2020年09月27日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[カム地方・サ州北クリール太平洋サケマス先獲等問題再合意へ]
カムチャツカ地方知事ソドロフは、サハリン州知事リマレンコと、先に行われた漁業分野の治安維持に関する会議に共に出席した機会を利用し、太平洋サケマス漁業における北クリール沿岸の先獲り等の問題(報告担当者 原口聖二:カムチャツカ河川遡上魚をサハリン州管轄北クリール地域の漁業者が先獲りし、その際、禁止されている流し網を使用しているという指摘)について協議、これらの新たな規制に関する当事者間の協定に署名する用意があることに合意したと明らかにした。
ソドロフは、北クリール沿岸漁業における明確な規制を策定するための共同作業グループを設置し、カムチャツカ地方とサハリン州の間の水棲生物資源の漁獲に関する新たな合意を締結すると語った。
過去に同様の合意があり、2014年まで有効だったが、その後、サハリン州によって、一方的に終了された経緯がある。
今年2020年7月カムチャツカ国境警備局は、カムチャツカ地方における漁業分野の会合で、北クリール沿岸海域で流し網を利用し、違法に太平洋サケマスを漁獲している事例を、出席したロシア副首相兼極東連邦管区大統領全権代表トルトネフに対して報告した。
2016年からロシア極東海域での流し網を使用した太平洋サケマスの漁獲は、自国漁船、外国漁船を問わず禁止されているが、この違反行為は毎年行われ、今年2020年漁期にも確認したとしている。
一方、サハリン漁業者協会会長コズロフは、今漁期、北クリール地区の沿岸漁業者が、ロシアFSB東部北極地域(カムチャツカ)国境警備局の執拗な検査により太平洋サケマス漁業を麻痺させていると批判している。
コズロフは、1日に3回検査を受け、完全に操業が出来ない状態もあり、当局は北クリールの生活が当該操業に依存している事実を理解する必要があると言及、この問題の背景にサハリン州とカムチャツカ地方のサケマスをめぐる長年の対立があり、今漁期、カムチャツカ半島東部沿岸への当該資源の来遊が少ないことが、これを過熱させていると指摘していた。
サハリン州の北クリール沿岸を通過し、カムチャツカ地方に向かう太平洋サケマスは、双方に複雑な関係をもたらしている。