『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。
今週、取り上げたのは、NHK「タイムスクープハンター」である。
昨年に続く第2シリーズ。
今回も、主演の要潤、そしてスタッフが頑張っている。
見出し:
「タイムスクープハンター」シーズン2の見どころは?
コラム本文:
テレビ映画「24」がヒットした頃から、日本でも続編を「シーズン2」などと呼ぶようになった。
NHK「タイムスクープハンター」も堂々の“シーズン2突入”だ。
主人公は未来から来たジャーナリスト(要潤)。
毎回、過去の日本にワープして、ある出来事に関わる人々への密着取材を敢行する。
シーズン2の初回は室町飢饉の救援隊だった。
餓死寸前の庶民のために、公家に掛け合って食糧を調達するなど必死の救援活動を行う男たちの話。
彼らは歴史的には無名の存在だが、この“名もなき男たち”を描くところが番組のミソであり、他の歴史番組との違いだ。
先週も「旗振り師」という珍しい仕事に従事する男たちが登場した。
通信技術が発達していなかった明治時代。
相場を左右する重要情報である米価を、いち早く伝えたのが「旗振り通信」だ。
各地の山の峰に人を配し、旗を振ることで米の値段をリレーしていく。
ネット時代の今だからこそ彼らの苦労が実感できる。
このドラマのカメラは常に揺れていて、まさに“現場からの中継”を見るようだ。
演じているのはもちろん役者だが、彼らもまた無名の人々。
決して巧みとはいえない演技が、逆に奇妙な迫力とリアル感を生んでいる。
歴史は英雄・豪傑・為政者のみによって作られるわけではない。
シーズン2では、その視点がより明確になった。
(日刊ゲンダイ 2010.04.20付)