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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『産経新聞』でのコメント<長尺版>

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

『産経新聞』からの取材に対するコメントの<長尺版>が、MSN産経ニュースに掲載された。



記事タイトル:
「何を改善したかも明らかに」日テレ勧告で碓井・東京工科大教授

東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)の話


勧告の内容は非常に高く評価したい。この問題の対象者にきちんとヒアリングし、日本テレビの内部資料もきちんと精査している。

勧告の底流にあるのは、報道という仕事が、テレビというメディアにとっていかに重要なものか、という点だ。

テレビはバラエティーやドラマも作るが、免許事業であるテレビがその公共性を担保しているのが報道ではないか、ということが伝わってくる。

まさに今回の問題は、その報道の部分で起きた。勧告はそれを重要視した内容だ。

勧告は、報道番組の制作体制の問題点も厳しく指摘している。それは、テレビ局の報道セクションが少ない社員と多くの外部スタッフで制作されていること。

バラエティー番組に外部スタッフが多いことは一般の視聴者にも周知の事実かもしれないが、報道番組も社員単独ではできず、外部スタッフの力を借りないとできない状況であることを浮き彫りにしている。

その外部スタッフを、チームの一員として扱い、ジャーナリズム教育をしながら、報道番組を作らなければいけないということだ。

本件の番組制作の問題点については、日テレ社員を「頭脳」、外部スタッフが「手足」という役割分担のせいだったかもしれないとリアルな言葉で表現しているが、幹部スタッフである「頭脳」も現場を動いていれば、今回の問題を引き起こしていなかったということだろう。

日テレには、8月の検証番組で、何をどう間違えたのか、再発防止の具体策をきちんと自分たちの言葉で伝えるべきだ。

「バンキシャ!」は今も続いているが、問題発覚後、何を改善して放送してきたのかについても、検証番組で語られることを強く望む。



「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ③読売新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、『読売新聞』(31日付)に掲載された。



「勧告が指摘するように、テレビの報道番組の大半は、キー局社員が『頭脳』で、多くの外部スタッフが『手足』となって制作されている」

「だが、社員とスタッフが互いにコミュニケーションもないままバラバラに取材し、誤報を招きかねない危うい状態にあるのが実情」

「今回のケースと勧告を、すべてのテレビ関係者が他人事とせず、報道に携わる人間に報道・取材の基本を学ばせるべきだ」


「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ②産経新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、『産経新聞』(31日付)に掲載された。

記事は以下の通りです。



タイトル:
自転車操業、現場は「手足」…バンキシャ!虚報を糾弾


「いろいろ取材しているようだが、実際はほとんど一歩も根拠の収集に向かわなかった」。日本テレビ「バンキシャ!」の虚偽報道について、BPO検証委が30日に示した勧告は、安易な取材方法についてだけでなく、放送日程に追われる“自転車操業”の実態や取材者の責任感の欠如など、報道番組のありようを厳しく批判した。

 「1週間では十分な取材ができないテーマでも、何とかその週に放送することが求められていた」「放送日に合わせて無理やり取材を間に合わせる」…。勧告は、虚報の根本的な原因として、取材の過密スケジュールを挙げた。

 問題となった裏金報道の場合、情報収集を始めたのが昨年11月3日。当初の放送予定は6日後の9日だったという。結局、放送は23日となったが、その2週間も、「情報源の特定につながる」などと、情報提供者以外の裏付け取材には動かなかった。勧告は「真実と信じるに足る根拠」を取材する意志がみられなかった、と糾弾した。

 取材チームの判断力や責任感の欠如も指摘された。勧告によると、現場に赴いた番組スタッフは、「幹部スタッフが取り上げると決めたからには、情報提供者の信用性はすでに判断されている」と思いこんでいたという。取材現場に真偽の判断が委ねられていなかったことも、虚報の一因になったとみられる。

 東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「問題の背景について勧告は、日テレ社員が『頭脳』で外部スタッフが『手足』という役割分担のせいだったかもしれないと表現している。幹部スタッフである『頭脳』も、現場で動いていれば問題は起きなかったということだろう」と指摘する。

