きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

中小企業と賃上げ⑥ 支援第1位は社会保険料軽減

2024-11-15 06:59:46 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ⑥ 支援第1位は社会保険料軽減

静岡県立大学准教授 中澤秀一さん

日本の賃金の構造的引き上げには、最低賃金の引き上げが極めて重要です。今年の改定により、10月から最賃の全国加重平均額は1055円になりました。2015年に安倍晋三政権が「全国加重平均1000円」の目標を掲げてから、急ピッチで引き上げられています。昨年、次なる目標として岸田文雄政権は「30年代半ばまでに全国加重平均1500円」を掲げました。

最賃引き上げを
しかし、全国各地で実施されている最低生計費試算調査では、最賃は少なくとも1500円、人間らしい労働時間も加味すれば1700円ほどに引き上げるべきだとの結果が出ています。いますぐ1500円に引き上げなければならないのです。
近年の最賃引き上げは、中小企業経営にどのような影響を与えたでしょうか。また、いますぐ1500円に引き上げるとしたら、どのような条件が必要になるでしょうか。
表は、私たちが23年に中小企業の経営者を対象に実施した調査(経営者調査)の結果です。安倍政権が加重平均1000円の目標を掲げた時期から22年にかけての毎年約3%の最賃引き上げ(20年を除く)に対し、中小企業がどのような対応をしたのか示しています。
最も多い回答は「正規従業員の賃金水準を引き上げた」で34・6%でした。ミクロ経済学では「賃金を引き上げると雇用は減る」というのが通説ですが、経営者調査で「人員削減をした」は1割弱にすぎません。政府統計の「労働力調査」では、「勤め先や事業の都合」で失業した人は20~21年にかけて増大したほかは、ほぼ横ばいです。
次に、就労調整について見ましょう。昨年9月、岸田政権は年収の“壁”対策を打ち出しました。最賃を引き上げても、所得税の非課税限度額超えなどによる所得の目減りを避けるために就労時間を減らす動きがでると、人手不足が解消できないからだといいます。


2022年にかけての最低賃金引き上げへの対応(複数回答)
価格・料金に転嫁した29.7%
非正規従業員全体の賃金水準を引き上げた19.9%
正規従業員の賃金水準を引き上げた34.6%
正規従業員の賃金をカットした3.0%
人員削減をした9.1%
正規従業員を非正規に転換した1.0%
非正規従業員を正規に転換した2.5%
非正規従業員の労働時間を短縮した2.4%
正規従業員の労働時間を延長した0.9%
賃金以外のコストを削減した19.4%
高付加価値の製品・サービスを開発した4.4%
役員報酬を削減した18.0%
資産を取り崩した9.6%
借金をした9.7%
その他4.0%


就労調整は少数
しかし、経営者調査の回答企業では「就労調整をした人はいない」が43・4%、「1割未満」が26・5%、「1~2割程度」が13・2%と続き、就労調整は少数派でした。就労調整は、より規模の大きい企業の従業員で行われているのかもしれません。
では、中小企業経営者はどんな支援策を求めているのでしょうか。公的支援策の有効性について尋ねたところ、最も多いのは「社会保険料の負担軽減」の62・6%、次に「消費税率引き下げ」の60・5%、「賃上げ時の一時的な助成金の支給」の54・0%でした。このあたりは実際に経営者から要望としてよく聞きます。特に社会保険料の負担軽減は、近年の韓国での最賃引き上げに欠くことのできなかった支援策です。実現が望まれます。
また、「人材育成や人材確保への支援」は52・7%、「取引適正化に向けた法整備や行政指導」は48・6%、「低利融資・債務保証等の金融支援」は46・1%、「新技術や製品・サービスの開発への支援」は44・9%、「経営改善等に向けた専門家によるアドバイス」は36・9%と続きました。
最賃が大きく引き上げられても、賃金引き上げ分を価格・料金に転嫁できれば問題にはなりません。ただ、転嫁した結果、その企業の製品やサービスが“選ばれない”と経営は悪化します。経営者調査で「価格・料金に転嫁した」企業が29・8%と限定的なのは、“選ばれない”リスクを恐れたからでしょう。企業として“選ばれる”ように競争力を高めなければなりません。製品・サービスの品質、従業員の能力、ブランド力等の向上に資する支援策も考えなければなりません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月7日付掲載


