碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

映画『ソーシャル・ネットワーク』とコミュニケーション

2011年02月14日 | 映画・ビデオ・映像

映画『ソーシャル・ネットワーク』を観た。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のデヴィッド・フィンチャー監督作品。


「Facebook」って、こうやって出来たんだね。

まず、ハーバード大の内部というか、学生たちの生態やメンタリティが興味深かった。

ボストン大なんかの見下し方(笑)をはじめ、強烈なエリート意識も。

「Facebook」の創設者であるマーク・ザッカーバーグ。

日本にもこういう学生はいそうだけど、マークの場合、実際に「Facebook」になっちゃったところが凄い。

それと、何かを生み出すエネルギーが、元々は極めて個人的なところから発していた、という点も面白かった。

作っている時が一番楽しそうだったし。

デジタルなつながりと、アナログな人間関係。

一種の狂騒状態が描かれていく中で、コミュニケーションって何だろうとか、ネットってどこまで行くのかなとか、あれこれ考え続けていました。

極めて“現在(いま)”な1本です。

『ウオール・ストリート』の苦味

2011年02月13日 | 映画・ビデオ・映像

映画『ウオール・ストリート』を観てきた。

『ウオール街』同様、オリバー・ストーン監督作品だ。

冒頭、投資家ゲッコー(マイケル・ダグラス)の出所シーン。

入所した際に取り上げられた品物を受け取るのだが、そこで差し出される無線機みたいなデッカイ携帯電話に苦笑い。

かつて私たちもロケなんかでこんなの使ってたなあ、って。

時間経過を一瞬で見せる上手い演出だ。

前作から現在まで23年。

世界経済も金融界も大きく変わった。

変わらないのは人間の欲望か。

今回はゲッコーだけでなく、彼の娘(キャリー・マリガン)とその恋人である有能な若手投資家(シャイア・ラブーフ)が絡んでくる。

世代交代?

いやいや、マイケル・ダグラス、まだまだ元気です。脂っこいです(笑)。

物語そのものは全体的にやや苦い。

その苦さが、金融界というものの実相なのかもしれない。

今週の「読んで書いた本」2011.02.12

2011年02月12日 | 書評した本たち
(雪のキャンパス 2月11日)


11日は「建国記念日」だったが、大学へ。

大学院修士課程の修士論文口頭試問が行われた。

院生たちは、主査や副査と向き合って、厳しい質疑応答。

いわば最後の関門だ。

外には雪。

室内は静かに熱かった。


さて、今週「読んで(書評を)書いた」のは以下の本です。


今野 敏 
『エチュード』 中央公論新社

山本夏彦
『とかくこの世はダメとムダ』 講談社 

内田 樹 
『もういちど村上春樹にご用心』 アルテスパブリッシング

和田秀樹 
『「がまん」するから老化する』 PHP新書 

畑中章宏 
『神社に泊まる』 亜紀書房


* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(2月17日号)に
  掲載されています。

『読売新聞』で、池上彰さんについて“解説”

2011年02月11日 | メディアでのコメント・論評

『読売新聞』夕刊の「テレビ&ラジオ」ページで、ニュース解説の池上彰さんについて“解説”(笑)させていただいた。


見出し:
「ポスト池上」どうなる?

新キャスターや別番組模索

テレビ界に一大ブームを巻き起こしたニュース解説者でジャーナリストの池上彰さんが、3月までの収録をもってテレビ・ラジオの出演を控えることを明らかにした。“ポスト池上”は現れるのか、今後のニュース解説番組はどうなるのかを探ってみた。(片山一弘)

「池上さんの後任探しはなかなか難しいが、池上さんが築いてくれた財産を大事にしていきたい」

そう語るのは、テレビ朝日の平城隆司編成制作局長。同局は昨年4月に「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(水曜後8・00)をレギュラー化し、ブームの火付け役となった。番組は新キャスターを起用し、4月以降も継続する。

一方、一昨年12月から「教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン」を不定期放送してきたフジテレビの豊田皓社長は「池上さんあっての番組。別の出演者で続ける予定はない」と話す。