 さらに、「ドラマやバラエティー番組も作るテレビに対して、報道の重要性を指摘する内容となっている。日本テレビの内部資料も精査しており、高く評価したい。日テレは8月の検証番組で、何をどう間違えたのか、形ばかりでなく、再発防止の具体策をきちんと自分たちの言葉で伝えてほしい」と話している。

 一方、記者会見した検証委の服部孝章委員は「決してバンキシャだけの特殊な事例ではない。これまで委員会が扱ったいくつもの事例に同種の傾向がみられる」と述べ、報道機関が真摯(しんし)に問題を受け止めるべきだと強調した。


 ■放送倫理検証委員会 BPOが2年前に新設。脚本家の市川森一さんら有識者10人で構成。視聴者に虚偽内容だと著しく誤解を与えた疑いがある番組について調査、審理。放送局に対し委員会の考え方を示す「見解」や、一定の行動を求める「勧告」を出す。

「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ①東京新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、、『東京新聞』(31日付)に掲載された。

記事は以下の通りです。


タイトル:
日テレ社長 BPO初勧告 『反省』の一方強気に 『質に自負』番組継続


「真相報道バンキシャ!」の誤報問題で放送倫理・番組向上機構(BPO)の初めての勧告を受けた日本テレビは三十日夕、東京・汐留の本社で細川知正社長らが記者会見。久保伸太郎前社長の辞任にもつながった問題に反省の意は示したが、「視聴者の支持を受けている」として、番組の存続を明らかにした。 

 冒頭、細川社長は「勧告を極めて重く受け止めている。関係者にご迷惑をお掛けしたことをあらためておわびします」と、コメントを読み上げ頭を下げた。

 一方、番組存続については「終了しなければならないとは判断していない。継続するつもり」と明言。その理由として、「放送の中身を通して名誉の回復を図る。事件前、後も視聴者の支持があり、クオリティーに一定の評価を受けているという自負がある」と続けた。

 不十分と指摘された三月の同番組内での「おわび」放送については「指摘に基づき検証番組の中で触れたい」と述べた。一方、裏金口座の届け出住所が情報提供者の自宅で、真偽を見極める重大な糸口を見逃していたというBPOの指摘に対して、同局の戸恒直コンプライアンス推進室長は「社内調査でも同じ事実を聴取していた。報告書を作る際の取捨選択で、問題点として載せることを選択しなかった」と説明。隠ぺいでは?の問いに「全く隠ぺいという意図はありません」と否定した。

◆「犯罪に使われ岐阜県に実害」 BPOが勧告理由
 「放送が刑事犯罪の手段に使われ、岐阜県に実際の被害を与えた」。東京都千代田区で行われたBPOの川端和治委員長らの会見では、最も厳しい「勧告」を初めて出した理由が説明された。

 各委員が問題視したのは、責任の所在があいまいで、証言が虚偽であることを見抜けなかった取材体制そのもの。小町谷育子委員長代行(弁護士)は、「ヒアリングでも番組のスタッフが『こんなことになっていたとは』と非常に驚き、悪寒が走ったと言っていたが、一人一人の責任の欠落に、スタッフ自体が気が付いていなかった」と問題の根深さを指摘した。番組は問題発覚後も打ち切られず続いている。「番組自体がいけないということではない」(川端委員長)と、番組の存続には理解を示した。

◆裏付け取材ずさん
 放送に詳しいジャーナリスト坂本衛氏の話 最大の問題は、未熟な制作者が裏付け取材を怠ったこと。岐阜県側にも、きちんと取材をしなければならないのにしていない。情報提供者が逮捕された点でも日本テレビの責任は重い。報道の誤りは報道で返すべきで、視聴者への説明責任として、検証番組はBPOの判断を待ってやるべきものではない。テレビの映像重視は当然だが、それを「よい絵さえ撮れればいい」とはき違えては困る。

◆現場の連携に欠陥
 元制作会社プロデューサーの碓井広義東京工科大メディア学部教授の話 いっしょに番組を作っている社員と外部スタッフがまったくコミュニケーションをとれていないことにあ然とする。報道はテレビの公共性を担保しているといえる部門。そこでさえ、こんなに危うい番組づくりがされていたという事実は重い。今後も番組は続けるようだが、どこに欠陥があったのか、その欠陥をどう直したのかを検証番組で視聴者にきちんと説明すべきだ。