きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

不安なココロのほぐしかた① アラーム発する自分に気づく

2023-08-10 07:10:42 | 健康・病気について
不安なココロのほぐしかた① アラーム発する自分に気づく
柳川 由美子
やながわ・ゆみこ=不安専門カウンセラー(臨床心理士、公認心理師)。神奈川県内2カ所でカウンセリングを行う。著書に『不安な自分を救う方法』(かんき出版)『晴れないココロが軽くなる本』(フォレスト出版)

こんにちは。不安専門カウンセラーの柳川由美子です。私のもとには、これまで1万人が訪ねてきました。
不安を抱える人の多くは、まじめで責任感が強く、頑張り屋。優しくて、自分より相手の気持ちを優先しがちです。ストレスをため込み、心身のバランスを崩してしまうこともあります。
私も幼い頃から不安になりがちで人目を気にして腹痛や過呼吸になるなど、生きづらさを感じていました。心理学や脳科学を学び実践する中で不安が解消されていきました。
この連載では、自分に対して「がんばってるね」「いいね!」とねぎらい、背中を押せるようになるお手伝いができたらと思います。
人はなぜ不安になるのでしょうか。不安とは、人類の太古の歴史や個人の人生経験をもとに「危険が近づいている。何かしなければ」と、自分の身を守るために体が発する大切なアラームです。



不安がクルグル渦巻いたら、「パン!」と手をたたいて「ストップ!」と声を出します

“当たり前”と
不安を感じるのは、当たり前で正常なこと。不安に感じている自分に、後ろめたさを感じないでください。
とはいえ、アラームが強すぎると、恐れで身動きがとれなくなってしまいます。
「あ、いま不安アラームが鳴ってるな」と自分が不安に感じていることに気づき、「この状況ならそう感じるよね」と、気持ちを優しく受け止めることで、落ち着いてきます。
「なんであの時、あんなことを言ってしまったんだろう。この前も…」と、自分の言動を振り返って後悔し、落ち込むことってありますよね。
ひとつのできごとをきっかけに、「あれも、これも」と次々と後ろ向きの考えがわいてきて頭の中でグルグルと渦を巻く…。
そんな自分に気づいたら試してみてほしい方法が二つあります。
一つ目は「パン!」と大きな音を立てて手をたたき「ストップ!」と叫ぶことです。
大きな音にハッとして、不安の渦から意識が抜け出せます。
二つ目は、「それはそれとして、今は○○しよう」と声に出し、今やるべき仕事や作業に意識をむけることです。周りに人がいるなど実際に声に出すのが難しい状況であれば、心の中でつぶやくのもOKです。両手で目の前にあるものを横に置くような動作や、手を広げて物を手放すような動作をしながら「手放します」と言うのも効果的です。
聴覚、触覚など、五感を複数用いることで、自分の意識に働きかけられます。

豆類やバナナ
食生活を見直すのも一つの方法です。
精神を安定させ、良質な睡眠にも必要なホルモン「セロトニン」を作るのを助ける食材を意識して取り入れてみましょう。
マグネシウムは神経系の正常な機能に重要で、筋肉のリラクゼーションを助け、不安を軽減することが報告されています。ビタミンB群と、必須アミノサンは、セロトニンの分泌を助けます。
マグネシウムが多く含まれているのは、豆類、豆腐、葉物野菜、全粒穀物、ナッツです。ビタミンB群は、バナナやサバに豊富に協含まれています。

「しんぶん赤旗」日曜版 2023年8月6日付掲載


不安を感じるのは、当たり前で正常なこと。不安に感じている自分に、後ろめたさを感じないでください。
とはいえ、アラームが強すぎると、恐れで身動きがとれなく。
ひとつのできごとをきっかけに、「あれも、これも」と次々と後ろ向きの考えがわいてきて頭の中でグルグルと渦を巻く…。
そんな自分に気づいたら試してみてほしい方法が二つあります。
一つ目は「パン!」と大きな音を立てて手をたたき「ストップ!」と叫ぶことです。
大きな音にハッとして、不安の渦から意識が抜け出せます。
二つ目は、「それはそれとして、今は○○しよう」と声に出し、今やるべき仕事や作業に意識をむけること。

歯周病から歯を守ろう 4~10日は「歯と口の健康週間」 上手な歯磨きのコツは?