解説者としての池上さんはどこが優れていたのか。碓井広義上智大教授(メディア論)は四つの特長を挙げる。

「幅広い知識を持ち、取材経験があり、テレビの特性を熟知し、NHKブランドの信頼性がある。この四つを兼ね備えた人はまずいない」

その上で碓井教授は“ポスト池上”候補として、黒岩祐治さん(ジャーナリスト、国際医療福祉大学教授)、辛坊治郎さん(キャスター、元読売テレビ解説委員長)の2人の名を挙げた。

「黒岩さんはフジテレビ系『報道2001』のキャスターを長く務め、取材経験も豊富。辛坊さんはアナウンサー出身で、ポイントを短時間で分かりやすくソフトに伝える力がある」


池上さんに代わる解説役が活躍する場は、さらに広がるかもしれない。というのも池上さんの番組以外にも、分かりやすくニュースを解説する番組が増えてきたからだ。

NHK総合では1月から「ニュース 深読み」(土曜前8・45)を始めた。フジテレビは昨年3月末スタートの「知りたがり!」(月~金曜前9・55)で長時間のニュース解説コーナーを設けている。いずれも局所属のアナウンサーが、専門家の解説を聞く形式だ。

「知りたがり!」の塩田千尋チーフプロデューサーは「ニュースを分かりたいと思っている人が、世の中に大勢いるという感触がある」と話す。

碓井教授は「局はニュース解説に需要があることを知り、視聴者は分かる楽しさを知った。今後も形を変えて続くのでは」とみる。

ただし、コラムニストの小田嶋隆さんからはこんな意見も出た。

「池上さんの解説があまりに分かりやすいため、視聴者がニュースを解説とセットで楽しむようになった。見方や感想まで教えてもらいたいというのは、見る側の知的な体力低下の表れ」

その意味では、見る側もそろそろ“池上教室”を卒業して応用編に進む時期なのかもしれない。

(読売新聞 2011.02.10)

『アエラ』の「現代の肖像」とドキュメンタリー

2011年02月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

発売中の『アエラ』2月14日号。

その「現代の肖像」に、ドキュメンタリー映画「平成ジレンマ」のプロデューサーである阿武野勝彦さんが登場している。

阿武野さんは東海テレビの社員であり、これまでドキュメンタリーの秀作を連発してきた。

「とうちゃんはエジソン」(ギャラクシー大賞)
「約束~日本一のダムが奪うもの」(「地方の時代」映像祭グランプリ)
「裁判長のお弁当」(ギャラクシー大賞)
「光と影~光市母子殺害事件弁護団の300日」(民放連賞最優秀賞)

そして、戸塚ヨットスクールと戸塚宏校長の現在を追った「平成ジレンマ」。

「裁判長のお弁当」以降のディレクターは斎藤潤一さんだ。


先日、大学で「平成ジレンマ」の上映会&パネルディスカッションを行ったが、その打ち合わせ風景の写真も「アエラ」に掲載されている。



ほんの少し前のことなのに、なんだか懐かしい(笑)。

この記事を書いたのは、今井一さん。

「住民投票―客観民主主義を超えて」(岩波新書)などの著書もあるジャーナリストだ。

以前、確か神戸空港建設問題の際に、田中康夫さんなどと一緒にお目にかかったことがある。

この写真の打ち合わせにも“密着”していた今井さんに、久しぶりで再会したのだ。

世間は狭い。


今井さんの文章は、阿武野さんを通して「テレビドキュメンタリーの現在」にも迫っていて、読みごたえがある。

ぜひ、ご一読を。


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<YouTubeで公開中>

徹底討論 ドキュメンタリー、その問題提起力
~『平成ジレンマ』上映をめぐって~

http://www.youtube.com/watch?v=bj8tFN8P0Dk&feature=BF&list=UL6_97DpQ5JS8&index=1



『週刊プレイボーイ』のテレビ特集

2011年02月09日 | メディアでのコメント・論評

『週刊プレイボーイ』最新号が、テレビに関する特集を組んでいる。

タイトルは、総力特集16ページ「テレビは死んだ!?」。

6つのパートで構成されており、これがなかなか充実しているのだ。

1)2011女子アナ「仁義なき闘い」
いわば女子アナ勢力地図みたいなもの

2)速報!元女子アナ対談
元TBS・新井麻希×元テレビ東京・亀井京子

3)2012年 テレビ局就職暗黒読本!
稲増龍夫・法大教授による女子アナ採用に関する現状分析が中心

4)テレビ業界、素朴な話Q&A
テレビについて、いくつかの「なぜ」に答える

5)オレたちの愛したエロ番組よ、もう一度!!
「11PM」から「A女E女」までを振り返る「週プレ」らしいパート(笑)

