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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の現在と未来 気候変動② 世界では再エネが増加 日本環境学会元会長 和田武さんに聞く

2024-09-10 07:13:33 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
資本主義の現在と未来 気候変動② 世界では再エネが増加 日本環境学会元会長 和田武さんに聞く

―気候変動の不可逆的な悪化を阻止するために、気温上昇を産業革命前から1・5度未満に抑えることが国際的な合意になっています。
そのためには2035年までに温室効果ガスの排出量を60%削減(19年比)し、50年までにゼロにすることが必要です。
昨年のCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)では、排出削減目標の達成に向け、再生可能エネルギーの発電容量を30年までに3倍化することなどが合意されました。

コスト的に有利
日本とは異なり、世界ではいま他のエネルギーと比べ再エネだけが増え続ける状況になっています。1年間の再エネの発電設備容量の増加は毎年史上最高を記録し、23年は前年比で約1・5倍に増えました。COP28の3倍化目標に近づきつつあります。
背景には再エネの導入コストの急速な低下があります。世界平均では、最も安価な電源は陸上風力発電と太陽光発電です。市場原理からいっても再エネを導入した方が有利になってきています。
火力発電や原発をやめ、すべての発電を再エネで賄う再エネ100%目標を持った国がすでに60カ国以上あり、増え続けています。温室効果ガスの排出量が際立って多い石炭火発の廃止目標を持つ国も同じくらいあり、主要7力国(G7)で目標を持たないのは日本だけです。
再エネ100%を目指す国のなかでも特に注目されるのがオーストラリアです。22年に再エネ立国政策をつくり、50年には電力需要の200%を再エネで賄う計画を立てました。同国は石炭の輸出額が世界1位、液化天然ガスの生産量も世界有数の化石資源大国です。化石燃料を主力産業としてきた国が180度の戦略転換を始めたことが、最近の変化の大きな特徴になっています。




普及速い途上国
変化のもう一つの特徴は、再エネの普及をけん引する国が欧州の先進国から途上国に代わり、普及速度も途上国が先進国を上回ってきていることです。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のデータで21年に再エネ100%を達成した国はアイスランド、コスタリカ、パラグアイ、ブータン、ネパール、アルバニア、エチオピア、サウスジョージアの8カ国です。アイスランド以外はすべて途上国です。ちなみにアイスランドとコスタリカは常備軍を持っていません。
ほかに90%台が12カ国あり、50%台まで加えると69カ国になります。そのうち55カ国が途上国です。導入量は人口の多い中国が多くなっていますが、アフリカや中南米、アジアの途上国も積極的に導入を進めています。日本は21年のデータで20・1%にとどまり116位と遅れています。

―経団連は、COP28で加速すべき低炭素技術に原発が位置付けられたことを「最大の成果」などと誇っています。
世界でも原発新設の動きは毎年ありますが、廃炉もあるので合計ではほとんど増えていません。増えているのは中国、ロシア、韓国など特定の国に限られます。
巨大地震による過酷事故の危険性が高い日本では、原発は選択肢になりません。巨大地震がほぼ起こらないフランスや、地震リスクが西海岸に限定されている米国などと比べて、よその国がやっているから日本も、という理屈は全く成り立ちません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年9月4日付掲載


日本とは異なり、世界ではいま他のエネルギーと比べ再エネだけが増え続ける状況に。1年間の再エネの発電設備容量の増加は毎年史上最高を記録し、23年は前年比で約1・5倍に増えました。COP28の3倍化目標に。
再エネ100%を目指す国のなかでも特に注目されるのがオーストラリア。22年に再エネ立国政策をつくり、50年には電力需要の200%を再エネで賄う計画。
化石燃料を主力産業としてきた国が180度の戦略転換を始めたことが、最近の変化の大きな特徴。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のデータで21年に再エネ100%を達成した国はアイスランド、コスタリカ、パラグアイ、ブータン、ネパール、アルバニア、エチオピア、サウスジョージアの8カ国です。アイスランド以外はすべて途上国。
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