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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

とことんわかる 核兵器禁止条約⑦ 核兵器廃絶へ 第4章 核保有国に扉を開く

2017-09-16 11:32:23 | 平和・憲法・歴史問題について
とことんわかる 核兵器禁止条約⑦ 核兵器廃絶へ 第4章 核保有国に扉を開く

核兵器禁止条約は、核保有国が参加しないもとでも、核兵器にかかわる活動を全面的に禁止するものです。同時に、国連会議の正式表題「核兵器全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議」が示すように、最終的な目標は核兵器の全面廃絶=「核兵器のない世界」の実現です。

決意を前文に
それは、議論でも強調されました。キューバは「核兵器を全面廃絶するために努力すること」を前文に明記することを提案し、イランなどの非同盟諸国とともに、オーストリアも賛意を表明しました。エジプトも、「核兵器廃絶の決意を前文に書き込むべきだ」と述べ、多くの国が支持しました。
議論をふまえて前文は、「法的拘束力をもつ禁止は、(中略)核兵器のない世界の実現と維持に向けた重要な貢献となることを認識し、そしてその目的(=核兵器のない世界)のために行動することを決意」するとしたのです。
前文が、「原子兵器の廃棄」をかかげた国連総会第1号決議(1946年1月)に言及していることも重要です。これによって、核兵器廃絶が戦後政治の原点であり、国連の基本的任務であることを示しています。



1946年1月、ロンドンで開かれた第1回国連総会(UN Photo by Bolomey)

枠組みも提示
もちろん、核保有国が決断しなければ、核兵器は廃絶できません。この点で条約が、「核兵器のない世界」への展望をどう示すのかが、大きな課題でした。
その答えが、第4条(「核兵器の全面廃絶にむけて」)です。
どのように手順を整理するのか、大変複雑な問題であり、「限られた期間でまとめるのは無理であり、禁止だけにしてはどうか」といった意見もありました。
しかし、参加国の核兵器廃絶への決意は固く、最終的には、核保有国が参加する二つの道を示すことでまとまりました。
一つは、核兵器を廃棄したうえで条約に参加する道です(第4条1項)。いま一つは、条約に参加したうえで核兵器を速やかに廃棄する道です(第4条2項)。つまり、核保有国は核兵器を廃棄する前でも、条約に参加できるようになっているのです。
具体的には、核保有国が条約に参加したら速やかに、核兵器を使える状態から解除し、廃棄する計画を提出する。そして、締約国会議によって決定される期日までに、廃棄する。さらに、その進行状況を報告し、それが正しいか検証をうけるという手順です。
条約は、核保有国に対して、参加の扉を開いたものとなっています。核保有国は、「自分たちは条約の対象でない」と言い逃れることはできません。
このように、禁止条約は、核兵器の全面廃絶にむけて展望を示すという点でも、意義あるものとなったのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年9月15日付掲載


核兵器禁止条約は、核保有国は核兵器を廃棄する前でも、条約に参加できるように、門戸を開いている。
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