6)未来のテレビ大図鑑
「グーグルTV」「アップルTV」など、テレビのこれから


私は、パート1の「女子アナ 仁義なき闘い」の冒頭に登場。

元フジテレビ・高島彩アナについてコメントしている。

高島アナが女子アナブームを引っぱってきたという説明があり、

「アヤパンは不世出の天才。頭の回転が速く、番組の仕切りもバツグンにうまい。そして何よりも華があった。彼女なくして、昨今の女子アナブームは起こらなかったでしょう」そう激賞するのは上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授だ。

以下、同期の女子アナのこと、局員や制作会社ディレクターのコメントなどが続く。

“第2のアヤパン”の出現に期待するという内容だ。

そうそう、特集全体の最後にあるホリエモンこと堀江貴文氏の発言も面白い。

テレビは「月額会費制にするしかないでしょう」というのだ。

さて、どうなりますか(笑)。

「イチハチ」が見習うべきだったテレ東「この日本人がスゴイ。らしい。」

2011年02月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週取り上げたのは「この日本人がスゴイらしい。」(テレ東)だ。

“教養エンタテインメント番組”として高く評価した。

同じ海外取材でも「イチハチ」とはひと味違っていたので(笑)。


実質的打ち切り「イチハチ」が見習うべきだった「日本人がスゴイ」

以前の「世界を変える100人の日本人!」をリニューアルさせたのがテレビ東京「この日本人がスゴイらしい。」である。

先週のテーマは「地下施設」だった。

新宿三丁目の駅は地下鉄副都心線と都営新宿線の両方が乗り入れている。

だが、2つのトンネルの間は何と11センチしかない。

これを可能にしているのがGPS衛星でコントロールされたトンネル掘削機「シールドマシン」。

そして、経済成長著しいインドの地下鉄工事現場で活躍しているのが日本から赴いた女性トンネル技術者なのだ。

この展開は見る側の興味をうまくつないでおり、インド取材も文化の違いまでを伝えていて納得の出来だ。

他にも群馬県上野村にある揚水式地下発電所や、岐阜県神岡鉱山の地下1000メートルにあるスーパーカミオカンデなども紹介していた。

特に、宇宙最小の物質のひとつであるニュートリノを発見した神岡の施設は、今や世界的な研究所だ。

普段なかなか見ることのできないその内部と研究内容に「日本人も頑張ってるじゃん」と感じた視聴者は多いはずだ。

やらせ騒動のTBS系「イチハチ」が実質的打ち切りともいえる3月終了を発表した。

「お嬢様タレントが所有するニューヨークの不動産物件」を見せることにどんな意味があるのか。

制作陣はこの番組を参考に一度自問して欲しかった。

(日刊ゲンダイ 2011.02.07)

