2021年08月18日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ロシア漁業庁 太平洋サケマス生産量59万トンに達する可能性がある]
2021年8月17日、ロシア漁業庁は、同庁長官シェスタコフが議長となり、同年漁期の太平洋サケマス操業本部会議を開催、当該漁業生産が59万トンに達する可能性があると報告された。
漁期開始から会議日(時差により当日の極東地方は操業終了済)までの生産量は45万3,000トンに達し、直近期数年を14%上回り、前年2020年の2倍以上となった。
これは、当初の漁獲勧告の99%相当となっている。
さらに、報告日としては過去最大で、記録的豊漁となり、67万6,000トンを記録した2018年当日の41万5,000トンも凌いでいる。
一部の地域では漁期が終わりに近づいているが、まだ、開始されたばかりの地域もあり、これから極東での当該操業は約1ヶ月半続くことから、生産量は56万トン-59万トンに達する可能性がある。
同会議では、あらためて、漁獲物受け入れのための極東地方における保管・物流能力の問題が指摘され、連動した今後の生産体制が注目されるところとなる。
なお、会議に出席した、科学研究機関の代表者は、カムチャツカ地方の漁獲が9割を占める等、極端に北方沿岸に当該資源が来遊している“北偏傾向”と、ベニザケとシロザケの漁獲が低迷している点を、懸念材料として指摘したとされている。
(報告担当者追記)
2021年春、全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ科学調査船“Профессор Кагановский”(プロフェッサー・カガノフスキー)がベーリング海側の来遊直前の太平洋サケマス資源トロール調査を行い、その結果、カラフトマスの予想漁獲量を15万トンと算定していた。
また、来遊直前の当該資源調査については、クリール海域でも、科学調査船“ТИНРО”(チンロ)と”Владимир Сафонов”(ウラヂミル・サフォーノフ)によって行われており、カムチャツカ西部でのカラフトマスの予想漁獲量は、記録的豊漁となった2018年に匹敵するものとなる可能性が排除されないと同研究所長コロンチンが発表していた。