碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「飛び出せ!科学くん」の“羊頭狗肉”的番組構成

2011年02月01日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週は、TBS「飛び出せ!科学くん」を取り上げた。

土曜の夜7時。

「科学」をテーマにした教養エンターテインメント番組としては、なかなかよく出来ており、楽しみにしている子供の視聴者も多い。

しかし、1月29日の放送は、ちょっといただけなかった、という話です。



「飛び出せ!科学くん」の羊頭狗肉な内容は
問題だ


動物(生き物)は視聴者の“大好物”の一つだ。

これまでたくさんの「動物番組」が放送されてきた。

TBSにも「わくわく動物ランド」「どうぶつ奇想天外!」という流れがあり、現在の「飛び出せ!科学くん」(土曜夜7時)へと受け継がれている。

「科学くん」の先週の特集タイトルは「生きた化石シーラカンスの謎を解き明かせSP」だった。

4億年前から生息する、人類や恐竜よりも古い生き物・シーラカンス。

たしかにその生態、すみか、出産などが謎に包まれている。

さあ、解き明かしてもらおうじゃないの。

今回の目玉はタレントの「ほっしゃん。」によるインドネシア取材。

スラウエシ島というシーラカンスの生息地まで行き、「世界初の捕食(エサを食べる)シーンの撮影」に挑戦するのだ。

ただ、ほっしゃん。の滞在がわずか2日と聞いてびっくり。

そんな簡単なもの?

で、結局はその2日目に水中カメラが故障したとかで撮影終了。

ここまで約40分間も視聴者を引っ張り続けた挙句の結末がこれである。

番組では、ほっしゃん。が現地入りする3日前に撮ったというシーラカンスの映像を紹介してお茶を濁していたが、エサとなる魚に食いつく「世界初のハンティング映像」なるものは存在しなかった。

この番組の視聴者の多くは子供たち。

羊頭狗肉的な構成は罪つくりだ。

(日刊ゲンダイ 2011.01.31)