2022年06月19日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ウクライナ情勢 ロシア産一次原料先行き不透明 ドイツのスケトウダラ・フィレ使用冷凍食品業界]
スケトウダラ・フィレを二次原料にフィンガー・スティック・フライ等を製造するドイツの冷凍食品業界は、ウクライナ情勢によるロシア産一次原料の調達の先行きの不透明さから安定した経営の確保に危機感を募らせている。
ドイツは、ロシア産スケトウダラH&G(ドレス)を一次原料に中国で二次加工されたフィレのEU最大の輸入国で年間約8万トンを輸入してきた。
EUは、ウクライナ情勢によりロシアに対して一連の制裁措置を講じているが、白身魚は適用除外となっている。
ロシアが現在、フィレ等、中国の二次加工に依存しない高次加工製品の生産を強化しており、EUは当該製品の直接的な輸入も可能となっている。
ドイツの冷凍食品業界がウクライナ情勢による貿易全体の不透明さに加え、特に危惧しているのはロシアのスケトウダラ漁業のMSC認証が停止することだとしている。
この影響を受け、スケトウダラ・フィレの輸入を米国のみに依存する場合、その調達価格が高騰する可能性があるとドイツの冷凍食品業界は指摘し、今後の安定した経営の確保に危機感を募らせている。