2023-06-09 07:10:03 | 健康・病気について
歯周病から歯を守ろう 4~10日は「歯と口の健康週間」 上手な歯磨きのコツは?
6月4~10日は「歯と口の健康週間」です。上手な歯磨きは、健康長寿のもと。歯科衛生士の相曽訓子(あいそのりこ)さん(東京・立川椙互歯科医院)に歯周病とは何かと、改善のための歯磨きのコツを聞きました。
(手島陽子)



歯科衛生士、東京・立川相互歯科医院 相曽訓子さん

歯を失う原因の第1位は歯周病です。国民の90%は歯周病か歯周病予備軍だといわれています

歯茎が赤くなる歯周病のサイン
歯周病は、菌が増えて歯茎に炎症を起こし、歯の奥の骨を減らしてしまう病気です。動脈硬化や、妊婦さんの場合は低体重出産など、体のいろいろな病気の原因にもなるといわれています。
歯周病菌は口の中にある常在菌ですが、腸内細菌と同じように、悪玉菌が増えすぎるとバランスが崩れて、毒素を出し、炎症を引き起こすのです。歯茎がブヨブヨになると、歯と歯茎の間の歯周ポケットに、歯垢と呼ばれる歯周病菌の塊がたまりやすくなります。
歯周ポケットの深さが3ミリ以内は正常値です。4ミリ以上が異常値になります。6ミリ以上は中等度の歯周病で、そうなると歯茎が下がり、骨が減るなど危険信号になります。
ところが歯周病には、しみたり、痛んだりする自覚症状がありません。そのため、中等度になっても気づかない人が多いのです。気づいた時には歯がぐらついて、抜けそうになっている場合もあります。
歯茎が赤くなっていたら歯周病のサインです。早めに歯科を受診してください。
歯科では、歯石をとる治療を行う場合があります。歯石とは歯垢がたまって固くなったもので、それ自体は毒素を出しません。ただ、歯石があると歯垢がたまりやすくなるので、歯石をとる場合が多いです。歯が上手に磨けて歯垢がたまっていない場合は、急いで歯石をとる必要はありません。
歯垢は、うがいや水圧などでは落ちません。歯に水流を当てる口腔洗浄器が売られていますが、水圧だけでは落ちないんですね。毎日歯ブラシで落とすしかありません。


【弱い力で小刻み 20分ほど】
歯ブラシを握らず、指3本でエンピツを持つようにして、弱い力で小刻みに磨きましょう。全部で20分ほどかかります。

①歯と歯の間に毛先を差し込んで、各箇所を30回ずつ小刻みにゆらすように磨く。奥歯から反対の奥歯まで、1本1本切れ目なく。



②歯と歯茎の間も毛先が当たるように意識して、歯ブラシの角度を45度にして磨く。


③上の歯の表と裏、下の歯の表と裏まで全部磨く。前歯の裏は、歯ブラシの“かかと”を歯茎の境目に当てて磨く


【やわらかい歯ブラシで】
◇毛が細い、やわらかい普通サイズの歯ブラシを使う
◇飽きないように、テレビや雑誌などを見ながらの「ながら磨き」がよい
◇回数は1日1回でもよい。時間をかけることが大切
◇歯磨き粉は使わない方がベター。唾液は飲み込んでもいい



歯間が磨きやすい2列歯ブラシ。こうした細い歯ブラシで歯間を磨くときには、歯に対して90度に当てる


強い力で磨くと歯茎など傷つく
磨き方はとても大切です(別項)。強い力で磨くと、歯茎や歯のエナメル質を傷つけて、歯茎が下がったり、知覚過敏が起きたりするので、弱い力で小刻みに、長い時間をかけて磨きます。
軸に針金が使われている歯間ブラシは、知覚過敏の原因になる場合があります。当院では、歯間用には幅の細い2列歯ブラシをおすすめしています。
フロス(糸ようじ)は、歯の間に詰まったものを取り除くために使います。歯垢は落ちません。タフト(先の細いブラシ)は歯並びがよくないところに補助的に使うといいと思います。
電動歯ブラシは、歯垢を落とすのに最適な振動ですが、きちんと当てていないと歯垢がたよる場合があります。
超音波水流の口腔洗浄器は、歯垢は落らますが、刺激が強いので毎日使うものではないと思いよす。歯ブラシを基本に、ときどき補助的に使うといいでしょう。
歯垢が落ちているかチェックするには、薬局で歯垢染色剤を買ってきて、綿棒で歯をぬってみるといいですね。月に1回ぐらいチェックすると、自分の歯磨きの癖も見えてきます。染色剤は服に付くと落ちないので気をつけてください。
歯周ポケット内に歯垢がたまると、白分では取り除けないので、通院してクリーニングすることが大切です。歯周病でなくても3カ月から半年に1回、歯科検診を受けると安心です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月7日付掲載