私たちが23年に中小企業の経営者を対象に実施した調査(経営者調査)の結果です。安倍政権が加重平均1000円の目標を掲げた時期から22年にかけての毎年約3%の最賃引き上げ(20年を除く)に対し、中小企業がどのような対応をしたのか示しています。
最も多い回答は「正規従業員の賃金水準を引き上げた」で34・6%でした。ミクロ経済学では「賃金を引き上げると雇用は減る」というのが通説ですが、経営者調査で「人員削減をした」は1割弱にすぎません。
中小企業経営者はどんな支援策を求めているのでしょうか。公的支援策の有効性について尋ねたところ、最も多いのは「社会保険料の負担軽減」の62・6%、次に「消費税率引き下げ」の60・5%、「賃上げ時の一時的な助成金の支給」の54・0%でした。このあたりは実際に経営者から要望としてよく聞きます。特に社会保険料の負担軽減は、近年の韓国での最賃引き上げに欠くことのできなかった支援策。

中小企業と賃上げ⑤ 価格転嫁阻む値引き要請

2024-11-14 07:15:09 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ⑤ 価格転嫁阻む値引き要請

日本大学教授 村上英吾さん

私たちが2023年2月に実施した中小企業経営者に対する調査(経営者調査)では、22年以降のコスト上昇分を製品やサービスに価格転嫁できないだけでなく、取引先から値引き要請を受けている企業も少なくないことが明らかになりました。
取引先・顧客から一方的に取引価格や単価の値引きを要請されたことがあるかという質問に、「何度もあった」との答えが30・4%もあり、「定期的にあった」の5・0%と合わせると3分の1が頻繁に値引き要請をされていました。値引き要請をされたことが「ない」は57・2%、「1回だけある」は7・4%でした。




公的機関からも
21年の売上額の半数を企業、消費者、公的機関のいずれかが占めている中小企業について、主要取引先別に「対企業」「対消費者」「対公的機関」として分類し、値引き要請の頻度を集計しました(図)。「何度もあった」と回答したのは「対企業」が32・8%と最多でしたが、「対公的機関」も30・7%ありました。「対消費者」は24・6%でした。
値引き率(平均して価格の何パーセントを値引きするようにいわれたか)は、「1~10%未満」が19・4%、「10~20%未満」が16・8%、「20~30%未満」が4・5%、「30~50%未満」は1・2%、「50%以上」は0・9%でした(値引き要請がなかった企業の値引き率は「0%」です)。
こうした点や、連載3~4回目で見たような業種や規模の違い、労働者の発言権が与える影響を考慮した上で、企業の収支状況に影響を与える要因について分析しました。値引き要請が行われた、あるいは値引き率が高まると収支状況は有意に悪化する一方、コストの増加を価格転嫁できる割合が大きくなれば収支状況は有意に改善することが示唆されました。

収支状況を悪化
値引き要請はコスト増の価格転嫁を困難にして収支状況を悪化させる傾向があります。政府は下請け取引の適正化に取り組んでいますが、公的機関が過度の値引き要請により取引業者の価格転嫁を困難にし、収益性を圧迫していないかどうかも注意が必要です。
そのほかの収支を改善する要因としては、過去3年間に実施した国内設備投資、従業員の教育・能力閥発への投資は有意に収支を改曽させることが示唆されました。コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、新製品や新技術の開発、広告宣伝の充実はむしろ有意に収支を悪化させるという結果が出ました。
ただし、これらはあくまで平均的な傾向であって、必要な対策は産業や個々の企業ごとに異なっているでしょう。個別企業の事情に応じて必要な対策にアクセスできるよう支援することが重要です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月6日付掲載


取引先・顧客から一方的に取引価格や単価の値引きを要請されたことがあるかという質問に、「何度もあった」との答えが30・4%もあり、「定期的にあった」の5・0%と合わせると3分の1が頻繁に値引き要請をされていました。値引き要請をされたことが「ない」は57・2%、「1回だけある」は7・4%。
「何度もあった」と回答したのは「対企業」が32・8%と最多でしたが、「対公的機関」も30・7%ありました。「対消費者」は24・6%。
値引き要請はコスト増の価格転嫁を困難にして収支状況を悪化させる傾向があります。政府は下請け取引の適正化に取り組んでいますが、公的機関が過度の値引き要請により取引業者の価格転嫁を困難にし、収益性を圧迫していないかどうかも注意が必要。

中小企業と賃上げ④ 価格転嫁「全くできない」3割

2024-11-13 07:12:17 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ④ 価格転嫁「全くできない」3割

「標準的」経済学者たちは、賃上げを実現するには生産性の上昇が必要だと言い続けてきました。これは、彼らが依拠するミクロ経済学の基礎に「限界生産力説」があるからでしょう。

