これで分かる「働き方」法施行② 勤務間インターバル 職場から導入の声広げる
長時間労働の抑制に向けて、新たな制度として「勤務間インターバル」の導入が企業の努力義務となります。
「勤務間インターバル」とは、終業時刻と始業時刻の間に一定の休息時聞を設けることです。日本で導入している企業は約2%。最低限の保障時間も定められておらず、政府の導入助成金は9時間以上が対象です。
欧州連合(EU)では11時間の休息を義務付けており、労働組合や野党は11時間以上を求めていました。
努力義務ながら導入を促す法律ができたもとで、全労連などは、労働組合が要求するなど職場から世論を広げて、11時間以上の休息保障を実現していこうと呼びかけています。
生協労連では、労働組合の要求を受けて、4月から11時間以上の勤務間インターバルを導入する組合が出ています。全印総連でも傘下の組合が今春闘で11時間の勤務間インターバル導入の回答を得ています。
健康・福祉確保
残業の限度時間(月45時間、年360時間)を超える場合、残業に関する労使の36協定で、「健康・福祉を確保する措置」を定めることが求められます。(指針8条)
具体的措置として、①医師による面接指導②深夜業(22時~5時)の回数制限③終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)④代償休日・特別な休暇の付与⑤健康診断―など9項目が示されています。
深夜業回数の制限や勤務間インターバルの導入は、長時間労働を抑制したり、健康確保につながるものです。
上限規制が適用除外または5年間の猶予とされた業務についても措置が設けられます。
適用除外とされた研究開発業務では、月の時間外・休日労働が100時間を超えた労働者に対して、医師の面接指導が罰則付きで義務付けられました。
事業者は、医師の意見を聞いて、必要があれば就業場所や職務の変更、有給休暇の付与などが求められます。
自動車運転業では、5年後の適用対策として貨物自動車運送事業法が改正され、労働条件改善に向けた環境づくりが行われます。
参入規制を厳格化するとともに標準的運賃の公示制度を導入。適正運賃や料金を確保して賃上げや労働条件改善につなげます。建交労では、法改正を生かして賃上げや労働時間短縮を勝ち取ろうと取り組んでいます。
帰宅する労働者=東京都内
労働時間を把握
労働時間を短縮する上で、労働時間の適切な管理が必要です。これまでは、使用者に労働時間管理の責任がありましたが、管理監督者や裁量労働制の適用者は対象外でした。
今回の法改定で、新たに導入される医師による面接指導を確実に実施するために、すべての人の労働時間の状況についてタイムカードやパソコンの使用時間記録など客観的な方法で把握することが義務付けられました。
一方、始業・終業時刻を労働者に委ねる「フレックスタイム」で、これまで1カ月だった清算期間(労働時間を調整する期間)を3カ月に延長します。
例えば、1カ月目に所定労働時間以上に働いていれば、3カ月目が所定時間以下でも欠勤にはならない一方、使用者は割増賃金を支払う必要がなくなります。使用者が時間を指示しながら「残業代逃れ」に使われないよう注意が必要です。
年次有給休暇の取得促進のため、年5日について使用者が労働者の希望を踏まえて時季を指定することが義務付けられます。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月27日付掲載
今回の法改正で、遅きに失したとはいえ、インターバル規制が盛り込まれる。でも9時間ではあまりにも短い。
睡眠時間7時間、通勤で往復2時間、食事(朝・夕)で1時間、休息・団らんで1時間。やはり11時間は少なくとも必要だね。
長時間労働の抑制に向けて、新たな制度として「勤務間インターバル」の導入が企業の努力義務となります。
「勤務間インターバル」とは、終業時刻と始業時刻の間に一定の休息時聞を設けることです。日本で導入している企業は約2%。最低限の保障時間も定められておらず、政府の導入助成金は9時間以上が対象です。
欧州連合(EU)では11時間の休息を義務付けており、労働組合や野党は11時間以上を求めていました。
努力義務ながら導入を促す法律ができたもとで、全労連などは、労働組合が要求するなど職場から世論を広げて、11時間以上の休息保障を実現していこうと呼びかけています。
生協労連では、労働組合の要求を受けて、4月から11時間以上の勤務間インターバルを導入する組合が出ています。全印総連でも傘下の組合が今春闘で11時間の勤務間インターバル導入の回答を得ています。
健康・福祉確保
残業の限度時間(月45時間、年360時間)を超える場合、残業に関する労使の36協定で、「健康・福祉を確保する措置」を定めることが求められます。(指針8条)
具体的措置として、①医師による面接指導②深夜業(22時~5時)の回数制限③終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)④代償休日・特別な休暇の付与⑤健康診断―など9項目が示されています。
深夜業回数の制限や勤務間インターバルの導入は、長時間労働を抑制したり、健康確保につながるものです。
上限規制が適用除外または5年間の猶予とされた業務についても措置が設けられます。
適用除外とされた研究開発業務では、月の時間外・休日労働が100時間を超えた労働者に対して、医師の面接指導が罰則付きで義務付けられました。
事業者は、医師の意見を聞いて、必要があれば就業場所や職務の変更、有給休暇の付与などが求められます。
自動車運転業では、5年後の適用対策として貨物自動車運送事業法が改正され、労働条件改善に向けた環境づくりが行われます。
参入規制を厳格化するとともに標準的運賃の公示制度を導入。適正運賃や料金を確保して賃上げや労働条件改善につなげます。建交労では、法改正を生かして賃上げや労働時間短縮を勝ち取ろうと取り組んでいます。
帰宅する労働者=東京都内
労働時間を把握
労働時間を短縮する上で、労働時間の適切な管理が必要です。これまでは、使用者に労働時間管理の責任がありましたが、管理監督者や裁量労働制の適用者は対象外でした。
今回の法改定で、新たに導入される医師による面接指導を確実に実施するために、すべての人の労働時間の状況についてタイムカードやパソコンの使用時間記録など客観的な方法で把握することが義務付けられました。
一方、始業・終業時刻を労働者に委ねる「フレックスタイム」で、これまで1カ月だった清算期間(労働時間を調整する期間)を3カ月に延長します。
例えば、1カ月目に所定労働時間以上に働いていれば、3カ月目が所定時間以下でも欠勤にはならない一方、使用者は割増賃金を支払う必要がなくなります。使用者が時間を指示しながら「残業代逃れ」に使われないよう注意が必要です。
年次有給休暇の取得促進のため、年5日について使用者が労働者の希望を踏まえて時季を指定することが義務付けられます。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月27日付掲載
今回の法改正で、遅きに失したとはいえ、インターバル規制が盛り込まれる。でも9時間ではあまりにも短い。
睡眠時間7時間、通勤で往復2時間、食事(朝・夕)で1時間、休息・団らんで1時間。やはり11時間は少なくとも必要だね。