ユキヒョウ(折句)

行き交えば
奇跡を思う
人の名を
呼んで次第に
潤む夕暮れ

(折句)

揚げ豆腐(折句)

朝露が
毛先に触れて
跳び上がる
裏街道に
瘋癲の猫

(折句)