賃上げと生産性
労働の限界生産力は、労働投入量を1単位増やすことで増加する生産量のことです。ミクロ経済学では、生産設備を一定とすると、労働投入量を増やすにつれて生産量は増加しますが、稼働率が高くなるにつれて生産の増加量(労働の限界生産力)は低下すると考えます。これを収穫逓減法則の仮定といいます。この仮定のもとでは、ある水準を超えると売り上げの増加額がコストの増加額を下回り、利潤が減り始めると考えます。
したがって、売り上げの増加額がコストの増加額と等しいところで利潤が最大化されることになります。このことから、企業の利潤が最大化されるとき、実質賃金は労働の限界生産力と等しくなるという命題が導き出されます。それゆえ、実質賃金を引き上げるためには労働の限界生産力を上昇させなければならないと考えるのです。
生産性が上昇しないのに強制的に賃金を引き上げたらどうなるでしょうか(例えば最低賃金の引き上げ)。企業は利潤を最大化するために、限界生産力と賃金が等しくなるまで労働投入量を減少させ(労働需要が減少し)失業が増加します。これがミクロ経済学の論理です。
たしかに、私たちの賃金所得は経済全体の付加価値の合計である国内総生産(GDP)の一部ですから、付加価値を増やすことが賃金所得の増加につながります。
しかし、GDPは労働者の賃金と企業の利潤に分配されるので、GDPの増加分が利潤に分配されれば賃金は増えません。また、産業や企業によって生産性の上昇率は異なるので、経済全体の付加価値がどのように分配されるかも重要な問題です。生産性さえ上がれば実質賃金が上がるというのは、こうした問題を見落としています。




中小企業の実態
近年、生産性上昇率が低い部門で賃上げを実現するには価格転嫁が必要だということがようやく論じられるようになりました。政府も「成長と分配の好循環」を実現するためには「企業の適切な価格転嫁」が必要だとして、取り組みを進めつつあります。
私たちが2023年2月に実施した中小企業経営者に対する調査(経営者調査)の結果から、中小企業における価格転嫁の実態をみましょう。
経営者調査では22年以降のコスト上昇分を製品やサービスの価格にどの程度転嫁できたかについて、「全て転嫁できた」から「全く転嫁できなかった」まで6段階で回答してもらいました。全体として「全て転嫁できた」は8・5%、「8割以上転嫁できた」は13・8%、「5~8割程度転嫁できた」は17・0%、「2~5割程度転嫁できた」は15・6%、「1~2割程度転嫁一できた」は16・0%、「全く転嫁できなかった」は29・2%でした。
図は業種別の価格転嫁状況を示しています。「全く転嫁できなかった」が最も多いのは「医療・福祉」で57・7%でした。価格転嫁ができるよう十分な診療報酬・介護報酬の引き上げが求められます。次に「教育・学習支援業」と「金融・保険業」が40・0%、「不動産業・物品賃貸業」38・5%、「運輸業」38・4%、「情報サービス産業」37・0%と続きます。一方、8割以上転嫁できたという回答が多かったのは「卸売業」34・0%、「不動産業・物品賃貸業」27・4%、「金融・保険業」26・4%、「電気・ガス・水道業」26・3%でした。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月2日付掲載


GDPは労働者の賃金と企業の利潤に分配されるので、GDPの増加分が利潤に分配されれば賃金は増えません。また、産業や企業によって生産性の上昇率は異なるので、経済全体の付加価値がどのように分配されるかも重要な問題です。生産性さえ上がれば実質賃金が上がるというのは、こうした問題を見落としています。
近年、生産性上昇率が低い部門で賃上げを実現するには価格転嫁が必要だということがようやく論じられるようになりました。政府も「成長と分配の好循環」を実現するためには「企業の適切な価格転嫁」が必要だとして、取り組みを進めつつあります。
「全く転嫁できなかった」が最も多いのは「医療・福祉」で57・7%でした。価格転嫁ができるよう十分な診療報酬・介護報酬の引き上げが求められます。次に「教育・学習支援業」と「金融・保険業」が40・0%、「不動産業・物品賃貸業」38・5%、「運輸業」38・4%、「情報サービス産業」37・0%と続きます。

中小企業と賃上げ③ 賃金・離職率に「発言効果」

2024-11-12 07:12:49 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ③ 賃金・離職率に「発言効果」

日本大学教授 村上英吾さん

筆者らは、2023年2月に中小企業経営者を対象に調査を実施しました(以下、経営者調査)。インターネット調査会社に登録しているモニターのうち、職業が「会社経営」「会社役員」「自営」のいずれかで、自社企業の正規・非正規従業員数が3人以上300人未満、創業年が19年以前の人を抽出し回答を依頼しました。ネット調査のため、回答者の年齢構成は70歳以上の割合が少なく、50歳未満の割合が多くなっています。

