眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

鬼は外

2020-03-03 23:37:00 | ナノライト
検査対象に含まれない
ロボットが
活発に動き回っている

彼らは一切
熱を持たず
歴史を持たず
この世で最強の
金を持って

街中にばらまいている

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スーパー・イヤホン

2019-12-29 11:24:00 | ナノライト
耳のうわさに
新しいイヤホンが刺さる

新しいイヤホンは
耳にやさしいという
新しいイヤホンは
音をよく拾うという

新しいイヤホンは
雨に強い
親身になって悩みを聞く
隠れてカレーを煮込む
朝夕犬を散歩させる

新しいイヤホンは
ジョークを飛ばす

発売は新春のいつか
価格はオープンという
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推定迷子

2019-12-19 23:37:00 | ナノライト
自動ドアが開いて猫が入ってきた
白とオレンジの細い猫だった
まっすぐこちらをみた

屋敷の奥まで入られては一大事だ

即刻退場を命じる
普通の言い方では通じない
猫の嫌いなあらゆる言葉を投げつけた
威圧的な擬声語をあびせかけた

猫はこちらの存在を
あまり気にかけていない様子だった

上がり框を越えてくることもなかった
しばらく様子をみて
猫なりに納得して帰っていった

見慣れぬ猫だった

きっと迷子だ
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スピード将棋

2019-12-10 22:53:00 | ナノライト
対局30分前
既に両者向き合って正座しています

名人が駒箱に手をかけました
力強く王将を置きました
気合いが漲っています

同じペースで金銀小駒の順で
両者駒を並べ終えました

余った歩を名人が駒箱に戻します

20分前

緊張感が高まっていきます


あーっ! 指した!

七段初手26歩

「それでは対局が始まりました」

記録係が慌てて追随 
しかし立会人がこれに待ったをかけます
手順前後の指導が入りました

おーっ! 七段の歩が一歩後退!
再び初期配置に戻ります


記録係がお茶を入れています

そうだ、お茶だ!
お茶を口に含んで
両者高ぶる気持ちを抑えます

名人深く深呼吸

七段ハンカチで口を押さえる


10時ジャスト

「それでは対局を始めてください」

七段の手がまっすぐ飛車先に伸びていく

あーっ、やっぱり!
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特命キャベツ

2019-11-24 10:40:00 | ナノライト
ハーフカットのキャベツを手にすると
片手ではとても持ち切れなかった
丸ごと買うなら一人では不可能だ

ありがたく両手で抱え
頭上に高く持ち上げた帰り道は
とても無防備な形になった

下校途中の小学生が顔に落書きを
通りすがりのレスラーがローキックを
黒衣の刺客がボディを連打していく

不条理な攻撃にさらされながら
僕はキャベツを落とさなかった

このキャベツは
山田さんちのキャベツだから
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偽主治医

2019-10-24 23:29:00 | ナノライト
少し鼻でもかめば
すぐに風邪と決めつけられる
あなたは医者でもないのに
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かわいい

2019-08-05 03:40:00 | ナノライト
短い詩は
まるでチワワのように
かわいいれど
AIが書いた詩は
何か人間味がないんだな

なんて詩を
AIが書いている

自虐を覚え始めたところが
ちょっとかわいい
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泥沼地獄

2019-07-01 23:22:15 | ナノライト
置いたままにしておくと
「出しっ放しか」
と責められる
 
片づけておくと
「いちいちしまうな」
と怒られる
 
何もしないと
「見ているだけか」
と責められる
 
すすんで動くと
「余計なことをするな」
と怒られる
 
とどめても駄目
動いても駄目
 
いずれにしても
よい行いはできない
 
あなたの前では
僕は 人間失格
 
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独りの待ち合わせ(pomera・イン・ランチタイム)

