碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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昭和を追体験できるNHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」

2010年04月05日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

毎週月曜日の『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分では、NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」について書かせてもらった。


見出し:
過去最低視聴率だけど、昭和を追体験できる内容は出色

コラム本文:
NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」の初回視聴率が過去最低(14.8%)だった。

関係者はさぞがっかりしていることだろう。

しかし「あまり気にしなさんな」と言いたい。

なぜなら、出来は結構いいからだ。

何がいいって、ヒロインの存在感では最近の朝ドラではピカイチではないか。

学芸会レベルの踊りでヒップホップダンサーを目指した「瞳」や、どうみても編集者やライターの仕事に向いているとは思えなかった「ウエルかめ」に比べたら、何倍も共感できる。

背景も昭和だ。

水木しげる夫人という実在の人物を通じて、戦中、戦後、高度成長期と、これからドラマと一緒に昭和を追体験できるのが楽しみだ。

今のところ視聴率が振るわない原因は、8時ジャストに繰り上がった放送時間にある。この時間帯の視聴習慣が深く根づいているせいだ。

私自身も8時から「とくダネ!」の小倉智昭オープニングトークをチェックして15分になったらNHKに移動してきたし、いまだに、ついそうしてしまう。

もう少し時間が経てば視聴者も慣れてくるはずだ。しばし待たれよ。

それより心配なのは、ヒロインの子供時代を演じた菊池和澄、それを引き継いだ佐藤未来の二人が“昭和の女の子”として出色であること。

ファッションモデルでピアニスト、松下奈緒の“洋物感”がどう映るかだ。
(日刊ゲンダイ 2010.04.06付)


・・・水木しげる夫人である布枝さんが夫婦の半生を文章にした、ドラマの原作である同名の初エッセイ『ゲゲゲの女房』(実業之日本社)を読んでみるのも面白いです。


ゲゲゲの女房
武良布枝
実業之日本社

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