碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ローカルタレントが地方局を救う!?

2008年12月12日 | メディアでのコメント・論評

読売新聞の取材を受けた。テーマは「ローカルタレント」。

最近だと、すぐに思い浮かぶのが“北海道発全国区”の大泉洋さんだ。北海道では、「水曜どうでしょう!」(HTB北海道テレビ)は今も再放送されていて、常に人気番組だ。

しかし、ローカルタレントの成功は「東京進出」や「全国的人気」だけではないと思う。

知力、体力、時の運じゃないけど、地の運てのもあって、それぞれの地域がその人に与えた運みたいなものが大きいと感じる。

優れたローカルタレントは、そのことを知っている。だから、地域を、地元を大切にする。一方、半端なローカルタレントは、半端に東京を思い、全国区に憧れ、自分を見失うことが多い。

各地で人気者となり、ひょいと東京進出を果たして、しばらくはいい調子でも、長くは続かなかった、という人は、それこそ掃いて捨てるほどいる。<東京というメディア>は、タレントさんを一気に“消費”しようとするからだ。もちろん、それに耐え抜く力があればいいけれど、そう簡単なことではない。

ローカルで人気の半端なタレントさんは、たいてい「ここ(地元)が好きです」という。でも、ホンネとタテマエの場合が多い。しかし、本物のローカルタレントは、無理をしているのではなく、自分が今いる場所(仕事を含む)、街、地域を大事にしている。それが、いわば自分のアイデンティティーの大事な一部であることを知っているのである。

大泉洋さんも、北海道で見ていると、映画やドラマなどは「東京の仕事」であり、「ちょっと行ってきます」という感じだ。地元の視聴者やファンも「ああ、行ってらっしゃい」という短期出稼ぎを送り出す雰囲気。どんなに遠出しても、いつも必ず地元に戻ってくることを知っているからだ。

これからの放送業界、とくに地方局があれこれ大変なのは事実。生き抜こうと思ったら、これまでのように、放送する番組の8割以上をキー局から送られてくるもので埋めているだけではダメだ。自主制作の力が問われるようになる。そんなとき、大いなる味方となるのが、優れたローカルタレントだ。

全国の地方局は、地元にどんなタレントさんがいて、どんな力を持っているのか、あらためてチェックするのはもちろん、今からでもローカルタレントを“育てる”努力をするべきではないか、と思う。

取材の最後に、記者さんから「注目しているローカルタレントは?」と聞かれた。

やはり北海道だが、一人はヒロ福地さん、さらに、お笑いコンビのオクラホマ(藤尾仁志さん・河野真也さん)を挙げさせていただいた。

このローカルタレントについての特集記事は、お正月に出るそうだ。