入試が佳境

2011年02月07日 | 大学

全国の私大で入学試験が佳境。

本学も入試の真っ最中だ。



終日、試験監督を務める。

担当した学科の昨年の競争率は4倍強だった。

今年はそれを上回っているらしい。

教室の中には真剣な顔、顔、顔。

解答用紙と問題用紙の配布が終わり、試験開始までの数分間の静寂。そして緊張。

一瞬、出来ることなら全員を合格させてあげたくなる。

「がんばれ、受験生」と声には出さず、声援。

やがてベルが鳴り、一斉に鉛筆が走りはじめる。



大相撲「3月場所」中止と毎日放送「イチハチ」打ち切り

2011年02月06日 | テレビ・ラジオ・メディア

新聞の報道によれば、日本相撲協会は6日の臨時理事会で協議するが、「既に中止の方針を固めている」らしい。

確かに、このままの状態で3月場所の開催は無理だろう。

石原慎太郎東京都知事の「八百長は昔から当たり前、だまされて見てればいい」という発言もすごいけどね(笑)。

まあ、この辺りで一度、「スポーツ」と「興行」の関係を、きちんと考えてみるのもいいかもしれない。


一方、MBS毎日放送「イチハチ」やらせ疑惑問題。

4日に「ご報告とお詫び」と題する文章が公開された。

当社制作番組「イチハチ」(水曜午後10時からTBS系28社で放送)の1月12日放送分について「出演した女性タレントがニューヨークに所有する物件として紹介した部屋は、実際は現在売りに出されている物件で所有者は別の人である」という指摘が視聴者から寄せられました。

当社では、事実関係を確認するため特別チームを立ち上げ、調査を進めております。
出演した女性は、去年12月のニューヨーク取材の際には「撮影した部屋は投資目的で所有している」と話していましたが、放送後、上記の指摘を受けた後は当社に対し「その部屋は1月に売却した」と説明しています。

このため当社は、女性に対し、物件を所有していたことを証明してほしいとお願いしてきましたが、いまだに所有を証明できる書類の提出は受けていません。

また、当社でニューヨークの不動産登録を確認したところ、撮影した部屋の所有者は出演した女性ではなく、外国人名義となっていて、その名義は、去年から現在に至るまで変更されていませんでした。このことはニューヨークでの関係者の聞き取り調査でも裏付けられました。

女性は、放送後「家族や親族、会社名義などの物件もあるが、そうであっても広い意味でそれも自らの所有物件であると考えており、撮影した部屋は自分の所有に違いない」と主張しています。しかし、この関係者名義の所有を裏付ける書類についても、女性からの提出はありません。女性は終始、プライバシーを守りたいと主張しています。

こうしたことから当社としては、現在までの調査結果からは、女性が自分の部屋だと紹介した物件は、女性の所有だったとは証明できず、客観的にみて、1月12日の番組は事実と異なる放送をした可能性が極めて高いと言わざるを得ない、と判断しました。

さらに「ニューヨークに23軒の家を持っている」と紹介した残りの物件についても、その所有を裏付ける書類を提出するようお願いしてきましたが、これについても女性からの提出はありません。

「イチハチ」をめぐっては、去年11月17日に放送した内容が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会から「情報確認を怠り、その結果、番組が商業的に利用された疑いがある」との指摘を受け、この件は現在、同委員会で審議の対象となっています。

チェック体制の強化などを進めていたにもかかわらず、情報の確認が不十分だったことから今回の事態を招いたことを視聴者の皆様に深くお詫び申し上げます。
(MBSホームページ 2011.02.04)



さらに、MBSはこの番組の3月終了も発表した。

事実上の“打ち切り”だが、説明では「騒動とは関係なく4月に新番組を予定しており、もともと終了予定だった」とのこと。

うーん、そうですか(笑)。

そもそも、「お坊ちゃまお嬢様芸能人No.1 決定戦」というテーマ設定や、「世間一般とかけ離れたお金持ちの生態」という内容自体、どうなんだろう。

制作側は、こういうものを「見せたい」「伝えたい」と思って作っているんだろうか。

それとも、「視聴者が求めている」から?

もしもそうなら、制作側の視聴者像は「この手のものを見たがる人たち」「こういうものを見せれば喜ぶ人たち」なわけで、それって、実は相当低いレベルに視聴者を設定してはいないだうか。

「視聴者が見たいものを作る」というのは、一見正論のようでいて、いろんな“落とし穴”がそこにはあるのだ。

パネルディスカッションをYouTubeで公開

2011年02月05日 | テレビ・ラジオ・メディア

1月14日に、上智大学(音好宏ゼミ+碓井広義ゼミ)と東京大学(丹羽美之ゼミ)の企画・主催による上映会&パネルディスカッションを開催した。

「徹底討論 ドキュメンタリー、その問題提起力
~『平成ジレンマ』上映をめぐって~」

このディスカッションの模様をYouTubeにアップし、公開を開始しました。


YouTube「ドキュメンタリー その問題提起力」
http://www.youtube.com/watch?v=bj8tFN8P0Dk&feature=BF&list=UL6_97DpQ5JS8&index=1



