2025年度予算 概算要求の焦点⑤ 農林水産 コメ品薄さえ対策なし
2025年度の農林水産関係予算の概算要求は、2兆6389億円です。このうち公共事業費は8250億円、非公共事業費が1兆8139億円。林野関係は3478億円、水産関係は2572億円です。
25年度概算要求は、食料・農業・農村基本法の改定初年度にあたりますが、これまでの予算と代わり映えがなく、食料、農村、地方の危機に対応するものにまったくなっていないことが最大の特徴です。
重点事項のはじめに「食料安全保障の強化」とうたっていますが、中身を伴っていません。現在の深刻なコメの品薄問題への対応策が何もないことにも、象徴的に表れています。
食料増産に逆行
政府はこの間、コメから麦や大豆への転作を奨励し、コメの減産を誘導してきました。転作した農家に支払われる水田活用直接支払い交付金等は、24年度当初予算と同じ3015億円にとどまります。転作後、5年間一度も水を張らなかった水田を対象外にするなど、自給率向上や食料増産に逆行しています。
コメ不足が深刻です。6月末時点のコメの民間在庫量(速報値)は156万トンで過去最低です。現在のコメ不足は、政府がコメの生産量を需要ギリギリに抑えてきたため、需要増や不作などに対応できずに起きたものです。反省も対策もないままでは、来年以降も同じことが起きる恐れがあります。十分な量のコメを生産し、政府は価格保障と所得補償で農家の経営を支えるべきです。
鳥獣害対策などの推進に123億円(同23%増)を求めていますが、十分とはいえません。50年までに有機農業の面積を全体の25%にするという大きな目標を掲げる「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、技術開発などを促進する事業に31億円を計上しています。しかし、農家への直接支援や販路の確立のための施策はきわめてわずかです。
手厚い支援必要
林業関係では、国産材の安定供給、生産基盤強化をうたう森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に156億円を計上しています。しかし、政府が進める大量伐採と安価な木材の大量供給は、木材価格の低迷を招くとともに、森林の多面的機能を軽視し、地球温暖化防止にも反するものです。
水産関係では、漁業経営安定対策の着実な実施に564億円を計上。漁家にとって不漁の際の助けとなる漁業共済は掛け金が高く、加入率が低くなっています。掛け金負担の軽減など、生活・生業(なりわい)へのより手厚い支援が必要です。
漁業構造改革総合対策事業に85億円、水産基盤整備事業に867億円を計上しています。しかし、気候変動による海水温上昇を原因とする魚種の変化、磯やけ、赤潮といった問題への対応は不十分です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月1日付掲載
重点事項のはじめに「食料安全保障の強化」とうたっていますが、中身を伴っていません。現在の深刻なコメの品薄問題への対応策が何もないことにも、象徴的に表れています。
コメ不足が深刻。6月末時点のコメの民間在庫量(速報値)は156万トンで過去最低。現在のコメ不足は、政府がコメの生産量を需要ギリギリに抑えてきたため、需要増や不作などに対応できずに起きたもの。反省も対策もないままでは、来年以降も同じことが起きる恐れが。十分な量のコメを生産し、政府は価格保障と所得補償で農家の経営を支えるべき。
2025年度の農林水産関係予算の概算要求は、2兆6389億円です。このうち公共事業費は8250億円、非公共事業費が1兆8139億円。林野関係は3478億円、水産関係は2572億円です。
25年度概算要求は、食料・農業・農村基本法の改定初年度にあたりますが、これまでの予算と代わり映えがなく、食料、農村、地方の危機に対応するものにまったくなっていないことが最大の特徴です。
重点事項のはじめに「食料安全保障の強化」とうたっていますが、中身を伴っていません。現在の深刻なコメの品薄問題への対応策が何もないことにも、象徴的に表れています。
食料増産に逆行
政府はこの間、コメから麦や大豆への転作を奨励し、コメの減産を誘導してきました。転作した農家に支払われる水田活用直接支払い交付金等は、24年度当初予算と同じ3015億円にとどまります。転作後、5年間一度も水を張らなかった水田を対象外にするなど、自給率向上や食料増産に逆行しています。
コメ不足が深刻です。6月末時点のコメの民間在庫量(速報値)は156万トンで過去最低です。現在のコメ不足は、政府がコメの生産量を需要ギリギリに抑えてきたため、需要増や不作などに対応できずに起きたものです。反省も対策もないままでは、来年以降も同じことが起きる恐れがあります。十分な量のコメを生産し、政府は価格保障と所得補償で農家の経営を支えるべきです。
鳥獣害対策などの推進に123億円(同23%増)を求めていますが、十分とはいえません。50年までに有機農業の面積を全体の25%にするという大きな目標を掲げる「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、技術開発などを促進する事業に31億円を計上しています。しかし、農家への直接支援や販路の確立のための施策はきわめてわずかです。
手厚い支援必要
林業関係では、国産材の安定供給、生産基盤強化をうたう森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に156億円を計上しています。しかし、政府が進める大量伐採と安価な木材の大量供給は、木材価格の低迷を招くとともに、森林の多面的機能を軽視し、地球温暖化防止にも反するものです。
水産関係では、漁業経営安定対策の着実な実施に564億円を計上。漁家にとって不漁の際の助けとなる漁業共済は掛け金が高く、加入率が低くなっています。掛け金負担の軽減など、生活・生業(なりわい)へのより手厚い支援が必要です。
漁業構造改革総合対策事業に85億円、水産基盤整備事業に867億円を計上しています。しかし、気候変動による海水温上昇を原因とする魚種の変化、磯やけ、赤潮といった問題への対応は不十分です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月1日付掲載
重点事項のはじめに「食料安全保障の強化」とうたっていますが、中身を伴っていません。現在の深刻なコメの品薄問題への対応策が何もないことにも、象徴的に表れています。
コメ不足が深刻。6月末時点のコメの民間在庫量(速報値)は156万トンで過去最低。現在のコメ不足は、政府がコメの生産量を需要ギリギリに抑えてきたため、需要増や不作などに対応できずに起きたもの。反省も対策もないままでは、来年以降も同じことが起きる恐れが。十分な量のコメを生産し、政府は価格保障と所得補償で農家の経営を支えるべき。
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