きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

金星探査機 あかつきが発進!

2010-05-02 19:38:35 | 科学だいすき
金星探査機「あかつき」が、5月に発射される!

ナゾ1:新幹線よりも速い風
ナゾ2:雷が起きているのか
ナゾ3:現在の火山活動は?


 日本初の金星探査機「あかつき」が、5月に打ち上げられます。誕生当時は“双子の惑星”だったと考えられている地球と金星とで環境がまったく違うのはなぜか!金星を周回しながら大気を観測し、その謎に迫ります。中村秀生記者
似ていない“双子”
 金星と地球は、ほぼ同じ大きさで、太陽から受ける熱の量も大きくは違いません。
 ところが金星は、大気の量が地球の100倍もあり、その95%以上が温室効果をもつ二酸化炭素です。そのため、地表面は90気圧、460度の灼熱地獄。地球とは似ても似つかない環境です。上空では謎の風が吹き、空一面が厚い硫酸の雲で覆われており、海はありません。
 探査チームの責任者、中村正人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授は「あかつきの目的は、金星大気の全体の動きを調べること。地球と金星は紙一重のところで分かれた。その謎に迫りたい」と説明します。


軌道上の位置ごとの観測計画
①大気の動きと回転をあわせて、静止気象衛星のように観測
②雲の凹凸を立体視、雷発光を検出
③雲の層を横から見る
12月上旬に到達
 あかつきは、5月18日に鹿児島・種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられ、12月上旬に金星に到達。エンジンを逆噴射して減速し、金星を周回する軌道に乗ります。
 金星の赤道上空約300キロメートル~8万キロメートルの楕円軌道を、1周30時間かけて周回します。金星から遠い位置を周回中の約20時間は、大気の動きにほぼ合わせて回転し、静止気象衛星のように同じ所を継続観測。一方、金星に近い位置からは、雲の凹凸を立体視したり、雷などの局地現象を調べます。
 金星最大の謎は「超回転」(スーパーローテーション)と呼ばれる、大気の高速回転現象です。
 金星はゆっくり自転しており、金星の1日は地球の243日にあたります。自転速度は赤道上で秒速1.6メートル。人が歩く程度です。大気と地面の間には摩擦力が働くため、自転の遅い惑星で吹く風は遅いと考えるのが、従来の“常識”でした。
 ところが、金星のほぼ全球にわたって、上空の雲の高さ(45~65キロメートル)のあたりでは、自転の60倍にあたる秒速100メートル(新幹線より速い)の風が、地面を追い越すように吹いています。
 「この風のエネルギーがどこからくるのか、現在の気象学では説明できない」と、科学観測を担当する今村剛JAXA准教授。搭載するカメラ5台で、それぞれ異なる高度の対象を同時観測して大気の状態を立体的にとらえ、謎の気象現象の徹底解明をめざします。
5台のうち2台は近赤外線カメラ。厚い雲にさえぎられて可視光では見えない下層大気を観測し、雲の動きや、場所による雲粒の大きさの違いを調べます。
 他方、中間赤外線カメラと紫外線カメラは、最も高いところにある雲を観測して、温度分布や対流活動を調べます。
 雷・大気光カメラは、「金星で雷が起こっているか」という長年の論争に毎秒3万回の高速撮影で決着をつけます。


標高8000メートルの「マート火山」。米国の探査機「マゼラン」のレーダー観測によって、金星表面の3次元地図が作成される (C)NASA/JPL提供
火山も、観測の焦点の一つです。過去の探査機は、地表のいたるところに火山や溶岩が流れた跡を発見しました。「過去に金星全体で激しい火山活動があったことは間違いない」と今村さん。
 金星では現在、欧州が打ち上げた探査機「ビーナス・エクスプレス」が周回しながら観測を継続中で、ごく最近に溶岩が流れたという証拠を見つけたばかりです。あかつきは近赤外線カメラで地表の熱を感知して、現在の火山活動を調べます。
欧州と共同観測
 あかつきは、ビーナス・エクスプレスと共同観測も実施。「ビーナス・エクスプレスは、分光器で大気の成分を化学的に調べる。あかつきは、カメラで大気の動きを物理的に調べる」と中村さんは説明します。相互に補完しながら、金星大気の謎の解明に挑みます。
 今村さんは「地球とはまったく違う金星の気象を調べることで、普遍的な惑星の気象学を確立できれば、地球大気への理解も深まる。太古の環境を知ることや、将来の予測にもつながる」と話しています。


宇宙ヨット イカロスも“出航”
 今回、あかつきと一緒に、小型衛星5機が打ち上げられます。その一つが、14メートル四方の帆を広げて宇宙を航行する小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」。燃料がいらない夢の宇宙船です。
 「ソーラーセイルとは“宇宙ヨット”。海のヨットは帆で風を受けて進むが、宇宙ヨットは太陽光の力(太陽光圧)を受けて進む」イカロス計画の責任者、森治JAXA助教はそう話します。この着想は100年前からありましたが、今回、史上初の技術実証をめざします。広げた帆に薄膜太陽電池を張りつけ、推進と発電の一石二鳥を狙います。
 イカロスは、直径1.6メートルの円柱形の本体と、厚さ0.0075ミリメートルの超薄膜の正方形の帆から構成されています。
 最大のヤマ場は帆の展開です。打ち上げ時、帆はたたまれた状態で本体に巻きつけられていますが、宇宙空間で本体を回転させ、その遠心力を利用して帆を展開します。
 その後、太陽光圧による加速を実証し、帆を操作して軌道制御を実施します。森さんは「ソーラー電力セイルは燃料と電力の問題を合わせて解決できる。木星へ行く将来の探査機計画の第一歩となる」と話しています。

「しんぶん赤旗」日曜版(2010年4月18日付けより)


日本のロケット観測技術も進歩したものですね。
10数年前のH2ロケットの時代は、打ち上げそのものに何度も失敗して、非難の声をあがったものです。
改良型のH2Aロケットになってからは失敗はありません。小惑星イトカワの岩石を採取したり、月の裏側の撮影をやってきたり、大活躍ですね。

今度も、大いに期待したいと思います。