業種で収支に差
21年度の自社の収支状況について5段階で質問したところ、「黒字」は32・9%、「やや黒字」が22・8%でした。「ほぼ収支均衡」は20・5%、「やや赤字」は13・6%、「赤字」は10・2%でした。
国税庁が公表している黒字申告企業数(35・8%)と比べると経営状況の良い企業が多いように思われますが、他の調査(CRD協会のアンケート調査、TKC全国会の会員企業の申告状況)でも黒字企業が半数強を占めます。
収支状況は業種別に大きな差がありました。図1は5段階の回答を「黒字」「収支均衡」「赤字」の3区分にして業種別に示したものです。黒字と回答した企業が多かったのは「金融・保険業」の70・3%を筆頭に、「不動産業・物品賃貸業」66・4%、「電気・ガス・水道業」64・9%、「情報サービス産業」63・9%、「卸売業」58・5%、「建設業」58・5%、「専門サービス業」58・2%と続きます。一方、赤字が多かったのは「宿泊業・飲食サービス業」40・8%、「生活関連サービス・娯楽業」29・9%、「製造業」29・4%、「小売業」29・3%、「運輸業」26・9%でした。収支状況を規模別に見ると、規模が大きくなるほど黒字が多くなり、赤字が減少します(図2)。






経営者調査では地域の同規模の企業と比べた場合の自社の労働条件についても質問しました。正規従業員の労働時間が他社と比べて椙対的に短いと経営者が認識している企業ほど黒字の割合が高い傾向にありました。賃金に関しては、「大幅に高い」「どちらかといえば高い」という企業で黒字企業の割合が高く、「大幅に低い」という企業では赤字企業の割合が高い傾向がありました。

労働環境を改善
経済学における労働組合の役割に関する仮説の一つに「発言効果」があります。労働組合は団体交渉を通じて労働条件の改善に努めますが、単に賃金を引き上げるだけではなく、労働環境を改善させて労働者の不満を減らし、離職率の低下をもたらすことが指摘されています。離職率の低下は、採用や教育訓練のコストを抑制し、労働者全体の技能・能力水準を維持・向上させるため、企業の収益性を高める効果が期待されます。この点について検討した結果を紹介します。
経営者調査は中小企業を対象としており、労働組合がない企業が多数あると考えられたため、従業員が仕事の内容や進め方について意見や要望を述べられるかどうかに関する経営者の認識を従業員の労働環境への発言権と考えました。発言権のある企業では、正規従業員の労働時間が同規模の他社より短く、賃金は高く、離職率は低い傾向がありました。そこで、発言権が収支状況に影響を与えるかどうかについて分析したところ、企業規模や産業ごとの違いを考慮した上で、収支状況を有意に改善することを示唆する結果が得られました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月1日付掲載


収支状況は業種別に大きな差がありました。図1は5段階の回答を「黒字」「収支均衡」「赤字」の3区分にして業種別に示したものです。
経済学における労働組合の役割に関する仮説の一つに「発言効果」。労働組合は団体交渉を通じて労働条件の改善に努めますが、単に賃金を引き上げるだけではなく、労働環境を改善させて労働者の不満を減らし、離職率の低下をもたらすことが指摘。
労働組合のない企業でも、発言権のある企業では、正規従業員の労働時間が同規模の他社より短く、賃金は高く、離職率は低い傾向が。そこで、発言権が収支状況に影響を与えるかどうかについて分析したところ、企業規模や産業ごとの違いを考慮した上で、収支状況を有意に改善することを示唆する結果が得られました。

中小企業と賃上げ② 企業規模と生産性の関係

2024-11-11 06:30:58 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ② 企業規模と生産性の関係

日本大学教授 村上英吾さん

「中小企業淘汰(とうた)論」を振りまいたデービッド・アトキンソン氏は、経済協力開発機構(OECD)のデータを用いて、中小企業で働く労働者の比率が高い国ほど生産性が低いことが証明されたと主張しています。
そこで私も、OECDデータを用いて散布図を作成しました(図1)。アトキンソン氏はOECD加盟38カ国中14カ国を抽出しましたが、私は直近で最もデータに欠損が少ない2016年のデータ(34カ国)を用いました。横軸は「大企業比率(250人以上の企業に勤める人の割合)」を、縦軸は「米ドル換算した労働時間あたりの国内総生産(GDP)」を示しています。




有意性見られず
図1の上方にある数式は、大企業比率を説明変数(x)、時間あたりGDPを被説明変数(y)として回帰分析した結果です。回帰分析は、特定の結果に特定の要因がどの程度影響したのかを調べる統計手法です。ここでは「労働時間あたりのGDP」という結果に、「大企業比率」という要因がどの程度影響したのかを分析しています。
回帰式の係数の下のカッコ内は、分析が統計的に有意かどうかを示しています(t値といいます)。t値はおおむね2を超えれば統計的に有意な結果と言えるのですが、x(大企業比率)の係数のt値は1・30で統計的に有意とは言えません。
グラフの右下のメキシコやコロンビアなど中米諸国を例外としてデータを除外するとt値は3・20となりますが、結果に対する要因の寄与率を示すR²(決定係数といいます)は0・27で、大企業比率は国ごとの生産性のばらつきの4分の1程度を説明できるにすぎません。大企業比率が日本と同程度の国や日本より低い国でも生産性が高い国は多数あります。
図2は説明変数を小企業比率にしたものですが、中米諸国のデータがあってもなくても有意な結果は得られませんでした。つまり、OECDの国際比較データから、中小企業を減らして企業規模を大きくすれば生産性が高まるという結論を導き出すのは、やや短絡的だと言わざるを得ません。