歯周病は、菌が増えて歯茎に炎症を起こし、歯の奥の骨を減らしてしまう病気。動脈硬化や、妊婦さんの場合は低体重出産など、体のいろいろな病気の原因にもなるとも。
ところが歯周病には、しみたり、痛んだりする自覚症状がありません。そのため、中等度になっても気づかない人が多い。
歯茎が赤くなっていたら歯周病のサインです。早めに歯科を受診してください。
上手な歯磨き。
歯ブラシを握らず、指3本でエンピツを持つようにして、弱い力で小刻みに磨きましょう。全部で20分ほどかかります。
「ながら歯磨き」。一日1回でもいいとか。
朝は忙しいので無理だけど、夜寝る前は動画を見ながら歯磨きってのも良いですね。
高い歯ブラシを用意しなくても、2列の安物でOK。

認知症を知って穏やかな老後を② 3段階ある予防法 健康な時から正しく取り組めば 発症以降も進行ゆっくり

2022-12-07 07:23:52 | 健康・病気について
認知症を知って穏やかな老後を② 3段階ある予防法 健康な時から正しく取り組めば 発症以降も進行ゆっくり
鳥取大学医学部教授 浦上克哉さん

気と同じく1次から3次までの予防法があります。前回お話しした12のリスク因子を減らす、アロマセラピーや良質の睡眠などは、認知機能が正常もしくはMCI(軽度認知症と正常な状態の境界)のときから始めておきたい1次予防です。
(図1)



実際には、12のリスク因子を減らすこと自体、簡単ではありません。また、未解明のリスク因子や遺伝的な原因の場合もあり、現時点では予防できないケースが60%程度あるので、予防をがんばっても発症してしまうこともあります。それでも、老後も自分自身をコントロールできるようになる人が一人でも多くなるのであれば、予防法を周知しておくことは大事です。
食事も和食、地中海式食事、DASH食、MIND食などアミロイドβをためないものを心がけるといいですね。
(表参照)


認知症の予防になる食事の例
バランスが良いことが大切です。

和食大豆食品・野菜・海藻・乳製品・少量の米を中心とした献立
地中海式食事全粒穀物・野菜・果物・乳製品・オリーブオイルを毎日摂(と)り、魚・豆類・卵・脂身が少ない肉などを毎週食べる
DASH食(高血圧予防のために考案)塩分と炭水化物を抑え、カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維を多く摂る
MIND食(地中海式食事とDASH食を組み合わせたもの)野菜・豆類・全粒穀物・魚・鶏肉・ベリー・オリーブオイル・ワインを多く摂り、赤身肉・バター・チーズ・揚げ物やお菓子は避ける
(『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本~認知症を予防・克服する新習慣!』から)


発症以降も、早期発見・早期治療につながれば、薬の処方によって、認知症の症状の進行を遅くすることができます。この軽度認知症の発症以降が2次予防です。
さらに、来年承認される予定の新薬「レカネマブ」は、認知症の原因物質であるアミロイドβの生成を抑え、たまりにくくします。これまでの薬は症状の進行を遅くするものでしたが、レカネマブは原因物質の増加を抑えるのです。私は、これをMCIの段階で処方すれば、発症を抑えられ、“予防薬”の役割も果たすと考えています。医療の発展によって、早期発見・早期治療がますます大切になっているのです。

家族ケアも
中等度、重度の段階で行うのが3次予防です。どの段階でも、睡眠、食事、運動などの予防法は同じで、症状の進行をゆっくりしたものにできます。ただ、中等度、重度の段階で予防法を開始するのは大変なので、健康な時から取り組んだ方が、発症以降の経過を緩やかにすることができます。
認知症の症状として、家族や周囲の人たちが苦しむのが、暴力や暴言などが表れる行動・心理症状(BPSD)です。
かつては、行動・心理症状が表れてから医療にかかる人もたくさんいました。軽度の段階では、家族が認知症と気づかず、注意されたり、子ども扱いされたりして傷つき、関係が悪化した後で受診していたのです。暴力や暴言が表れた人でも、もともと怒りっぽい人は少なく、叱責を受けるなどして関係がこじれたケースが大半です。治療と合わせて、家族がケアの仕方を知ることで、行動・心理症状にならないようにすることができます。
新しい記憶が難しくなり、古い記憶で行動すると、昔の職場に出勤しようとして俳徊となったりします。家族が一緒に玄関を出て、グルッと近所を一周すれば、トラブルにならずに家に戻ることができたりします。
こうした症状が表れるのは、認知症の最後の方の一時期です。早期に治療し、介護制度を使って適切なケアが受けられれば、本人にも家族にも、穏やかな経過をたどることは可能です。



浦上克哉著『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社発行)

日進月歩で
認知症医療は日進月歩です。予防可能な割合はもっと増えていくでしょう。
世間では、“これさえやれば防げる”という間違った情報や、消費をあおる情報が氾濫しています。“有酸素運動をすればよい”など、医学の発展で見直された情報もあります。高齢者の場合、有酸素運動だけをやりすぎると、筋肉量が落ちて、足が弱る原因となるのです。有酸素運動は1時間以内にして、筋力トレーニングと組み合わせることが大切です。「鳥取式認知症予防プログラム」のホームページでは、適切な運動法を紹介しています。
大切なのは、科学的に正しい予防法を普及させることなのです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月6日付掲載


実際には、12のリスク因子を減らすこと自体、簡単ではない。食事も和食、地中海式食事、DASH食、MIND食などアミロイドβをためないものを心がけると良い。
どの段階でも、睡眠、食事、運動などの予防法は同じで、症状の進行をゆっくりしたものにできる。
来年承認される予定の新薬「レカネマブ」は、認知症の原因物質であるアミロイドβの生成を抑え、たまりにくくします。これまでの薬は症状の進行を遅くするものでしたが、レカネマブは原因物質の増加を抑えられる。
認知症治療は日進月歩。新しい情報を得て、正しい治療方法を。

認知症を知って穏やかな老後を① 12の「リスク因子」 40%は発症を予防できる 補聴器・良質な睡眠・アロマ…活用で

2022-12-06 07:14:29 | 健康・病気について
認知症を知って穏やかな老後を① 12の「リスク因子」 40%は発症を予防できる 補聴器・良質な睡眠・アロマ…活用で
認知症は早期発見、早期治療が大切。最近はリスク因子がわかり、薬も開発されて、予防が可能になってきました。鳥取大学医学部教授の浦上克哉さん(日本認知症予防学会理事長)に、なぜ予防が大切なのか聞きました。
(手島陽子)

鳥取大学医学部教授 浦上克哉さん
うらかみ・かつや 1990年鳥取大学脳神経内科に勤務、2001年同大学医学部保健学科教授。
11年日本認知症予防学会を設立し、初代理事長に。著書に『科学的に正しい認知症予防講義』『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本認知症を予防・克服する新習慣!』(監修)など。



もの忘れがあると、認知症かと不安になります。“朝食べたものが何だったか”を忘れるのはもの忘れですが“食べたこと”を忘れるのが認知症です。
かつては認知症というと突然、“俳徊”や暴力が始まるイメージで、怖い病気と思われがちでした。近年、認知症の多くが数十年かけてゆっくり変化し、穏やかに推移することがわかってきました。(図1)




認知症にはいろいろな病型があり、大半を占めるのがアルツハイマー型認知症です。アルツハイマーはアミロイドβたんぱくが20~30年かけて脳にたまり、神経細胞が少しずつ衰えてしまう病気です。アミロイドβがたまらない生活をすることで、予防することができます。
エビデンスのある認知症予防法として、医学誌『Lancet』の2020年の論文では、喫煙や社会的孤立など12のリスク因子が挙げられています。それによると、認知症の4割はリスク因子を減らせば予防できる、とわかってきました。(図2)


図2 認知症の12のリスク因子(合計40%)
教育歴   7%若年期(45歳未満)
難聴    3%中年期(45~65歳)
頭部外傷  3%
高血圧   2%
過剰飲酒  1%
肥満    1%
喫煙    5%高齢期(66歳以上)
抑うつ   4%
社会的孤立 4%
運動不足  2%
大気汚染  2%
糖尿病   1%
今後明らかになる因子(睡眠など)、
生まれつきの体質など:約60%
(『Lancet』2020から作成)


