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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

これでわかる 安倍「働き方改革」⑧ 「柔軟な働き方」 無権利・定収入増やす

2017-09-03 11:49:54 | 働く権利・賃金・雇用問題について
これでわかる 安倍「働き方改革」⑧ 「柔軟な働き方」 無権利・定収入増やす

「働き方改革実行計画」では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」を掲げ、個人で請け負った仕事を自宅などで行う「非雇用型テレワーク」など「雇用契約によらない働き方」を広げます。
雇用対策法を改定し、「生産性の向上」とともに「多様な就業形態の普及」を国の施策に加えることをねらっています。労働基準法などの対象外となる人を増やし、無権利、低収入の働き方を広げるものです。雇用の安定や労働条件の向上をはかる労働政策を変質・後退させるものです。
「フリーランス」などと呼ばれる個人事業主や請負・委託などの働き方が広がり、約1122万人にのぼるという推計もあります。

6割が不本意と
経済産業省の研究会調べでは、フリーランスを選んだ理由(複数回答)として「自分のやりたい仕事があったから」が5割超ありますが、結婚・出産、家族の介護、解雇・雇い止め、正社員の仕事がない、など不本意ながらフリーになった人たちも6割います。
しかし、雇用されていないとして、労働時間や休日、解雇、最低賃金など労働者保護の枠外に置かれ、過密・長時間労働と低収入を強いられています。雇用保険にも社会保険にも加入できません。
収入が不安定なことへの不満が9割と圧倒的多数にのぼります。
ところが、実行計画では、発注者や仲介業者に対するガイドライン(指針)を改定し、取引ルールの明確化を打ち出したものの、実効ある対策はありません。報酬の支払い遅れに対する金銭的補償や休業補償を行う民間保険の検討をこれから始めるとしています。
政府はまた、在宅で週1日以上働くコ屈用型在宅テレワーカー」についても、2020年までに全労働者の10%以上にする目標を設定しています。
しかし、テレワークは、労働時間が算定し難い「事業場外みなし労働」扱いされ、いくら働いても一定時間だけ働いたことにされる危険を抱えています。
すでに請負・委託のほうがコストが安いからといって、正社員の仕事を切り替えるやり方が横行しています。
運送業もその一つ。トラック運転者を孫請けの「個人事業主」とし、長時間・低収入労働をさせています。




これだけ違う規制・安全網
 労働者フリーランス
労働時間×
最低賃金×
厚生年金×
労災休業補償×
傷病手当×
育児休業×
失業給付×


手取り約13万円
佐川急便の孫請け事業主は、午前8時~午後10時まで50件~60件の配達をしても、1件あたりの単価は135円で、手取り収入は約18万円。ガソリン代などを引くと約13万円にしかなりません。
端末で常時、監督され、配送の指示なども絶えず送られてくるため、雇用されているのと大きく変わらない実態となっています。
労基法が適用される労働者かどうかは、契約のいかんにかかわらず、「使用従属性」があるかどうかなどの実態で判断されます。
仕事の依頼、業務指示を拒否できない▽業務内容・遂行の仕方について指揮命令下にある▽報酬が労務に対して支払われるーなどの場合は「使用従属性がある」とする裁判例が積み上がっています。
「フリーランス」とは名ばかりの働かせ方は規制するとともに、無権利の労働者を保護し、安定した雇用の拡大こそ必要です。在宅勤務などについても、会社による労働時間の把握や管理責任を明確化することを大前提にすることが必要です。・(おわり)◇
連載は、昆弘見、深山直人、行沢寛史が担当しました。
掲載日は8月23、24、25、26、30、31、9月1、2日。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年9月2日付掲載


「フリーランス」なんて言葉に誘惑されてはならない。個人事業主と同じだ、企業の雇用責任の放棄だ。
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