●司会 
音 好宏(上智大学文学部新聞学科教授) 

●パネリスト 
齊藤潤一監督(東海テレビ/『平成ジレンマ』監督)

松原耕二(TBS報道局記者/「ニュース23クロス」メインキャスター)

大久保真紀(朝日新聞編集委員)

碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)




ぜひ、ご覧ください。



今週の「読んで書いた本」2011.02.05

2011年02月05日 | 書評した本たち

キャンパスは、「期末試験」から「入学試験」ウイークへ。

試験監督も一段と気を張るものになる(笑)。


さて、今週「読んで(書評を)書いた」のは以下の本です。


柄刀 一 
『システィーナ・スカル~絵画修復士・御倉瞬介の推理』実業之日本社

津野海太郎
『電子本をバカにするなかれ~書物史の第三の革命』国書刊行会

中野 翠 
『ごきげんタコ手帖』毎日新聞社

今村昌平 佐藤忠男:編著 
『教育者・今村昌平』キネマ旬報社

酒井順子・関川夏央・原武史
『鉄道旅へ行ってきます』講談社

川田順造
『日本を問い直す』青土社

菅野朋子 
『ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか~「朝鮮日報」で読む日韓逆転』文春新書



今村昌平監督が心血を注いできた「日本映画学校」が、4月から単科大学「日本映画大学」となる。

その初代学長が映画評論家の佐藤忠男さん。

“教育者・今村昌平”の志が、こういう形で受け継がれていくのだ。


* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(2月10日号)に
  掲載されています。


『週刊新潮』で、TBS「60周年」記念企画についてコメント

2011年02月04日 | メディアでのコメント・論評

開局60周年を迎えるTBS。

この「記念期間」が18ヶ月も続くのだそうだ。

春から『JIN 仁』の続編、秋には木村拓哉で『南極物語』など、いろんな企画を用意している。

また現在、60周年記念キャンペーンとして「ココロ元気week」なるものを展開中。

31日から4日まで、朝の「はなまるマーケット」を延長し、昼の「ひるおび!」を前倒しして、なんと5時間以上の“ぶち抜き生放送”を行っている。

『週刊新潮』から、これについてのコメントを求められた・・・・


「安上がりなキャンペーン」とは、碓井広義・上智大教授(メディア論)。

「それぞれ30分間延長したのですが、水増しもいいところでしたね」

「はなまる~」は、スペシャルドラマの番宣の他、無名芸人の旅日記に25分も費やした。

一方「ひるおび!」は、番組内で3度も、沢尻エリカの離婚騒動を扱った。

(週刊新潮 2011.02.10号)



・・・・文中の「スペシャルドラマ」とは、31日に放送された「私は屈しない〜特捜検察と戦った女性官僚と家族の465日」のことだ。

盛んに番宣をしていたが、ドラマ自体は隔靴掻痒というか、なんだかピントがズレているような出来だった。

「本当は何があったのか」という見る側の気持ちに応えていたとは言えない。

ちょっと(いや、かなり)残念な特番でした。

大相撲「八百長疑惑」報道とウチダ本

2011年02月03日 | テレビ・ラジオ・メディア

鬼は外、福は内・・・

節分だ。

我が家でも、必ず家族全員で豆まき。

しっかり声を出して豆まき。

こういうのは、ちゃんとやります(笑)。

子ども時代から半世紀以上、節分の豆まきを欠かしたことはない。

こういう「形」や「決まり」を継続することは、「家庭」とか「家族」
とかにとって、意外と大事なんじゃないかなあ、と思うこの頃です。


・・・・てなこととは関係なく、今日は内田樹さんの『ひとりでは生きられないのも芸のうち』が文庫になったので入手した。

単行本から、もう3年。

この文庫本は、(当たり前だけど)単行本にはなかった「文庫版のためのあとがき」と、「座談会」と、鹿島茂さんの「解説」が読めるだけで、十分お買い得だ。

えーと、文春文庫です。

この本の第3章「メディアの語り口」が、再読しても面白い。

たとえば、こんな文章・・・・


マスメディアは「驚いたふり」をするのを止めた方がいいと私は思う。

(中略)