難聴の影響
リスク因子として一番高いのは難聴です。老化すると、誰でも聴力が弱るのですが、中年期に難聴だった人に影響が顕著に表れたことから、認知症との関連性がわかってきたのでしょう。老年期以降の聴力の低下も、コミュニケーション障害につながりますし、認知機能への影響は大きいといえます。
予防法としては、補聴器を使うこと。最近の補聴器は性能がいいので、認知機能を維持するのに役立つ一方、操作が複雑で、認知症を発症してからでは使い方を覚えられません。聞こえにくさを感じたら、早めに使うことをおすすめします。また、補聴器を使い始める前段階として、聴力のリハビリという方法もあり、さらに研究が進むのではないかと思いよす。
『Lancet』には出ていませんが、多くの論文で立証されているのが、良質の睡眠の有効性です。アミロイドβは睡眠中に除去されることがわかってきたのです。睡眠の質を上げるためには、起床時聞や寝る時間、昼間の適度な運動など、24時聞トータルで生活リズムを整えるとも大切になります。時間は6~7時間がよいですが、質が悪ければアミロイドβは分解されません。昼寝するとしても30分以内にして、夜の睡眠の質を高めることが大切です。

嗅覚も関連
もう一つ、研究途上のリスク因子として、アルツハイマーでも、次いで多いレビー小体型でも、嗅覚との関連性が挙げられます。私自身、長年臨床に携わった経験からも、患者さんはまず匂いがわからなくなり、認知症を発疲する人が大変多いのです。嗅神経は、記憶を司る(つかさどる)海馬につながっています。
神経細胞の中でも、まず嗅神経が衰えはじめ、海馬の変性へとつながり、やがて大脳皮質に広がって症状が進むと考えられます。最近は医療メーカーが、嗅覚の衰えで認知症を早期発見するキットを開発し、実用化も進んでいます。
私自場が地域で調査したところ、嗅覚が先に調子が悪くなり、しばらくすると症状が起こっていることが顕著でした。アミロイドβたんぱくも、ごく初期の段階から嗅覚神経でたまっていました。
予防法として、多くの患者さんにアロマを試してもらったところ、認知症の進行がなだらかなものに抑制されている様子が、臨床の場で見られました。弱っている嗅神経をアロマによって活性化し、海馬に変性が及ばないように予防できると考えています。アロマ療法は究極の認知症予防法だと実感しています。

【おすすめのアロマ】
〈昼用〉ローズマリーカンファー2滴+レモン1滴
〈夜用〉ラベンダー2滴+スイートオレンジ1滴
(香りが強いときは半分に減らす)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月5日付掲載


認知症にはいろいろな病型があり、大半を占めるのがアルツハイマー型認知症。アルツハイマーはアミロイドβたんぱくが20~30年かけて脳にたまり、神経細胞が少しずつ衰えてしまう病気。
認知症の4割はリスク因子を減らせば予防できる。
リスク因子として一番高いのは難聴。予防法としては、補聴器を使うこと。最近の補聴器は性能がいいので、認知機能を維持するのに役立つ一方、操作が複雑で、認知症を発症してからでは使い方を覚えられません。聞こえにくさを感じたら、早めに使うことをおすすめ。
良質の睡眠の有効性。アミロイドβは睡眠中に除去。
もう一つ、研究途上のリスク因子として、アルツハイマーでも、次いで多いレビー小体型でも、嗅覚との関連性。アロマが良いとか。

男性更年期障害の改善法 ストレス減らし男性ホルモン増 テストステロン高める生活習慣を

2022-05-01 07:07:09 | 健康・病気について
男性更年期障害の改善法 ストレス減らし男性ホルモン増 テストステロン高める生活習慣を
男性の更年期障害は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の低下が招く病気です。「生活の見直しやホルモン補充療法で、症状の改善は可能です」。こう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学の堀江重郎(しげお)教授です。
須藤紀江記者

順天堂大学大学院教授 堀江重郎さん
「テストステロンが低下しているうつ病患者の半数以上がホルモン補充療法で症状が改善します。血液検査で血中濃度を調べることをお勧めします」と堀江重郎教授

