2015年03月13日 サハリン発
[色丹島サンマ・パッカー“アストロブヌイ”を給与未払いで刑事捜査へ]
サハリン当局は、半年間、従業員に対して給与を未払いにしているサンマ・パッカー漁業コンビナート“アストロブヌイ”(Рыбокомбинат Островной)を刑事起訴すべく、その捜査を開始した。
当局は、“アストロブヌイ”が17名の従業員に対し、2014年6月期から翌2015年1月期までの間、賃金を支払わなかったとし、起訴へ向け証拠収集等の捜査活動を行っている。
(報告担当者 原口聖二: サプサン・グループの“アストロブヌイ”は2010年前後、日本漁船、或いは日本陸上からのサンマ調達に強い関心を示し、同社代表ユーリ・ベルキンは訪日を繰り返していた経緯にある。)
(関連過去情報)
2010年11月9日 日本経済新聞
[気仙沼の阿部長商店 水産加工品 ロシアに輸出]
年内メド、現地大手と合弁
阿部長商店(宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)は水産加工品のロシア輸出を始める。年内をメドに現地の水産加工大手と合弁会社を設立し、ロシア全土の食品スーパーで日本で製造した冷凍食品やレトルト食品を販売する。輸出拡大に向けて岩手県大船渡市に水産加工では東北最大級の新工場を稼動させた。人口減で国内市場が縮小するなか、新興国に活路を開く。
50億円投資 大船渡に新工場
ロシアの水産加工大手、サプサン・グループ(ユーリ・ベルキン)と現地での販売を手掛ける合弁会社、阿部長ユーロフード(モスクワ市)を設立する。阿部長とサプサンがそれぞれ10万ドル(約810万円)を出資する方向で調整している。サプサンは水産物の缶詰ではロシアで20%以上のシェアを握る。阿部長とはサンマなど缶詰原料の調達で取引がある。サプサンはロシア全土で自社の商品を販売しており、同社の販路に乗せて阿部長が日本で生産するサンマのかば焼きやカツオの煮物など加工食品を売り出す。ロシアでも所得水準の高いモスクワやサンクトペテルブルクなど西部に重点を置く。サプサンはドイツに子会社を持っており、将来は西欧諸国での販売も視野に入れる。阿部長は輸出向け商品の生産拡大を目的に、岩手県大船渡市に新工場を建設した。投資額は土地の購入費用を含め50円。現在は大船渡の近海でとれるサンマやサバを冷凍し、缶詰の原料などとしてロシアや中国に出荷している。来年1月には加工食品の製造も始める。同社の本社がある気仙沼の工場は沖合いでとれるマグロやカツオを使った商品の占める割合が大きい。大船渡の沿岸や魚種が豊富で、取扱品目を拡充する狙いがある。大船渡港が外貿コンテナ航路の寄港地となり、輸出しやすくなったことも立地の決め手になった。阿部長は中国・大連現地法人を設けるなど、新興国への輸出を強化している。背景には人口減と魚食離れによる国内市場の縮小がある。水産庁によると食用魚介類の国内消費量は2008年度に715万トンとピークだった20年前に比べ2割減った。一方、ロシアは経済成長が期待される新興国。魚介類を食べる習慣が根付いており、今後も消費量の増大が見込まれる。阿部長は1968年の設立。水産加工業のほか気仙沼市や南三陸町でホテルなど観光事業も手掛ける。2009年12月期の売上高は132億円。