豊かな社会とは
少し前にアトキンソン氏の母国であるイギリスの研究者が来日した際、かつて日雇い労働者の街だった東京都台東区山谷の老舗の喫茶店「カフェ・バッハ」へ案内したのですが、個人経営の喫茶店が日雇い労働者の街に残っていることに感銘を受けていました。同店の門下生は全国に200人以上いるようですが、従業員数は十数人です。
私は仕事や旅行先で時間があると、街のジャズ喫茶を探してコーヒーを飲みに行くのを楽しみにしているのですが、日本にはこうした地域に根付いた個人店が各地に残っています。これらを大手チェーン店に置き換えることが豊かな社会と言えるでしょうか?生産性を重視するあまり、中小企業の淘汰ありきの議論になっていないか注意が必要です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月31日付掲載


図1のグラフの右下のメキシコやコロンビアなど中米諸国を例外としてデータを除外するとt値は3・20となりますが、結果に対する要因の寄与率を示すR²(決定係数といいます)は0・27で、大企業比率は国ごとの生産性のばらつきの4分の1程度を説明できるにすぎません。大企業比率が日本と同程度の国や日本より低い国でも生産性が高い国は多数あります。
図2は説明変数を小企業比率にしたものですが、中米諸国のデータがあってもなくても有意な結果は得られませんでした。つまり、OECDの国際比較データから、中小企業を減らして企業規模を大きくすれば生産性が高まるという結論を導き出すのは、やや短絡的だと言わざるを得ません。

中小企業と賃上げ① アトキンソン氏の「発見」とは

2024-11-10 07:08:34 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業と賃上げ① アトキンソン氏の「発見」とは

歴史的な物価高騰が国民生活を襲うなか、労働者の7割が勤務する中小企業での賃金引き上げが課題になっています。2023年2月に中小企業経営者を対象に中小企業の実態や必要な支援策について共同で調査した村上英吾・日本大学教授、中澤秀一・静岡県立大学准教授、小澤薫・新潟県立大学准教授に、政府の中小企業政策の問題点と対抗策について寄稿してもらいました。

日本大学教授 村上英吾さん

岸田文雄前政権は、デフレからの完全脱却には物価上昇を上回る賃上げの実現が必要だとして、財界への賃上げ要請や最低賃金の引き上げ、賃金や原材料価格の「適切な転嫁」が可能な環境の整備など、一見すると労働者や中小零細事業者の要求に沿うような政策を打ち出している面もありました。

中小企業を淘汰
しかし、「非効率な中小企業」を淘汰(とうた)し、生産性を高めるべきだという菅義偉政権(20年9月~21年10月)以来の政策基調自体は変わりません。新たに発足した石破茂政権でも変わらないでしょう。
菅元首相のブレーンの一人とされたデービツド・アトキンソン氏は、日本の経済成長を実現するためには生産性の低い中小企業を淘汰し、大企業比率を高めることが必要だと主張しました。
同氏は、経済協力開発機構(OECD)のデータで、従業員数20人未満の企業に勤める人の割合(小企業比率)と生産性、250人以上の企業に勤める人の割合(大企業比率)と生産性の関係を示すグラフを示し、「小さな規模で働く労働者の割合が高い国は生産性が低くなって、逆に小さな規模で働く労働者の割合が低い国は、生産性も高くなるというきわめてシンプル」な関係があると述べています。同氏はこれを「奇跡的な発見だと自負」し、企業の「統合」による大規模化を勧めます(同氏著『国運の分岐点』)。





アトキンソン氏の著書に掲載された二つのグラフ。上のグラフは二つの折れ線グラフでつくられているが、下のグラフは折れ線グラフと棒グラフの組み合わせ。比較対象国も、上のグラフのニュージーランドとフランスが、下のグラフではフィンランドとオーストラリアに替わっている

恣意的なグラフ
同氏が示したグラフには「OECDのデータより筆者作成」との注意書きがあります。しかし、よく見るとOECD加盟38力国のうち14力国だけが抽出されており、しかも小企業比率のグラフと大企業比率のグラフで抽出国が一部異なっていたり、一方は2本の折れ線グラフなのにもう一方は棒グラフと折れ線グラフの組み合わせとなっていたり、と恣意(しい)的な印象を受けます。
これが本当に「奇跡的な発見」と言えるのでしょうか。アトキンソン氏と同様、OECDの統計を用いて検証しました。
(つづく)(8回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月30日付掲載


菅元首相のブレーンの一人とされたデービツド・アトキンソン氏は、日本の経済成長を実現するためには生産性の低い中小企業を淘汰し、大企業比率を高めることが必要だと主張。
同氏が示したグラフには「OECDのデータより筆者作成」との注意書きが。しかし、よく見るとOECD加盟38力国のうち14力国だけが抽出されており、しかも小企業比率のグラフと大企業比率のグラフで抽出国が一部異なっていたり、一方は2本の折れ線グラフなのにもう一方は棒グラフと折れ線グラフの組み合わせとなっていたり、と恣意(しい)的な印象を。
これが本当に「奇跡的な発見」と言えるのでしょうか。

政治激動 新しいプロセスへ⑦ 社会発展へ 挑む共産党

2024-11-09 07:05:21 | 総選挙(2024年)
政治激動 新しいプロセスへ⑦ 社会発展へ 挑む共産党

「新しい政治プロセス」のなかで、政治腐敗の打開など実現可能性の高まった緊急課題の前進と同時に、日本共産党の独自の取り組みも間われます。

二つのゆがみ
総選挙で日本共産党は国民の要求から出発し、共産党躍進の意義を訴え抜きました。
田村智子委員長はどこでも、暮らし応援の物価高対策として最低賃金一律1500円の実現を訴えました。中小企業支援のため、巨大企業の内部留保に時限的課税を行い10兆円の財源を生み出す提案で論戦をリード。平和の問題では、集団的自衛権の行使で米国の戦争に参加するための大軍拡が進む現状を告発。平和外交優先の政治へ転換を訴えました。
共産党の主張の根本には、大企業の利益最優先、アメリカ言いなりという自民党政治の二つのゆがみをただす綱領路線があります。
「新しい政治プロセス」のはじまりにたって、二つのゆがみの大本からの転換、日本共産党綱領の立場を広く国民のものとする対話が必要です。
2007年参院選での第1次安倍政権の惨敗をうけて、「新しい政治プロセスが始まった」と提起したとき、緊急課題での政治の中身の転換とともに、綱領を語る国民的大運動に取り組みました。いま、アベノミクスによる巨大企業の利益拡大の一方で進んだ暮らし破壊、米国とともに「戦争する国」づくりで引き起こされた立憲主義の破壊など、その害悪は異常な段階に達しています。



選挙結果の報告と今後の展望を語る志位和夫議長ら衆院比例南関東ブロックの候補者=10月29日、横浜市西区

資本主義問う
さらに、深く問われるのは資本主義がこのまま継続していいのかという問題です。
世界で進む貧困と格差の異常な拡大。熱波、干ばつ、水害、海面上昇など深刻な気候危機は人の健康や生活環境、農業生産への深刻な脅威となっています。
巨大な生産力の下で人の労働が搾取されるだけでなく、人間らしい生活を営む「自由な時間」も膨大に搾取され続けています。
いま、資本主義を乗り越える「未来社会」への模索も広がっています。日本共産党は、資本主義を乗り越え共産主義社会へと段階的に発展する展望を語り抜きます。
緊急課題と日本共産党の独自の課題―それぞれを前進させるために求められるのが強く大きな共産党をつくることです。
日本共産党の志位和夫議長は10月29日、「新しい政治プロセス」の扉を開いたのは共産党だと強調し「このプロセスを前に進め、自民党政治を変える仕事をやるためには強く、大きな共産党をつくることが必要です。
党の力を強める仕事に新たな決意で取り組みます」と訴えました。(おわり)
(この連載は島田勇登、田中佐知子、中祖寅一、中野侃、宮井貴光、若林明が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月5日付掲載


共産党の主張の根本には、大企業の利益最優先、アメリカ言いなりという自民党政治の二つのゆがみをただす綱領路線が。
「新しい政治プロセス」のはじまりにたって、二つのゆがみの大本からの転換、日本共産党綱領の立場を広く国民のものとする対話が必要。
さらに、深く問われるのは資本主義がこのまま継続していいのかという問題。
巨大な生産力の下で人の労働が搾取されるだけでなく、人間らしい生活を営む「自由な時間」も膨大に搾取され続けています。
いま、資本主義を乗り越える「未来社会」への模索も広がっています。日本共産党は、資本主義を乗り越え共産主義社会へと段階的に発展する展望を語り抜きます。

兵庫県知事選挙も中盤に 期日前投票に行って来ました

2024-11-08 21:12:47 | 政治・社会問題について
兵庫県知事選挙も中盤に 期日前投票に行って来ました
知事選 公営掲示板_01
知事選 公営掲示板_01 posted by (C)きんちゃん
県議会全会一致の知事の不信任決議。知事の失職にともなう県知事選挙が10月31日に告示。
N党の立花党首が、たくさん立候補させると言ったもんで、公営掲示板を増設。


知事選 公営掲示板_02
知事選 公営掲示板_02 posted by (C)きんちゃん

知事選 公営掲示板_03
知事選 公営掲示板_03 posted by (C)きんちゃん
でも、立候補したのは立花氏をはじめ7名。
その立花氏もポスターの貼りだしは無し。


知事選 公営掲示板_04
知事選 公営掲示板_04 posted by (C)きんちゃん
一押しは、医師で日本共産党の推薦する、おおさわ芳清候補。
県民の声を聞き、職員が力発揮の県政へ
なによりもいのち、くらしを大切にする県政へ


知事選 期日前投票_01
知事選 期日前投票_01 posted by (C)きんちゃん
投票の案内は届いていませんが、10月5日に期日前投票に行って来ました。北須磨支所の5階会議室。

知事選 期日前投票_02
知事選 期日前投票_02 posted by (C)きんちゃん
期日前投票。「投票のご案内」がなくても投票できます。

知事選 期日前投票_03
知事選 期日前投票_03 posted by (C)きんちゃん
可愛い「投票済証」をもらいました。

立花孝志のポスター_01
立花孝志のポスター_01 posted by (C)きんちゃん
立候補の人数が減ったので、投票日前に増設した公営掲示板が撤去されました。

立花孝志のポスター_02
立花孝志のポスター_02 posted by (C)きんちゃん
N党の立花氏。
本当に前知事は悪人だったのでしょうか?
とさいとう氏を擁護。
立花孝志には投票しないでくださいとまで!?
何のための立候補?
選挙をもてあそばないで欲しい。

政治激動 新しいプロセスへ⑥ 平和外交へ転換のとき

2024-11-08 07:10:49 | 総選挙(2024年)
政治激動 新しいプロセスへ⑥ 平和外交へ転換のとき

自民・公明与党の過半数割れは、大軍拡と改憲の動きにも大きく影響します。「戦争する国づくり」の暴走に歯止めをかけられるかどうかの重大局面に突入します。
新潟国際情報大学の佐々木寛教授(国際政治学)は、新しい政治状況が開かれる中、「与党が数の力で推し進めてきた大軍拡路線はこれまで通りにはいかない。これからは安保関連法なども、それが本当に市民の平和や安全を守るのに必要なのか一つひとつ吟味されなければならない」と指摘します。

軍拡増税反対
真っ先に問われるのは軍拡増税です。岸田前政権は国民の怒りを恐れて先送りにしてきましたが、石破茂首相は年末の税制改正までに「決着させていかなければならない」と明言しています。野党は日本維新の会や国民民主党も含め、軍拡増税には反対で一致。日本共産党は選挙戦の中で、「自公政権を勝たせたら、軍拡増税に白紙委任状を与えることになる」と警鐘を鳴らし、暮らしと福祉を押しつぶす大軍拡に断固反対の姿勢を貫きました。
佐々木氏は「軍拡財源確保を優先し、社会保障を犠牲にする政治でいいのか。この点はひとまず野党でも一致して反対できる余地がある。国民世論と連携すれば打ち返せる状況だ」と言います。
他方で、維新、国民は軍拡そのものには反対せず、立憲民主党も安保法制の違憲部分の廃止は主張するものの、次期戦闘機の共同開発条約など、この間の大軍拡を進める危険な悪法には賛成しています。



「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」と題したシンポジウム。左からパネリストの纐纈厚、志位和夫、佐々木寛の各氏=7月24日、東京・明治大学駿河台キャンパス

従属的な対応
また、現在の大軍拡の最大の理由とされてきたのが「日米同盟の強化」です。日米同盟の4文字を出されると思考停止に陥ってしまう政治の転換が求められます。
佐々木氏は「野党も含め日本の政治が『日米安保を丸のみ』する従属的な対応を続けてきた。そういう意味では今回勝利した立民なども外交・安保のオルタナティブ(対案)は『準備不足』だと言わざるを得ない。今後、軍事対軍事による行き詰まりを超える新しい外交・安保の姿をリベラルの側から示すことができるかが問われる」と指摘。憲法9条を生かした平和構築の「外交ビジョン」を持つ日本共産党がイニシアチブを発揮できる状況が生まれています。
「核兵器のない世界」も大きな焦点です。
日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことで、核廃絶への世論が一気に広がりました。核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加すら拒否してきたのは自民党だけです。唯一の戦争被爆国の政府としての責任を果たさせ、日本が核禁条約の批准へと進む時です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月4日付掲載


