碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『産経新聞』の“TBS 7月緊急改編”記事でコメント

2009年07月12日 | メディアでのコメント・論評

昨日の『産経新聞』朝刊(11日付)。

すでに発表されているTBSの“7月緊急改編”に関する記事の中で、コメントが掲載されている。

例の「チャングム」や韓国版「花より男子」、さらに「水戸黄門」の再放送で、平日午後帯の視聴率をアップしようという話だ。



記事見出し:
TBS「魔の水曜日」打開へ 視聴率1けた定着、3カ月で再改編

■韓流、黄門で夏休み期カバー

今春、平日午後の番組を大幅に改編したばかりのTBSテレビが、今月20日から同時間帯の再改編に踏み切る。狙いは低視聴率の打開だ。特に水曜日は終日1ケタの状態が定着しているほどだが、異例ともいえる3カ月での再改編で、現状を打ち破ることができるか。

                   ◇

6月5日夕方、TBSからマスコミあてに「『水曜ノンフィクション・関口宏モトをたどれば』放送終了に関して」と題したファクスが一斉に流された。

水曜午後7時55分から1時間枠で放映していたこの番組は、さまざまな社会問題をドキュメンタリー形式で取り上げる番組で、同局も「良質なノンフィクションを多くの視聴者に見てもらう」と力を入れていた。

だが、視聴率は23回平均で5%台と低迷。6月3日放送分ではついに、2・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と3%を割りこみ、「この数字で放映するのはちょっと」(石川真実常務)と、次回予告をしながら打ち切りを余儀なくされた。

翌週の10日からは、急ごしらえで「激安バラエティー」を始めたが、やはり視聴率は1ケタ台を続けている。すでに取材進行中だった「モトをたどれば」は、今後何らかの形で生かしたいとしている。

視聴率低迷が続くTBSの中でも特に水曜日は深刻で、5、6月の2カ月のうち、視聴率が2ケタに届いた番組は、5月27日のキリンカップサッカー(12・2%、同)だけ。

関係者内では「魔の水曜日」とささやかれており、最近はこの傾向が他の曜日にまで伝染しつつあるという。

東京工科大学メディア学部の碓井広義教授は「現在のTBSは、これを見ようという番組が少なく、ゴールデンタイム(午後7~10時)の視聴者の選択肢にTBSが入っていない状態」と分析する。

苦戦を受け、TBSは今月1日、平日午後の番組を20日以降再改編し、夕方からの視聴者の誘導を図ると発表した。

それによると、4月改編の目玉だった平日昼の生放送情報バラエティー「ひるおび!」(月~金、午前11時~午後2時55分)は、月~木曜の終了時刻を約1時間繰り上げて1時53分にする。

空いた1時間に、午後5時台だった情報バラエティー番組「サカスさん」を移動させて、午後3時台からの3時間は、月~金曜とも「韓国版 花より男子」(31日から)、「宮廷女官チャングムの誓い」(21日から)の韓流ドラマと「水戸黄門」再放送となる。

高齢者に人気のある「水戸黄門」再放送はこれまでの午後4時台から5時台への移動となるが、これで夕方の報道番組「総力報道!THE NEWS」(月~金、午後5時50分~)への流れを作ることが狙いだ。

再改編について、石川常務は「夏休みが始まり、視聴者の構成が変化するこの時期に、人気のあるソフトで数字(視聴率)が上げられれば」と期待を込める。

ただ碓井教授は「生番組と再放送で放送枠を埋めるという、まるで地方局のような編成。これでは、視聴者のTBS離れを加速しかねない」と効果を疑問視している。(産経新聞 2009.07.11)



かつて“ドラマのTBS”と呼ばれた放送局が、他局(NHK)が衛星や地上波でさんざん流したドラマ(「チャングム」)を、「数字(視聴率)が上げられれば」という理由で放送する。

いや、放送せざるを得ない状態に陥っている。

それが残念であり、悔しい。

だって、“名門”であるはずのTBSが、「チャングム」で視聴率を稼げたとして、それは何かを達成したことになるんだろうか。

そこには、何かクリエイティブがあるんだろうか。

内部の人たちや、系列局の人たちは満足なんだろうか。

そんな思いが強いのです。