碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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今期、際立つドラマ『チェイス~国税査察官~』

2010年04月19日 | メディアでのコメント・論評

新聞の取材を受けた。

先週末から始まった、HNKの土曜ドラマ『チェイス~国税査察官~』についてだ。

私の評価はいたってシンプルで、「傑作です」(笑)。

多分、現在放送中の全ドラマの中で、ピカイチではないかと思う。

まず、坂元裕二さんのオリジナル脚本がいい。

十分な取材を行ったのだろう。国税局査察部(江口洋介たち)と脱税コンサルタント(ARATA)、双方の活動(脱税の手口を含め)が細部まで描かれていて、見事だ。

また、江口洋介とARATAだけでなく、江口の妻を演じる木村多江や、ARATAと“ワケあり”の麻生久美子といったキャスティングも当たっている。

木村多江さんは、以前、別のコラムで「日本一不幸の似合う女優」と“命名”したら、その後、世間に広まり、すっかり定着してしまった(笑)。

このドラマでも、初回、いきなり航空機事故で亡くなってしまって、びっくり。

やはり不幸が似合うのだ(笑)。

そして、画面全体の“狙った暗さ”、というか陰影の効いた映像設計も、見ていてゾクゾクする。

物語展開のテンポも軽快で、見ている側が消化不良にならないよう配慮しながらも、心地よいスピード感がある。

一見ゼイタクな海外ロケ(ハワイをヴァージン諸島に見立てていた)さえ、必要なものとして効果を上げていた。

顔見世興行の初回が済んで、いよいよ脱税と摘発の闘いが始まる。

素直に、次回も見たいと思っています。