2015年03月03日
ウラヂオストク発
[農相は流し網漁業の問題を忘れてしまった サハリン会議議事録から欠落]
2015年2月13日、農業大臣フョードロフが議長を務め、ユジノサハリンスクで開催された漁業分野の会議において、サハリン業界は、流し網漁業禁止に対し反対の立場を明確にした。
だが、当該会議の最終報告書には、この問題提起を反映した記載が見当たらない。
この法案の説明書では、極東のすべての地域が流し網漁業禁止を支持しているとしているが、現実は、そのような簡単なものからほど遠いと言える。
当該会議においてサハリン漁業者協会副会長シャーノフは、問題点等を指摘し、サハリン業界は当該漁業禁止に反対すると表明した。
一方、同大臣は、漁業が行われてきた実績があり、禁止による損害等を最小限にしたいと語り、2ケ国間の協定に基づき日本漁船がロシア排他的経済水域で操業してきたことに触れ、国際関係への配慮も必要だと加えた経緯にある。
しかし、今般、この会議の議事録に最も肝心なこの問題に関する具体的な記述がないことがわかった。
2015年03月10日
ユーザー 各位
拝啓 時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
さて、既報のとおり、2016年からの太平洋サケマス流し網漁業禁止法案は、極東の2つの地域の闘争を招いています。カムチャツカ地方の漁業者が2008年以来、環境問題を前面にだし、当該漁業の禁止を主張し続けている一方で、サハリン州の漁業者は科学的根拠に乏しいこと等を理由に、これに強く反対しています。カムチャツカ地方における漁獲は沿岸漁業(定置網)であり、同地方の漁業者は、サハリン州漁業会社を中核とする沖獲り漁業(流し網)を合法的な漁獲物の横取りだとしています。しかし、この問題は、ロシア国内外市場で大きな需要があるベニザケの市場競合という側面をもっており、カムチャツカ地方の主張の背景に、市場評価の高い、流し網漁業による“沖獲り製品”を排除し、その空白への供給者となることを目的とした“綺麗ごとばかりではない思惑”があると推察されるところです。
日本とソ連時代からの伝統的漁業協力である日本漁船によるロシア排他的経済水域における当該操業にも大きな影響を与える可能性のあるこの関連情報を、前月号に引き続き、今月号のTopNews としてご報告申し上げます。
なお、カムチャツカ地方水産業専門のフリーランスのジャーナリストは、ロシアFSBカムチャツカ国境警備局が文官監督官を大幅に削減、今年2015年5月1日以降、彼らを洋上の監督任務から全てはずし、その体制を再編成する計画だとリポートしました。この関連情報もあわせてお知らせ申し上げます。
敬具
(国際漁業対策事業部;原口聖二)
Contents
TopNews 大統領全権代表は流し網漁業禁止を求めるカムチャツカ地方の立場を支持する
・シャーノフの流し網禁止法案への反論指摘点等(太平洋サケマス流し網漁業関連外6件)
・カムチャツカ国境警備局 文官は退くべき(ロシアFSB国境警備局関連外2件)
・第24回ロ韓漁業委員会第2回会合が完了する(ロシア農業副大臣動向/2ケ国間漁業協定関連等外6件)
・劇的に減少しない密漁密輸(FOC/IUU取締情報関連外4件)
・ロシア漁業者によるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業概況(ロシア漁業者底魚等操業関連外11件)
・オホーツク海北部における無脊椎動物資源漁獲状況(ロシア漁業者無脊椎動物資源操業関連外3件)
・サハリン州の今年2015年の太平洋サケマス漁獲予想が発表される(太平洋サケマス操業関連外3件)
・スケトウダラ業界のヨーロッパ市場拡大のため補助金を準備(その他ロシア漁業関連情報外8件)
・旧正月 輸入水産物が売り場を占める(韓国スケトウダラ等市場関連外2件)
計55報告
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