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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

陥穽(かんせい)ファンド 危ない大学改革② 憲法との整合性問われる

2024-04-26 07:16:56 | 政治・社会問題について
陥穽(かんせい)ファンド 危ない大学改革② 憲法との整合性問われる


短期間で急速に大学関係者の反対の声が広がるなかでの、昨年末の岸田政権による改悪国立大学法人法(国大法)強行は、官邸主導で進む大学ファンドを象徴する出来事となりました。
改悪法は、東大など一定規模以上の5法人を特定国立大学法人に指定し、学内の最高意思決定機関となる「合議体」の設置を義務付けるもの。合議体の委員任命には文部科学相の承認を必須としました。
国立大学の自治のあり知った時期を「先週」「ごく最近」「報道を通じて」と答弁(2023年11月14日の衆院文部科学委員会)。直後の国立大学協会の総会では、永田恭介会長(筑波大学学長)が法案の閣議決定前に文科省から説明がなかったことに強い不快感を表明するなど、当事者不在の法案作成過程が浮き彫りになりました。



国立大学法人改悪案の廃案を求めて声を上げる人たち。マイクを握っているのは光本教授=2023年12月5日、参院議員会館前

建前投げ捨てる
そもそも合議体設置は大学ファンドの支援を受ける国際卓越研究大学(卓越大)の認定要件であり、政府は2022年の国会では卓越大以外の国立大学に合議体設置を押し付けることはないと明確に答弁していました。卓越大かどうかにかかわらず大学の規模を口実に合議体の設置を強制する改悪国大法は、22年の国会答弁に明らかに反しています。設置を強制する大学は政令で決まるため、政府の意向で自由に対象が拡大します。
高等教育論が専門の北海道大学の光本滋教授は、卓越大の仕組み自体が非常に問題だとしたうえで「卓越大に応募して合議体を設置するのは大学の判断といえないこともないが、法律での設置強制は各大学の自主性・自律性尊重という国立大学法人化時に文科省が掲げた建前すら投げ捨てるものだ」と批判します。
光本氏はまた、合議体の学外委員に拒否権など強力な権限を与える文科省案を、構成員の対等な関係性を基礎とする大学自治とは異質な仕組みだと指摘します。
大学自治は憲法23条の「学問の自由」と密接不可分の存在で、政府も国会答弁でそのことを認めています。

戦前の反省から
憲法の教科書の定番、芦部信喜東大名誉教授の『憲法』は、23条を明治憲法下での「学問の自由ないしは学説の内容が、直接国家権力によって侵害された歴史を踏まえて、特に規定されたもの」だと解説。大学自治とは「大学における研究教育の自由を十分に保障するために、大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするもの」だと説明します。
大学自治のおよぶ範囲は、教員人事、施設管理、学生管理、研究・教育の内容と方法の自主的決定、予算管理などが含まれると考えられています。
しかし卓越大や特定国立大では、合議体の学外委員が、6年間の中期計画や年間3%の事業成長のための体制強化計画、予算編成などで学長を超える発言権を有するようになります。卓越大の選定を担う文科省有識者会議の上山隆大座長は21年、合議体に産業界の代表が入り学部や教育課程の改変を求めることは「十分ある」と語っています。
憲法が求める大学自治のあり方を大学ファンドが激しく揺さぶっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月24日付掲載


そもそも合議体設置は大学ファンドの支援を受ける国際卓越研究大学(卓越大)の認定要件であり、政府は2022年の国会では卓越大以外の国立大学に合議体設置を押し付けることはないと明確に答弁。卓越大かどうかにかかわらず大学の規模を口実に合議体の設置を強制する改悪国大法は、22年の国会答弁に明らかに反しています。
「合議体」と言いながら、その主導権を握るのは外部委員。大学自治、つまり「大学における研究教育の自由を十分に保障するために、大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするもの」を明らかにはく奪することに。


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