碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『日刊ゲンダイ』で、「製作ガイドライン」についてコメント

2009年07月24日 | メディアでのコメント・論評

昨日発行の『日刊ゲンダイ』(24日付)に、総務省が発表した「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第2版)」をめぐる記事が出た。

タイトルは「総務省“製作ガイドライン”でも十分ではない ご都合主義なテレビ業界」。


このガイドライン、まあ、分かりやすく言えば、テレビ局による製作会社に対する“下請けいじめ”是正を目的としている。

何しろ、テレビ番組の7割以上に製作会社が関わっている。いわばテレビを支える大事な存在なのだが、立場としては“下請け”ということになってしまうのだ。

ガイドラインに盛り込まれた“重要ポイント”としては・・・

「製作会社への発注書・契約書の交付を義務付ける」

「下請け代金の支払い期限は番組納入日から60日以内にする」

「製作会社が持つ著作権の譲渡をテレビ局が受ける場合、対価を支払う」

「一方的な製作費削減の禁止」などなど。


他の業種から見たら、「おいおい、今まで、そんなことも実行されてこなかったわけ?」と驚かれてしまいそうな事柄ばかりだ。

しかし、現実はそうだった、ということ。

日本に番組製作会社が誕生して約40年。ようやく、こうした“当然のこと”が実現される、かもしれないのだ。

というのは、現状、テレビ局はどこも製作費の大幅削減などを必死でやっている。これまでの製作会社との“関係”を、そう簡単に改善できるものでもない。

掲載されている私のコメントは・・・

「総務省が、これまでテレビ局が当たり前のようにやってきた下請けいじめの実態を明らかにして、改善を求めたことは評価できます」

「しかし、ガイドラインには法的な規制や罰則がなく、テレビ局の“良心”に任せている。これでは、テレビ局がどこまで守るかわからない。ガイドラインが形だけのきれい事で終わってしまう可能性もあります」

「関係各所が、問題を起こしていないかを客観的に監視する第三者機関をつくるといった方法で、ガイドラインを徹底させる必要があると思います」


確かに、記事の小見出しにもあるように、「役所にいちいち口出しされる前にマトモな対策を講じるべき」話ではある。

しかし、こうしてガイドラインが整えられえてきたことは、現場サイドにとっては、とても大きい。

繰り返しますが、本当はガイドラインなんか無くても、指摘された事柄くらい履行されていなくちゃいけないんですけどね。