私だけでなく、その横で妻と犬がこの映画を観ていた。オードリー・ヘップバーンが画面に現れる度、妻が犬に「あら、この映画に私が出ているわ。どうしてからしら?」と何度も解説する。あまりに図々しい妻の説明に、犬もあきれて返事をしない。
家人が大胆な発言を繰り返すと、犬も人間(=私のこと)も人に驚かされるという感覚が希薄になるだけでなく、自らの発言までもが大胆さに抑制が効かなくなってしまう・・・という法則を最近私は学んだ。妻がオードリーなら、私だってピーター・オトゥールだ。ケリー・グラントやハリソン・フォードにだってなれるだろう。
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ここからが本題。昨日は朝から天気が悪い。雨が降り、気温は上がらない。家の中も寒い。オードリー・ヘップバーン特集もない。そこで体温まるフォーを作ろうということになった。フォーを作るのは、この半月の間になんと4回目である。初回の挑戦はこのブログに書いた。 なんと初めから感動的大成功だったのであるが、それで終わることなく短期間に4回繰り返すところが私の偉いところだ。キーワードは「食への飽くなき探求」。もうここまで来ると、失敗はない。
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画像にある本のレシピを利用する。ただしこの本は牛肉のフォーだが、こちらは鶏肉のそれだ。必要な材料はフォー、鶏肉(むね)、もやし、細いネギ、玉ネギ、パクチー。調味料は八角、すだち(レモンでもOK)鶏がらスープの素、塩、砂糖、唐辛子(粉)、ナンプラー、胡椒。それだけだ。
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今までの経験を経て、砂糖を増量し、ナンプラーを減らした。オリジナル・レシピを利用しながらも、個人的な飛躍をそこに加えたわけだ。味付けもあれこれ調整は不要で、バシッと一発で決まった。我ながらさすがだ。
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ネギ類の辛味、パクチーのあのフレッシュな香り、鶏のスープの塩味、しかし同時にナンプラーや八角の香りが効く。たくさんの砂糖が入ることに抵抗がなくなるから不思議だ。すだちの酸味も効いている。東南アジアのごはんにもいろいろあるが、風味はいつも微妙だ。米の麺は見た目に透明度が高い。モチモチした食感が嬉しい。
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私は妙に「フォーって作りやすい料理だ」と感じていた。それはなぜかと考えてみた。きっとその調理プロセスに、素人でも焦らずに済むだけの時間的余裕が多いからだろう。
①まずは調味料からスープを作る。
②次に野菜を切る。もやしを除けば最後に生のまま載せるだけ。
③最後にフォーをゆがく。
これらバラバラの行為を順番にゆっくりとやって、最後にひとつの器の中で合体させるだけで良いのだ。何かをやりながら、時間に追われて同時にまた別のことをやらねばならず、どちらかを失敗するとリカバリーが困難・・・なんてことはないのである。
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このブログをよく見ている人は(そんな人は極めて少数であろうが)、私がいつもAsia excluding Japanの食事ばかりを摂っていると思われるかもしれない。それは誤解である。私の基本的食事は和食である。焼魚とサラダと味噌汁なんてのが定番である。
上の画像は先日紹介した宮崎県産きびなごの一夜干し。48尾で550円。高等数学を駆使すると1尾あたり11円ちょっとと出る。小さいきびなごとは言え、これは安い。揚げてマヨネーズ(醤油を垂らし七味を練りこむ)で食べたり、焼いてポン酢で食べたりした。左が揚げたもの、右が焼いたものだ。Kinnie's(紀ノ国屋鎌倉店のことを我が家ではこう呼ぶ)で売っていますから、ご興味ある方はどうぞ。