2019-06-28 17:39:47 | ナノライト
0時が近づくと
目立って人の数が増える
 
かけがえのない日常が
何事もなくまわっている証だ
辺り一帯にラーメンの匂いが
漂って
僕は少しだけハングリーになる
 
pomera越しに
手つかずのままの
ホットコーヒー
 
冷めていく時間が
詩が生まれる時間だ
 
人気の注文カウンターに
人が近づいては離れていく
 
バッテリー表示は残り半分になった
 
最初の詩は
 
まだやってこない
 
 
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ミラー・サイト

2019-06-04 02:44:49 | ナノライト
「家でもいいじゃない」
 
君の言うことはよくわかる
だけど君はわかっていない
 
孤独には2種類あるということを
 
自分の部屋での孤独
フードコートでの孤独
僕にはどちらの孤独も必要だ
2つの孤独を照らし合わせて
自分の姿勢を見つめ直す
 
僕はどこへ向かうべきだろう
 
pomeraはまだ何も答えない
 
 
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おかわり不可

2019-05-11 10:41:30 | ナノライト
立ち上がる湯気も
取っ手に及ぶ温もりも
いつまでも続かない
 
一口飲めば一口減って
内の白さが増して見える
 
終わりを想像しては
惜しくなり
怖くなり
切なくなり
 
もう無邪気に口づけてはいられない
(注文した頃は暢気だった)
 
コーヒーは夏休みだ
 
おかわりなんてできない
 
 
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遅延杓文字

2019-04-18 23:24:27 | ナノライト
みんなは釜の前に集まって
杓文字が届くのを待っている
 
種々のおかずに突き刺さったトングに
手を伸ばす者はいない
(飯がまずくなるから)
 
歌やゲームやパフォーマンスで
間をつなぐような雑念もアイデアもなく
みんなただそれを待ちわびている
 
「杓文字はいま岡山を出ました」
 
どこかでお腹の鳴る音がする
 
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とんでもない話

2019-04-15 20:46:05 | ナノライト

とんでもないこと

ばあちゃんは怒った
 
「おみやげに持ってくもんじゃない」
どうして……
(好きなものを贈るのがどうして)
「話にならん! 聞いたことない!」
詰め寄るほどに不機嫌になるばあちゃん
 
どうして……
みんな素敵なのに
たくさん儲かるのに
なのになのに……
 
「これちょうだい」
 
ばあちゃんの顔の前に
突き出した
よっちゃんイカ
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卒業

2019-04-09 21:54:30 | ナノライト
最前列は先生の目に近く
最も睡魔と戦いやすい
背中にかかるプレッシャーも
振り返らないと決めたなら
誰もいないに等しい
 
窓際の席に着いたら
誰よりも雨を早く知り
庭かける犬とコンタクトする
いつも外の世界に目を向けながら
輪の中に入らずに過ごせるかも
 
真ん中の席は覚えにくい
逃げ場がなくて辛そうだけど
上手く溶け込んでしまえば
どこからも見えなくなって
誰にも狙われずに済むはず
 
最後列の真ん中に着いて
声を上げずにふんぞり返ってもみたい
個別のテーマには加わらず
気ままに絵の具を溶いたら
ゆっくりと全体をスケッチする
 
結局のところどこでも同じではないかな
 
その場に合った生き方を見つけさえすれば
そこを自分の居場所にすることができる
どこに行っても間違いじゃない
どこに行っても怖くはない
さあ くじでも何でも引いてくれ
 
「出て行け!」
 
お前の席はないと先生は言い放った
いったい僕が何をしたの
 
「お前はとうの昔に卒業したんだ」
 
 
 
 
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5歳の君へ

2019-04-08 23:38:03 | ナノライト
物語の中で一番楽しいのは
まだ主人公が何も手にしていない頃
方向も定まらず
不確かな夢を抱えているだけ
仲間は遠く離れたところにいて
出会いは何も約束されていない
 
ちょうど小学校の門を潜る前のよう
クラスが決まり時間割が決まると
その先は期待したほど創造的じゃない
 
何者でもない時 道は最大限に開かれている
 
5歳の君へ
君がいま手にしているもの
それこそが宝物だ
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