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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

これでわかる 安倍「働き方改革」⑥ 解雇の金銭解決制度 リストラ進める道具

2017-09-01 17:42:43 | 働く権利・賃金・雇用問題について
これでわかる 安倍「働き方改革」⑥ 解雇の金銭解決制度 リストラ進める道具

働き方改革実行計画では、「雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援」を掲げています。「企業にとって必要な人材を速やかに確保」「労働参加率や生産性の向上」
につながるとして、企業の都合で自由に労働力を調達・削減できるようにしようというねらいです。そのためにねらわれているのが、不当な解雇をしても、お金さえ払えば解雇ができる「解雇の金銭解決制度」の創設です。
「解雇の金銭解決制度」は、厚生労働省に設置された検討会が5月、労働者側が強く反対したにもかかわらず、強引に報告書をとりまとめ、今秋から労働政策審議会(労政審)で法制化の議論を始めようとしています。




カネさえ払えば
これまで安倍政権は、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へ」を掲げて、大企業のリストラを「労働移動支援助成金」という税金を投入してまで後押ししてきました。
しかし、企業が労働者に対して、執ように退職強要を行っても、労働者が同意しなければ一方的に解雇することはできません。
この“壁”を乗り越える方策としてねらわれているのが、「解雇の金銭解決制度」です。
今後、労政審で議論されることが予想される案は、労働契約を解消する代わりに一定の金銭支払い(労働契約解消金)を求める権利を労働者に付与するという制度です。
裁判所が「解雇不当」判決を出した事件について、労働者の求めに応じて使用者が金銭を支払えば、労働契約を終了させ、事実上の解雇ができるものです。
支払われる金銭についても、上限を設ける方向です。経済同友会は、金銭水準について「賃金の半年分から1年半分の範囲内とすべきである」との意見書を発表しています。
労働紛争解決の制度には、都道府県労働局による助言・指導やあっせん、労働審判による調停・審判など多彩な仕組みが設けられています。金銭解決は労働審判や民事訴訟のなかで行われており、新たに導入する必要性はまったくありません。
それでも導入をねらうのはなぜか。
電機産業では36万人規模ともされるリストラが計画され、日立や東芝などでリストラが進められています。
リストラを押し付ける際、「解雇の金銭解決制度」があれば、労働者との面談で会社側が「裁判をやっても時間がかかるし、勝てるかどうかもわからない。裁判で解雇無効とされても、支払われるのは給料の12カ月分だ」などと退職を迫ることも可能になります。容易に解雇できるリストラの道具として使われることになります。

労働条件が劣化
解雇規制の緩和は、解雇だけにかかわる問題ではありません。解雇が容易になれば、解雇を恐れて労働者が声をあげにくくなり、賃金引き下げや長時間労働の押し付けなど、労働条件全体の劣化がすすむ危険があります。
また、「裁判で勝っても職場に戻れる保障はない。金銭解決が必要だ」という主張もありますが、検討すべきなのは、地位確認の民事訴訟や裁判などで争っているあいだは雇用を継続し、解雇無効になった場合には職場に復帰するという就労権を保障することです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年8月31日付掲載


「雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援」と言うと聞こえはいいが、安い労働力の確保が目的。
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