きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

これでわかる 安倍「働き方改革」⑦ 労働政策審議会 労働者の声 排除狙う

2017-09-02 10:15:38 | 働く権利・賃金・雇用問題について
これでわかる 安倍「働き方改革」⑦ 労働政策審議会 労働者の声 排除狙う

労働政策については政府・使用者・労働者の3者が対等・平等に協議して決定する「3者構成」が原則となっています。国際労働機関(ILO)をはじめ各国で共通する大原則です。
「労働現場のルールは、現場を熟知した当事者である労使が参加して決めることが重要」(厚労省ホームページ)だからです。
ところが、安倍政権は、使用者の求める政策を押し付けるため、この原則を破壊し、労働者の意見をできるだけ排除して押し付ける仕組みを作り上げようとねらっています。
日本では、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会(労政審)が設置され、現在、労政審本審の下に7分科会、15部会が置かれています。本審、分科会、部会のいずれも公益・使用者・労働者の3者同数の代表によって構成され、労働政策を審議・決定してきました。




基本部会で大枠
しかし、政府・厚労省は7月、3者同数によらない「基本部会」を設置し、審議を開始させました。
基本部会の委員は全員、有識者として選出されているものの、現在選出されている12人のうち、使用者側の立場が4人で、労働者側はわずか1人。他の委員7人は、財界の主張を展開してきた大学教員らで、極めてゆがんだ構成になっています。
塩崎恭久厚労相(当時)は、「基本部会での検討をへて、新しい労働政策を立案することが可能となる」とのべ、一つの部会にすぎない基本部会で大枠を決めて全体に押し付ける考えを示しました。
これまで安倍内閣は、産業競争力会議や経済財政諮問会議、規制改革会議で、労働者代表が一人もいない場で、「生涯ハケン」の労働者派遣法大改悪、「残業代ゼロ制度」などの基本的仕組みを策定。それを閣議決定して労政審に結論ありきで押し付け、労働者の反対を押し切って報告書に取りまとめ、法案提出につなげてきました。
新たに設置された基本部会は、数多くある部会のひとつでありながらも、労政審のなかに労働者の意見を極力排除した部会として、政府・財界の労働政策を推進するための事実上の司令塔に仕立てようとねらっています。
実際、基本部会の審議は、労働法制改悪を進める方向で議論が始まっています。

財界要求が論点
厚労省が基本部会の審議事項として示したのは、「技術革新の動向と労働への影響」「生産性向上、円滑な労働移動、職業能力開発」「時間・空間・企業にしばられない働き方」の三つの論点。いずれも財界側が労働法の規制緩和・骨抜きをすすめるために求めているテーマばかりです。
委員からは、労働者保護法制の規制緩和を提案した厚労相の私的諮問機関の報告書「働き方の未来2035」にもとついて、具体的に法改悪すべき内容を議論すべきだとする主張が相次いでいます。来年夏にまとめる報告書について、他の分科会・部会で審議する法改正の方向性を示す内容にすべきだとする意見も出ています。
労働者保護を議論すべき労政審が、労働法制の骨抜きを議論するなどあってはならないことです。基本部会の動向を注視し、労働者保護法制の骨抜きを許さない世論と運動が求められています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年9月1日付掲載


労働者保護を議論すべき労政審が、労働法制の骨抜きを議論する場に変質させられようとしている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする