碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

さらば『読売ウイークリー(週刊読売)』

2008年12月04日 | 本・新聞・雑誌・活字
『読売ウイークリー』の終刊号が出た。

現在の誌名は2000年からなので、やはり往年の『週刊読売』のほうがなじみがある。

週刊誌は、どちらかというと新聞社系よりも出版社系がご贔屓なので、『読売ウイークリー』の熱心な読者とはいえなかったが、“コラム買い”していた。

小田嶋隆さんのテレビ批評「ワイドシャッター」をはじめ、川本三郎さん「銀幕風景」、泉麻人さん「喫茶店ブルース」、そして自動車評論家・石川真禧照さんの「まきてるの読まずに乗るな!」等々、充実のラインナップだったのだ。

創刊が昭和18(1943)年の『月刊読売』で、昭和27(1952)年から『週刊読売』となっている。65年の歴史なんだね。

終刊号は、いかにもそれらしい“振り返り大会”である。お決まりの「本誌が伝えた重大事件」には、「三億円事件」「三島事件」から「グリコ・森永事件」までが並んでいて、つい読んでしまう。

でも、この「つい読んでしまう」が毎週あれば、多分終刊にはならなかったわけで、じゃあ、なぜ私はエッセイやコラム以外の“本編”を「つい読んでしま」わなかったかといえば、新聞社系雑誌にありがちなんだけど、個性というか、カラーというか、“顔”が見えなかった。

バックに「社会の公器」たる(ホント?)新聞がどーんと控えているので、そういう個性を出しづらいのかもしれないが、新聞記事の拡大版・延長版的な記事は、どーにもツマンナイのだ。

これって、私が週刊誌には「新聞が書けない」「新聞じゃ読めない」ものを求めているせいかもしれないけど。

とはいえ、65年間、おつかれさまでした。合掌。

テレビ救急箱 (中公新書ラクレ)
小田嶋 隆
中央公論新社

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