メディアの先端にいる人間にとって「こんなことが起きているとは知りませんでした」というのは口にすること自体が恥ずべき言葉ではないのか。

けれども「こんなことが起きていることを私は前から知っていました」と言ってしまうと、「じゃあ、どうしてそれを報道しなかったのか」という告発を引き寄せることになってしまう。

無知を装うことによって責任を回避する。



・・・・またまた大相撲の「八百長」疑惑だ。

「賭博事件捜査の過程で押収した現役力士の携帯電話に八百長行為に関与していたとみられるメールがあったことが判明」した。

NHKが、「取組みのVTR」と「メールの内容」を重ねていたけど、まあ、ピッタリです(笑)。

で、またしばらくは、あちこちの新聞やテレビ番組で「ほんと、信じられませんね、プンプン!」みたいな文言が飛び交うことになる。

でも、悪いけど、いわゆるマスコミの、たとえば新聞社やテレビ局のスポーツ担当、相撲担当の皆さんは、八百長のことを本当に「知りませんでした」や「信じられません」だったのかなあ、と思ってしまうのだ。

そこへ、内田さんの文章が。


「メディア論」的には、大相撲の八百長も携帯メールで足がつく時代、というところにも興味があります(笑)。


『RED/レッド』は、“熟年アクション・ムービー”の傑作だ

2011年02月02日 | 映画・ビデオ・映像

映画『RED/レッド』を観た。

『フライトプラン』のロベルト・シュベンケが監督したスパイ・アクション・ムービーだ。

かつてCIAで活躍し、今はリタイヤしている敏腕工作員たちが、内部機密を守ろうとするCIAから命を狙われるはめに。

しかし、「RED(最も危険な年金生活者)」は、そう簡単にくたばってなんかくれない(笑)。

チームを再結成して、しっかり反撃に出るのだ。

これが結構面白い。

見せ場もたっぷりある。

そして、この映画の話題は、何てったって豪華なキャスティング。

ブルース・ウィリス
モーガン・フリーマン
ジョン・マルコヴィッチ
ヘレン・ミレン
リチャード・ドレイファス
アーネスト・ボーグナイン
等々

このメンバーだけで映画好きはニコニコしたくなる。

しかも、みんなきっちり“いい仕事”をしているのだ。

ブルース・ウィリスは最近の作品の中で一番いい(笑)。

モーガン・フリーマン は、そこにいるだけで“有難感”がある。

ヘレン・ミレンの狙撃を得意とする元・女性工作員も素敵だ。

ジョン・マルコヴィッチは、相変わらず「ちょっと変わった人」をやらせたら凄い。

リチャード・ドレイファス(「ジョーズ」「未知との遭遇」)もだが、アーネスト・ボーグナイン(「ポセイドン・アドベンチャー」ですよ)が出てきたのはサプライズって感じで嬉しかった。

そうそう、リタイヤした往年の腕利きたちの再集合というと、『スペース・カウボーイ』(2000年)もよかったなあ。

スペースカウボーイ 特別編 [DVD]


言葉の備忘録46 つかこうへい『文藝別冊 つかこうへい』

2011年02月02日 | 言葉の備忘録

KAWADE夢ムックの新刊『文藝別冊つかこうへい 追悼特集 涙と笑いの演出家』(河出書房新社)を読む。

昨年7月10日、つかさんが62歳で亡くなってから、半年以上が過ぎた。

この本には、つかさんをめぐるインタビュー、エッセイ、論考などがぎっしりと詰まっている。

あらためて、劇作家・演出家・作家「つかこうへい」の幅と奥行きを感じさせてくれる。

その中に、つかさん本人が50の質問に答えた“生き方指南”があった。

笑ったのはクルマに関するやりとりだ。

ずっとゴルフやベンツに乗ってきたつかさんが、当時はセルシオを使っていた。

高速でベンツがエンストして「恥ずかしかった、辛かった」そうで、「だから今度は信用できるのをと思ってな。だから国産が一番」。

「やっぱり日本の車はしっかりしとるぜ」だって(笑)。



誠実を武器にしないと生きていけないじゃない、これからっていうのはさ。
――「つかこうへいに50の質問」(月刊「カドカワ」91年8月号)