―4月10日号では、受診前の自己チエック表「加齢男性症状調査票(AMS)」を紹介しました。合計50点以上は重症で「すぐに医療機関を受診する」でした。では27~49点の軽症~中等症の対策は?
まずは「テストステロンを上げる新生活習慣」を始めることです。四つのヒントを紹介します。(図1)
①は「就労環境の見直し」です。“社会性ホルモン”と呼ばれるテストステロンは、仕事に達成感があれば上がります。一方、仕事が長時間になったり、高い目標設定でがんばりすぎたり失敗したりすると激減します。仕事の何がストレスを高めているかを見極めて改善していきます。
②は「友達と会う」です。仕事の利害関係がない、気の置けない友人がベストです。リラックスして懐かしい学生時代のことなど語りあううちにテストステロンが上がっていきます。とくに退職後の男性に必要です。退職前から地域や趣味のコミュニティーに参加しましょう。
③は「定期的な運動を生活に取り入れる」です。多忙でも筋トレや階段の上り下り、速歩きなどの適度な運動を毎日10分程度、継続して行います。チームで競いあうスポーツや、ヨガなどもお勧めです。ヨガは有酸素運動、筋肉強化に加えてマインドフルネス(深く穏やかな呼吸で「今この瞬間」に集中して心を落ち着かせる訓練)の要素もあり、テストステロンを上げる効果があります。
④は「テストステロンを上げる食材をとる」です。図2に入手しやすい代表的なものを挙げました。基本はたんぱく質をしっかりとり、炭水化物もある程度とることです。
こうした生活の見直しを行っても、症状が続き生活に支障が出ていれば受診しましょう。AMSで重症と判定された人はただちに受診します。放置すると命にかかわることもあります。



【テストステロンを高める食材】
たんぱく質をしっかりとろう
【畜産食品・乳製品】牛肉、羊肉、卵、ヨーグルト
【魚介類】マグロ、サケ、カキ、アサリ
【野菜】ニンニク、ブロッコリー、ホウレンソウ、カボチャ、セロリ、セリ、タマネギ、アボカド
【キノコ類】マッシュルーム
【果物】バナナ、パイナップル
【その他】ナッツ、唐辛子、ごま油、オリーブオイル、蜂蜜
『LOH症候群』(堀江重郎著、角川新書)をもとに作成


ホルモン補充療法
診断は、問診と採血検査で行われます。
血液中のテストステロンの値がそれほど低下していなければ、生活の見直しと合わせて漢方薬や症状に応じた薬を使い治療します。
血液中の総テストステロンが著しく低下し心身の症状が強い場合はテストステロンを補充します(ホルモン補充療法)。ストレスにさらされた脳の悪循環を断ち切り、脳を再起動することができます。
健康保険が適用される補充療法はテストステロン製剤の筋肉注射です。2~4週間に1回投与します。約3カ月間で治療効果が確認できれば1年間を目安に継続します。
年齢を問わず行えますが、テストステロンを長期間補充すると精子をつくる機能が抑制され男性不妊を招くおそれがあります。将来子どもを希望する場合は、HCG(女性ホルモンの一種)の投与でテストステロンの分泌を促します。この治療は男性不妊症の治療にも用いられます。
「補充療法で前立腺がんにかかるリスクが上がるのでは」と心配する声を耳にしますが、リスクは上がらないことがわかっています。ただ前立腺がんがあると症状が進むおそれがあるため補充治療は行いません。
肝臓病や睡眠時無呼吸症候群がある場合も症状悪化の可能性があるため行えません。
テストステロン補充療法はホルモンの不足を補うということなので基本的には安全な治療です。しかし投与量が多くなると血液の濃度が上がる「多血症」などの副作用を起こすことがあります。
大事なことは、テストステロンが低下する病気の知識が豊富で、薬剤の作用、副作用について熟知している医師にかかることです。日本メンズヘルス医学会はWEBサイト(別項①)で全国のテストステロン治療認定医を紹介しています。
―患者の8割超が未受診だそうですね。
「HPテスティング®(唾液中テストステロン簡易測定)」を利用して「こんなに低かったのか」と気づいたことが受診のきっかけになる人がいます。検査キットを購入し検体を郵送すれば自分テストステロン・レベルがわかります。(別項②)意欲、認知力、体力の源となって私たちの社会活動を支えてくれるテストステロンの低下を放置せず、少しでも長く自立した生活をめざしましょう。



①テストステロン治療認定医一覧
日本メンズヘルス医学会
https://www.mens-health.jp/clinic

②HPテスティング(テストステロン簡易測定)
ホルモンテスティング合同会社
https://hptesting.jp/

「しんぶん赤旗」日曜版 2022年4月24日付掲載


男性の更年期障害は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の低下が招く病気。
テストステロンが低下しているうつ病患者の半数以上がホルモン補充療法で症状が改善。
まずは「テストステロンを上げる新生活習慣」を始めること。
「就労環境の見直し」「友達と会う」「定期的な運動を生活に取り入れる」「定期的な運動を生活に取り入れる」
HPテスティング®(唾液中テストステロン簡易測定)の検査キットを購入して検体を郵送すれば自分テストステロン・レベルが分かるそうです。