ロシア漁業ニュースヘッドライン ２０２２年０６月 http://kisenren.com

　２０２２年０６月１０日

 

ユーザー　各位

 

拝啓　時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

　さて、ロシア副首相アブラムチェンコは、２０２２年５月半ば、先に行われた漁業分野発展のための政府委員会の結果に基づき、一連の制裁に対応し、“投資クオータ”第１弾の漁船建造プロジェクトに関する融資返済計画の延長合意、プロジェクト実施期限の２年間の延長に伴う優遇融資、舶用機器の輸入代替のための民間ベースでの製品開発と国内拠点拡大のための助成等、当該分野への支援措置案等を提出するよう関係省庁に対し指示していると明らかにしました。

　ウクライナへの特別軍事作戦から３ケ月が過ぎ、問題は長期化の様相を見せています。

　外国との付き合いが無ければ成立しない輸出志向型産業の典型と言えるロシア漁業の制裁措置への対応を集約し、今月号のTopNewsとしてご報告申し上げます。

　なお、韓国のトロール漁船による政府間協定に基づくロシアEEZでのスケトウダラ操業は、毎年、漁獲割当が２万トン-３万トン確保されてきましたが、今年２０２２年は、ウクライナの状況に関する制裁措置で、ロシア政府に有償料を支払う送金ルートがなく、実現が不透明な状況が続いているとされています。これら政府間協定に関する情報等もあわせてお知らせ申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

（国際漁業対策事業部；原口聖二）

 

TopNews　ロシア副首相　複数の漁業分野支援措置案の提出を関係省庁に指示

・ロシア政府　制裁措置に対応した準備金７,９１６億ルーブルを用意（ウクライナ侵攻問題関連外６件）

・ロシア　漁業の効率化のためTAC魚種削減へ（ロシア漁業政策および漁業協定関連等外１７件）

・”投資クオータ”第１弾プロジェクト実行期限２年間延長（“投資クオータ”/漁獲割当オークション関連外１０件）

・ロシア漁業者漁獲量　１８６万４,６７０トンとなる（ロシア漁業生産/貿易動向関連外４件）

・ロシア漁業者スケトウダラ生産進捗前年同期対比(ロシア漁業者スケトウダラ・ニシン等操業関連２件)

・北海道隣接サハリン　カラフトマス来遊激減　定置網の垣網規制案が発表（太平洋サケマス操業関連外８件）

・ロシア　養殖サーモン用飼料の輸入代替を加速させる(その他ロシア漁業関連情報等外１６件)

・韓国冷凍スケトウダラ市場動向　２０２２年５月（韓国スケトウダラ市場関連外１件）

・韓国　自国EEZ大型トロール業界　東経１２８度以東海域の試験操業を求める（韓国漁業関連外２件）

 

計７５オリジナル報告

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ロシア国内のスケトウダラH&G（ドレス）卸売価格推移 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

 

２０２２年０６月０１日

リポート　北海道機船漁業協同組合連合会　原口聖二

[ロシア国内のスケトウダラH&G卸売価格推移（６月１日）]　

近年、世界のスケトウダラ生産３５０万トンの内、ロシアが１８０万トン、米国が１５０万トンを占めている。

ロシアは洋上でH&G（ドレス）を生産し中国へ輸出、中国が陸上でフィレ加工してEUへ再輸出、米国は日本へすり身として輸出することを、それぞれ仕向けの主流としてきた。

しかし、ロシアについては、新型コロナウイルス（CV19）拡散防止対策による中国の冷凍水産物輸入制限により、当該貿易は鈍化、２０２１年初めから仕向け構造が大きく変化し始めた。

フィレの最終市場となるEUへ米国が供給を増加させ、ロシアも“投資クオータ”を利用した高次加工漁船と自国陸上加工でフィレを増産し、中国加工を介さない当該市場への直接アクセスを拡大させている。

また、ロシアはこれら製品の国内市場への供給拡大にも取り組みを開始した。

状況下、米国から日本へのすり身の輸出価格、中国からEUへのフィレの輸出価格、そしてロシア国内のH&G卸売価格等を監視することで、スケトウダラの国際市場価格を把握することが求められている。

この中にあって、低迷が続いていた、ロシア国内のH&G卸売価格については、中国税関当局が、２０２２年１月１０日から、コンテナ積み替え物流ばかりでなく、要件を満たすロシア冷凍運搬船の水産物製品の受け入れを再開したことで、ロシア業界のマインドに影響を与え、これが底を打ち、８６ルーブル/kgとなり、回復への傾向が確認されるところとなった。

その後、２０２２年３月までの間、８６ルーブル/ｋｇが維持されたが、それより先の同年２月２４日に始まったロシアのウクライナへの軍事行動により、韓国等、海外市場に調達不安、先行きの不透明感が広がり、その余波を受け同年４月中旬、瞬間風速的に価格は１０３ルーブル/ｋｇに達した。

しかし、それも落ち着きを見せ、２０２２年５月中旬には９４ルーブル/kg、同月末には８４ルーブル/kgまで下がってきている。

なお、ロシアの軍事行動への制裁として、西側諸国が水産物の一部輸入規制を発表しており、引き続き、これらの情報に注意が必要なところとなっている。