『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週は、TBS「飛び出せ!科学くん」を取り上げた。
土曜の夜7時。
「科学」をテーマにした教養エンターテインメント番組としては、なかなかよく出来ており、楽しみにしている子供の視聴者も多い。
しかし、1月29日の放送は、ちょっといただけなかった、という話です。
「飛び出せ!科学くん」の羊頭狗肉な内容は
問題だ
動物(生き物)は視聴者の“大好物”の一つだ。
これまでたくさんの「動物番組」が放送されてきた。
TBSにも「わくわく動物ランド」「どうぶつ奇想天外!」という流れがあり、現在の「飛び出せ!科学くん」(土曜夜7時)へと受け継がれている。
「科学くん」の先週の特集タイトルは「生きた化石シーラカンスの謎を解き明かせSP」だった。
4億年前から生息する、人類や恐竜よりも古い生き物・シーラカンス。
たしかにその生態、すみか、出産などが謎に包まれている。
さあ、解き明かしてもらおうじゃないの。
今回の目玉はタレントの「ほっしゃん。」によるインドネシア取材。
スラウエシ島というシーラカンスの生息地まで行き、「世界初の捕食(エサを食べる)シーンの撮影」に挑戦するのだ。
ただ、ほっしゃん。の滞在がわずか2日と聞いてびっくり。
そんな簡単なもの?
で、結局はその2日目に水中カメラが故障したとかで撮影終了。
ここまで約40分間も視聴者を引っ張り続けた挙句の結末がこれである。
番組では、ほっしゃん。が現地入りする3日前に撮ったというシーラカンスの映像を紹介してお茶を濁していたが、エサとなる魚に食いつく「世界初のハンティング映像」なるものは存在しなかった。
この番組の視聴者の多くは子供たち。
羊頭狗肉的な構成は罪つくりだ。
(日刊ゲンダイ 2011.01.31)