眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

7つのパズル

2012-11-01 20:51:47 | ショートピース
「こんなものが残っていたか」倉庫の隅から幼い時に遊んだパズルが出てきた。赤、青、黄のブロック。何回解いたことだろう……。四角い仕切りの中に納める。青の十字を考えなく手が取った。記憶は指に残っていた。完成。よくできました。もう一度ばらばらに。正解は一つではなかった。#twnovel

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ケノービ

2012-11-01 05:00:57 | 短歌/折句/あいうえお作文
軽妙な
ノールックパス
東から
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ライオンと昼休み

2012-11-01 00:30:46 | 夢追い
 父は巨大なライオンをつれて帰った。夜はまた会議に出かけるという。忙しい最中にも、父は好んで多くの課題を抱えた。落ち着く時間はなく、眠っている時でさえ父の周りでは常に未知の課題が寝息を立てながら成長していた。
「もし逃げ出したらどうすればいい?」
「優しくしなさい」
 人形を振りながら、一緒に寝そべってみせなければならないという。追い立てたり、無理に捕まえようとして気分を害しては、また町を出て人に悪さをしてしまうから。町とか、人とか、そんな遠い話しかないので少しうんざりした。町を出る前に、人に会う前に、まず僕がどうにかなってしまうことはないというのか。普通は、先にそちらを心配すべきではないのか。まるでライオンの方が優先されているみたいだ。
 ライオンのために用意された囲いは広々とはしていたが、その巨体を閉じ込めるには浅すぎたし、屋根もなかった。その気になれば、いつでも飛び出すことができるだろう。2階の窓から、様子を眺めていた。ライオンの大きな脚が見える。見えている間は、大丈夫。倉庫に、明かりがついている。カーテンの向こうに、父はまだいるのか。いなくなった瞬間、獣は動き出すのかもしれない。その瞬間を待ちわびながら、大人しくしているのかもしれない。
 引き出しを開けると封筒が出てきた。封筒の中からは、五千円札。僕はこれでライオンと戦うつもりなのか。いやそうではない。五千円はもったいない。だったら、千円札だ。負ける可能性も、勝った後のことも同時に心配していた。

 校庭を越えて戻らなければならない昼の時間は忙しかった。校長室の隣のトイレを目指すが、校長が後ろからついてくる。くるな。念じると校長は銅像に変わった。
 喫茶店の一角は椅子だけの空間があり、OLがやってきて向かい合って座った。テーブルもなく、食べたり飲んだりすることはできないが、その分、話に集中する人にとっては都合がよい。奥は応接室になっていた。
「どうぞ」
 外国の要人が、特別室に招かれる。そこは校長室の岩の上に作られていた。
「どうして大臣が?」
 しかし、純粋にファンとしてきているのかもれしないねとOLたちは話している。

 多くの若者たちが屋敷を取り囲んで、その時を待っていた。屋敷は1秒毎に色を変えながら伸縮していたが、それが中にいる者の影響なのか、設定によるものかはわからなかった。待っていると見知らぬ若者が寄ってきた。
「どうかしてるぜ」
「テレビはあまり見ないので……」
 言い訳めいたことを言うと男は声を出さずにああと言い、これではよくないので何か言い足さなければいけないと考えている内に背中を向けて行ってしまった。少しずつ、人が屋敷に呑み込まれて減っているようだった。
「カードは?」
 係の者が近づいてきて言った。周りを見ると確かにみんな胸に身分を示すしるしのようなものを下げていた。
「家で作ってくるの?」
 基本的なことを理解できていないのは、僕だけのようだった。
「ないと無理ですか?」
「大丈夫です」
 特に問題はないようだった。
「どんなことをするのですか? 販売ですか?」
「そう難しくないことです」
 男は、直接的な表現を避けながら親しみのある笑みを浮かべた。
 カードがないため、僕は基本的なことから話し始めなければならなかった。ベンチに座ると男は鞄の中から資料を取り出し膝の上に広げた。話を進める内にも、屋敷は順調に若者たちを呑み込んで、少しずつ色褪せていった。男の膝の上は見渡す限り白く、果てしなく続く鍵盤の上を猫が這っていくようだった。

「終わりました!」
 隣に座っていた男が、突然言った。すべての説明が終わったという。そんなことがあるだろうか。まだ入り口辺りを彷徨っていただけのはずだった。
「僕、眠ってました?」
 男は、説明がすべて終わったということを繰り返しただけだった。
「ありがとうございました」
 屋敷に入ることはできなかった。終わったというのだから、仕方がなかった。それでも中の様子が気になって、近づいてみた。ちょうど入り口が開いて、機械の一部が見えた。
「韻を踏む機械です」
 資料を仕舞い終えた男が、教えてくれた。
 森のたぬき……、マリのたわけ、
 この世の楽園……、いくよの挑戦、
 2人のおしゃべり……、ミイラ取りの無茶振り、
 作家の煮詰まり……、サッカーの始まり、
 誰が味方か? どちらのゴールを攻めるべきか?
 不確かなラインの中で、僕が蹴ったのは自分の靴だった。靴を拾いに走る間、できるだけのことを見極めなければならない。あれは、敵なのだろうか……。無人のゴールに向けて2人組が駆けて行く。きっと、あのゴールを守らなければならないのは僕なのだろう。先回りして、ゴールの前に立った。
「上に浮かすことは可能」
 2人はゴールの前で相談を始めた。早く打てばいいのに。打てるところで打たずサイドに振ってはまた中に折り返す。いよいよ打つかというところで、更に溜める。とうとう僕は尻餅をついてしまった。そうしてゴールを割られてしまったが、その瞬間から反撃の始まりだ。ドリブルを開始すると、2人の向こうにもう1人、彼こそが僕の味方に違いなかった。相手ゴール前には既に守護神の姿があり、どうやらゲームは2対3で行われているようだ。敵の間を狙って、ゴール前にパスを出した。パスは通らなかった。次々と舌打の音が響いた。それは岩の上からも聞こえた。
「時間がないぞ!」
 昼休みの終わりが近づいて、信号が点滅し始めた。

 雨の警戒を呼びかけるサイレンが鳴り響く中、人々は家の補強を急いだ。失いかけたプライドを取り戻すように、僕はナイフを集めた。もしもの時のためだ。新しい家の耐久度は、定かではなかったけれど、そこに篭る以外に道はなかった。ロッカーの数字はすべて消されてしまい、あらゆる数字も鍵も役立たずだったけれど、まだ探すことをあきらめなかった。
「まだナイフがある!」
 通りの向こうにライオンが見えた時でさえ、僕はまだナイフをかき集めた。もしもの時に、いくらあっても足りないかもしれないから、いくらでも集めておいた方がいいのだから。ありったけのナイフを。人に分け与えられるだけの、ナイフを……。
 3階の部屋を改造して、ライブを開催することに決めた。楽器を運び、ミュージシャンを募り、チラシを配り、楽曲を作った。
「人間の力をみせつけるのだ!」
 音を立ててライオンたちを引き付けるのだ。
 狙い通り、ライオンたちは太鼓の音に足を弾ませながら集まってきた。3階の窓を見上げながら、散歩が始まる前のように歌った。

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