真っ先に問われるのは軍拡増税。岸田前政権は国民の怒りを恐れて先送りにしてきましたが、石破茂首相は年末の税制改正までに「決着させていかなければならない」と明言。
野党は日本維新の会や国民民主党も含め、軍拡増税には反対で一致。日本共産党は選挙戦の中で、「自公政権を勝たせたら、軍拡増税に白紙委任状を与えることになる」と警鐘を鳴らし、暮らしと福祉を押しつぶす大軍拡に断固反対の姿勢を貫きました。
新潟国際情報大学の佐々木寛教授(国際政治学)は、今後、軍事対軍事による行き詰まりを超える新しい外交・安保の姿をリベラルの側から示すことができるかが問われる」と指摘。憲法9条を生かした平和構築の「外交ビジョン」を持つ日本共産党がイニシアチブを発揮できる状況が生まれています。

政治激動 新しいプロセスへ⑤ 学費無償化 道ひらけ

2024-11-06 07:07:54 | 総選挙(2024年)
政治激動 新しいプロセスへ⑤ 学費無償化 道ひらけ

大学の学費値上げが社会問題となるなか、総選挙で主要政党すべてが公約に「教育無償化」や「教育費の負担軽減」を掲げました。無償化や負担軽減を訴えた政党は、与党も含め過半数となります。新たな情勢を受け、学生からも次のステップへの運動を起こす動きがあります。

アピール発表
学生有志でつくる東京大学の「学費値上げ反対緊急アクション」は総選挙の結果を受け、運営費交付金や私学助成金の増額、国立大学授業料の標準額引き下げを求める要望書を作成中です。メンバーの金澤伶さん(東京大学教養学部4年)は、総選挙で野党の議席が伸びた状況について「国民の意見が聞かれやすくなっている状況ではないか」とし、「教育無償を掲げた各政党には、引き続き学生の声を聞きながら、可能なところから教育無償化を実現していってほしい」と語りました。
若者の切実な声に政治はどう応えるのか―。自民党は総選挙公約で「高等教育の無償化を大胆に進める」と明記。有言実行が試されます。
野党は、立憲民主党が公約で「国立大学の授業料無償化」などを提示。維新や国民民主も「教育無償化」を公約に示しています。
主要政党のうち「教育無償化」を早くから訴え、リードしてきたのが日本共産党です。総選挙を前にアピール「学費値上げを許さず、値下げにふみ出し、『学費ゼロ』の社会にむけて力をあわせよう」を発表。総選挙では▽ただちに授業料半額・入学金ゼロ▽給付中心の奨学金の創設▽奨学金返済の半額免除―を掲げ、実現のために高等教育予算の抜本増を主張しました。
与野党が協力すれば、「教育無償化」の道を切り開けます。問題は財源です。国民民主は「教育国債」を訴えていますが、将来世代へのツケに他なりません。



学費ゼロ署名を呼びかける堀川氏(手前)=9月25日、京都市上京区同志社大前

軍事費増切る
軍事費と文教関係予算の「逆立ちした政治状況」を変えなければならない―。こう指摘するのが総選挙で初当選した共産党の堀川朗子衆院議員です。「文教予算の2倍という軍事費増の状況に切り込まなければ学費無償化の展望は開けない」と国会での質疑に向け意気込みます。
また、堀川氏は「学費値上げをまずストップさせたい」と強調。世論を突き動かしてきた学生ら、国民の声に応えるためにも「与野党が協力すれば学費値上げの流れをストップさせ『教育無償化』の道を切り開けます」と展望を述べたほか、学生団体と今後も「連帯していきたい」と語りました。
自民党や財界による大学の「授業料値上げ」に断固として反対し、今日の「新しい政治プロセス」を切り開いたのは日本共産党に他なりません。学生や保護者の要求実現のためにたたかってきた党の値打ちが光っています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年11月3日付掲載


学生有志でつくる東京大学の「学費値上げ反対緊急アクション」のメンバーの金澤伶さん(東京大学教養学部4年)は、総選挙で野党の議席が伸びた状況について「国民の意見が聞かれやすくなっている状況ではないか」とし、「教育無償を掲げた各政党には、引き続き学生の声を聞きながら、可能なところから教育無償化を実現していってほしい」と語りました。
主要政党のうち「教育無償化」を早くから訴え、リードしてきたのが日本共産党。
自民党や財界による大学の「授業料値上げ」に断固として反対し、今日の「新しい政治プロセス」を切り開いたのは日本共産党に他なりません。学生や保護者の要求実現のためにたたかってきた党の値打ちが光っています。